雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART8≫

 

今回も「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」シリーズを要約していきます。いよいよ、コトラーシリーズの要約はおしまいとなります。

最後のPART8はマーケティング観点で長期的成長を如何に実現するか?」を説いています。具体的に取り扱う概念としては「新商品開発」・「グローバル市場への進出」・「統合型マーケティング」の3つです。

 

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

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■PART2

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■PART3

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■PART4

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 ■PART5

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■PART6

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 ■PART7

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コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

■新製品開発

外部企業の買収・アライアンス・新規事業算出の3つにより新製品開発は成しえられます。全くの新規開発は全体の10%に満たないとされていて、大抵は既存製品のリポジショニングやマイナーチェンジ・既存製品の新市場浸透などを基軸に形成されることが多いです。

・新製品開発を収益性観点を意識して実現する為には、ボトムアップで人為的に生まれる風土形成新規開発のインセンティブを外に表出することの二軸をしていかないと組織として新規開発をマネジメント出来ないとされます。

・開発のプロセスはアイデア創出・アイデアスクリーニング・コンセプト開発・コンセプトテストと段階を経るとされます。標的市場の設定および標的顧客が何を価値と捉えるかを想像し、「自社の資源と照らして自社がやるべきか?」「どの規模で進めるか?」といった問いに照らして選定されていくとされます。

・製品コンセプトが決まった後は予算や収益性の観点を考え、実現可能なプランに落とし込まれていきます。具体的には流通予算・損益分岐点の策定⇒短期売上目標の設定・戦略ロードマップの策定と段階を経ていきます。

尚、新商品を大量に出すということは一見よさそうに見え華々しいですが、裏を返すと既存製品の拡販努力不足や収益性が弱いということの象徴になるかもしれないので、気を付けないといけないと本書では警笛を鳴らしています。

 

■グローバル市場への進出

・インフラが整うにつれ、ビジネスの市場は海外を跨ぐようになりました。大企業の成長ニーズを国内で満足することが出来ず、拡大した結果競争相手は劇的に増加し、収益を継続的に確保することは難しさを増したという背景があります。

・海外進出する動機は「市場を分散させて安定化を図る為」・「規模の経済を働かせて国際競争力を獲得する為」・「海外市場の方が国内よりも集積性が高いと判断」などが代表的なもので上げられますが常に収益観点でその意思決定の妥当性を問うことが必要とされています。

・海外市場にはその地域特性というものが必ず存在する為、自国で展開していたやり方をそのまま適合してもうまく市場ニーズを取られることが出来ないというケースが多く存在します。時には製品コンセプトや表面的価値を変容させたり、現地有力企業にアライアンスを組み拡販を一任するなどの思い切った意思決定も必要とされます。

・どの規模・接点で海外市場に参入するかは千差万別であり、輸入業者を特約を結ぶ・海外拠点を設置する・海外部門を設置する・ライセンス供与し現地企業にマネジメントさせるなど介入度合いは多々あります。

※海外進出は個人主義集団主義というイデオロギー」・「格差の程度」・「男性中心対女性中心」・「不確実性回避の強弱※異質なものをどれだけ許容するかの文化的違い」なども考慮しなくてはいけなくバカになりません。時には価格やコミュニケーションスタイルといったビジネスを構成する主要素を変化し、市場適合する必要がある場合も多くあります。

 

■統合型マーケティング

・作れば作るだけ売れた時代の終焉と共に、マーケティングは部門としてだけではなく全社に導入すべき視点いえると本書では説かれます。即ち、マーケティング観点をどの機能部門も持ち、市場志向・顧客志向を持ちビジネスを行うことでしか継続的に市場から収益を上げ事業を存続することは出来ないとされています。

※これの応用系としてCSRやESG観点などの話しが出てくるとコトラーは2000年代に予言しているので畏怖の念を感じずにはいられません。

企業は社会的責任を負うとされていて、利益を出しながら、社会にわかりやすい課題解決をもたらし社会から共感を得ることがサステナブルな事業運営であり、資源に限りがあり情報化社会にある中で事業運営のルールの根幹をなす思想だと主張します。

・コーズリレーデッド・マーケティングと呼ばれる、企業の活動を通じて特定の思想を社会に表明するように操作するマーケティング活動も時代の潮流であるとされています。取り扱うテーマは自社の資源と相関性の高いものを選ぶとされており、食品関連会社のフードロス問題などはわかりやすい例です。

 

【所感】

・盛りだくさんの内容なのでかなり省略をしました。マーケティング・マネジメント理論の集大成と呼べるような内容で、これまでの理論を随所に織り交ぜながら展開されるので復習がてらとても面白く読めたパートでした。

標的市場を設定し、その市場に対してどんな価値を定義・訴求するかという所がマーケティングの手腕であり、製品市場戦略や販売戦略にも通じる内容で考えさせられる内容が全体感として多かったです。

・コアとなる価値の定義や標的顧客の解像度を上げる重要性を認識し、朧気ながら言語化出来るようになってきたタイミングなので、学んだことをしっかり実務応用し高いアウトプットを出せるように理論を活用していこうと改めて考えた次第です。

※原著と呼ばれるような各分野(戦略論・マーケティング・会計等)は骨が折れますが読んで内省することで確実に自分の血肉になっている感覚があり、継続していこうと思えました。

 

以上となります!