今回はビジネスモデルを題材にした本を要約していきます。
23種類のビジネスモデルについて師匠と弟子の対話形式でまとめられた本で、似たような毛色の本としては「ザ・ゴール」や「クリティカルチェーン」などが挙げられます。
様々な顧客のビジネスモデルを見たり、自分が従事する事業の収益性という観点で「利益をどのように生むか」ということについてはずっと関心がありどこかで読もうと思っていた本でした。
「ザ・プロフィット」
■ジャンル:ビジネス
■読破難易度:低(造語多いので読みにくさはありますが、経済小説のような作りになっているので内容の理解はかなり簡単です。)
■対象者:ビジネスモデルについて詳しくなりたい方・事業開発に関わる方・利益の源泉について興味関心のある方
【要約】
・とある企業の経営企画にいる人主人公で、自分の企業が窮地に陥り、現状を打破する為に社内に向けてビジネスモデルや経営戦略の提案をする師匠に教えを乞いながら試行錯誤していくストーリー仕立てになっています。
・23個のビジネスモデルについて洗い出してまとめても味気ないので気になり処を抜粋してまとめます。
■ソリューションビジネスの重要性
・物売りから範囲を広げて顧客の課題に深く踏み入り、自社の製品群をソリューションとして提案することで商取引をあげていくというのが基本中の基本。(無形商材及びソリューション営業の重要性が増した80年代以降叫ばれるようになりました。)
・「顧客関係性を向上させ、依存度のある商取引を生み発展させていくポテンシャル」があるので、ソリューションビジネスは鉄板であると何度も説かれます。
■垂直統合の重要性
・「同一製品群にて、価格帯を広げて顧客を網羅的に獲得すること」
・「製品ラインナップを広げて顧客のバリューチェーンの包括範囲を広げること」
この2つが利益創出の為の大事な原則であると説かれます。資金力のある大企業がニッチ中小よりも収益性を上げやすいのもこのような原理が働くからです。
■インストール・ベース利益モデル
・ハードウェアを投資としてソフトウェアで稼ぐモデルを指します。カメラやゲームがそのような典型例で、ソニーや任天堂の商売を想像していただくとわかりやすいと思います。大量にマーケティング費用を投下して市場の認知形成及び購買促進が不可欠とされていて、初期費用はかかりますが一度確立すると売手が主導権を握ることの出来る貴重なビジネスモデルであると説かれます。
■ローカル・リーダーシップ利益モデル
・狭域深耕を繰り返してスケールさせていくビジネスモデルを指します。ニッチ化して集中したものを多角化させ、範囲の経済を回していくないしはニッチ化したものを武器にスケールする展開を指し、得意パターンを横展開していくことで成長していく企業は軒並みこのモデルを採用しています。
■市場シェアが価値を持つ
・購買力は製造業において原料を安く仕入れる力の源泉となります。市場シェアが高いこと自体でブランド想起やマーケティングコストの低下などをもたらすということがあり、だからこそ売り上げやシェアを追求することが一定の経済合理にかなうということを示しています。
【所感】
・翻訳小説特有の読みにくさはありましたが、実例に照らして読むことが出来るので読みごたえがある本でした。「なぜ、そのような仕組みを持つのか」・「どんな価値を意図して設計されたものなのか」などの自身で抱えていた問いに答えるような内容のものもあり頭が整理された印象です。
・様々なビジネスモデルを眺めて、改めてリボン図・プラットフォームビジネスといった身近なビジネスモデルが秀逸であるということを思い知りました。
・自分が従事している事業が利益を出しやすいモデルであるからこそ、まだやりようによっては出来るという自信にもつながりました。また、顧客のビジネスが成功する為に何が肝になるか?ということの仮説検証の幅が広がった印象があるので今後活用出来るようにしたいと思います。
以上となります!