雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART2≫

前回に引き続き「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を要約していきます。PART2は「マーケティング活動をする前提の効果的な情報収集・及び情報の取り扱い方法・意思決定へどのように反映するか」というテーマ感を扱います。

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・主にマーケティングリサーチと呼ばれる分野についての考察です。

■効果的なマーケティング情報システムを構築することの有効性・必要性

・大量生産時代の終焉と共に消費者ニーズは多様化・市場全体のパイは天井を迎えていることが多く、如何に競合(業界跨ぐものも含む)からシェアを獲得し顧客需要を生み出すのかが大事であり、それは「効果的なマーケティング手法の策定とマーケティング手法をもたらす情報の取り扱いシステムの策定」に紐づくという思想の基に本パートは存在します。

※目下では製品を海外市場にもたらすことで拡大している企業が多いですが、それで限界が来る場面においても効果的に売上と収益を構築する意味ではマーケティング活動は必要だよということでしょう。

 

■マクロ環境要因を分析する意義

・主に消費財向けですが、「消費者の価値観や嗜好性がどのように変化しているか・それはなぜ起きているか」を分析することがマーケティング活動をする上で第一に知るべきと評されています。(世代構成・経済環境・人口の地理的移動・文化的嗜好の変化等が具体的に着目するものです。)

 

マーケティングリサーチのプロセス

・前提として消費財メーカーは営業が直販することで顧客需要を満たすことは物理的に不可能かつ採算が合わないので、マーケティング活動は競争優位の源泉となります。その為、効果的に顧客需要を特定・市場分析できるシステムを構築出来ている会社がそれだけでマーケティング起点の競争優位を作るということになります。

・具体的なプロセスとしては「問題・意思決定の選択肢/調査目的の明確化⇒調査計画の作成⇒情報収集⇒情報の分析⇒調査結果の抽出⇒意思決定に導入・実行」となります。

 

マーケティングリサーチの留意事項

・筋の良い仮説構築が必須であり、その為には明確な課題設定と市場需要がどのように構成されるか・競合分布などのデータを基に全体概観を構築することが大事になります。

・加えて、マーケティング施策そのものがどれだけのポテンシャルを持つのかという観点で「売上予測/需要予測」をすることが必須となります。

※見込みの薄い市場にマーケティング施策を講じても採算が合わないですからね。

 

マーケティング施策の可否を測定する上で効果的な分析手法

「売上分析・市場シェア分析・売上高マーケティング費比率分析・財務分析」の4つであるとされます。「財務インパクトはどれだけもたらされるか」・「そもそも市場ポテンシャルはどれくらいあるか」・「マーケティング活動がどれだけの効率性を持ち、売上寄与は如何ほどか?」ということを考察せよということです。

 

■需要予測

「見込まれる市場のサイズはどれくらいで、有効な消費者はどれだけ存在するか⇒注力市場セグメントはどこか」という階層で市場の需要を予測するべきであり、将来的な需要予測においては潜在ニーズや競合サービス・業界等の需要まで取り込んで推定するべきとされています。

どれだけの市場ポテンシャルがあるかにより長期的な戦略ロードマップを描くことが出来るようになるので、製品ブランドマネジャーなどが重要視する理由もうなずけます。

 

【所感】

・全体戦略を具体に落とし込んだり、部分戦略を描くことが多い現業に非常に親和性のある内容だったなと個人的には思うパートでした。顧客を支援する上においても事業部単位で何を試行しているのか・どれだけのポテンシャルを目指して事業活動をしているのかなどに頭を巡らす上では忘れてはならない概念だなと思います。

・加えて、「派手な採算を問わないマーケティング活動はやめるべき・経済合理性や顧客需要をどれだけ取り込むかという観点で測定すべき」

というコトラーの強い意志・思想が垣間見えるなと感じました。

・パーツとして理解していたことが有機的に統合していくプロセスはこうした分野を学習していると味わえる楽しみだなと改めて思いました。

 

以上となります!

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