雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪ローマ人の物語8≫

 

今回は塩野七生氏のローマ人の物語を要約していきます。8は「ユリウス・カエサル ルビコン以前」の上巻です。ローマを共和政から帝政へ移行させていく方向に大きく動かしたユリウス・カエサルの生涯を紐解いていくのが8の目的です。8はその上中下巻の上巻にあたり、ユリウス・カエサル生い立ち~青年後期にあたる紀元前100~61年までを扱います。

 

ローマ人の物語8」

ロ-マ人の物語 8 / 塩野 七生【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

■ジャンル:世界史・歴史小説

■読破難易度:低(非常によみやすい文体で書かれており、一部物語調なのでサクサク読めます。世界史の教科書や地図を手元に置いて読むとわかりやすくなります。)

■対象者:・ヨーロッパの歴史について興味関心のある方

     ・ローマの栄枯盛衰の変遷を詳しく理解したい方

 

ローマ人の物語3~5(ハンニバル戦記)は下記

■要約≪ローマ人の物語3≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪ローマ人の物語4≫ - 雑感 (hatenablog.com)

 ■要約≪ローマ人の物語5≫ - 雑感 (hatenablog.com)

 

ローマ人の物語6~7(勝者の混迷)は下記≫

■要約≪ローマ人の物語6≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪ローマ人の物語7≫ - 雑感 (hatenablog.com)

 

≪参考文献≫

■ローマ人盛衰原因論

■要約≪ローマ人盛衰原因論≫ - 雑感 (hatenablog.com)

 

【要約】

■幼少期(紀元前100~94年)

ユリウス・カエサルスブッラと呼ばれる平民が主に住む地区にて生まれ育ち37歳まで定住しました。ユリウス・カエサルはその前後の時代の偉人と違い、名門の家系に所属していないのが特徴であり、ローマ初期にあったユリウス系の系譜であることはあったくらいの人材です。カエサルには姉と妹がいて、母親からありったけの愛を受けて育ったので常に未来をみる非常にポジティブな人材に育ったとされます。

 

■少年期(紀元前93~84年)

・古代共和政ローマでは良家は家庭教師をつけて子供を教育するのが一般的で、カエサルは家に使える奴隷と一緒に家庭教師・読み書きは教養深い学者の家系である母親から直接手ほどきを受けて育ちました。この時代の初等教育を構成する科目はラテン語ギリシア語・修辞学・弁証学・数学・歴史・地理でした。専門分化したギリシア人の家庭教師に手ほどきを受けるというのが具体的な流れです。

カエサルの人格形成期のローマは同盟者戦役を経てユリウス法が成立し、マリウス・スッラ・キンナなどが勢力争いをしており、ローマ内部でクーデターが絶えない時代でした。カエサルは政略争いに巻き込まれ、望まない執政官キンナの娘との政略結婚を17歳の若さで遂げます。

 

■青年前期(紀元前83~70年)

・当代の時代の覇権を握る執政官スッラコルネリウス一門でありながら貧しい生い立ちをしたが貴族的な振る舞いと言動の明確さが多くの人を魅了するリーダーでした。スッラはマリウスキンナ率いる平民路線の政治勢力を討伐するために、マリウスに親族を殺されたクラッススポンペイウスを引き連れてオリエント遠征以後王都襲撃をして元老院体制を再興するということをやってのけました。スッラは王都制圧後、「民衆派掃討作戦」を決行し、解放奴隷をコルネリウス一門の身分を付与して役割遂行にあてがうというやり方で進めました。カエサルもこの掃討作戦の名簿にいましたが、親族がいないということも考慮しキンナの娘との離婚を強制されるという程度で済みましたが、カエサルはこれを拒んだため追撃にあい、小アジアで軍役に従事しその後はロートス島へ逃避といった具合で機が熟するのを待つ青年時代を過ごします。ロードス島はヘレニズム時代に学問で栄え、ローマ帝国とは早くから海軍を供与して同盟を結びました。いろいろな政変を経て、27歳でカエサルは神祗官になりローマ帝国本土に復帰しました。クラッススポンペイウスが政治権力に台頭する中で、カエサル会計検査官になり政治権力の基礎固めに勤しんでいました。

 

■青年後期(紀元前69~61年)

カエサル元老院議員にようやくなった頃、ローマ帝国ではポンペイウスが絶対指揮権を行使して地中海を制圧し、小アジアのミトリダテス王討伐の任を行うなどしてローマ帝国のトップに君臨する体制を着実に構築している状態でした。カエサルは歴史的偉人の中でも非常に遅咲きであり、37歳で厳しい選挙戦を経て最高神祗官になり政治権力の中枢にアクセスできる基盤を構築するといった具合でした。カエサルは物凄い借金を抱える癖のある人材でしたが、当時最もお金持ちとして名をはせたクラッススが下支えしていたので特段問題化することなく、出世の契機となるスペイン属領統治の任を40歳にして行い始めるという所で8は終了します。

 

【所感】

ローマ人の物語6・7の出来事をカエサルサイドから読み直すという構成になっており、より理解が深まりました。本書著者の塩野七生氏がカエサルという歴史的偉人を極めて特別視して評価・記述しているのがわかる内容になっており、遅咲きながらその優れた才能の片鱗や考え方をこれでもかと言わんばかりに描写しているのが特徴的です。

・生い立ちに関する言及の周辺知識として記述されているローマ社会の一般的な教育体制や土地区分などは身分階級や法秩序が強固なローマの特徴が際立つ内容に思えました。基礎的な学問と身体能力向上に関する時間を豊富に費やし青年期以降の自己実現・問題解決のポテンシャルを最大化するという狙いは近現代の教育体制やその狙いとあまり変わらないものだなと感じました。

 

以上となります!