雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪問題発見プロフェッショナル≫

今回は初心に帰り、ロジカルシンキング系の本をまとめたいと思います。

この手の本は昨年まとめ読みしたのですが、命題設定に個人的な課題感を抱いていたので改めて読んでみようと思い選びました。

HOWの検証から入るってあるあるのことだと思うのですが、そこを思い留まり解くべきイシューは何かを特定するということが問題解決の8割位を占めているのだろうと最近は感じています。

 

「問題発見プロフェッショナル」

問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」 | 齋藤 嘉則 |本 ...

■ジャンル:思考系

■読破難易度:低(具体例や図示が豊富でフレームワークの具体的な活用・特徴の説明が多いので初学者向きです)

■対象者:命題設定に個人的課題を感じる方・分析・発見に関して興味関心のある方・ロジカルシンキングに関心のある方

 

【要約】

前提、この本は「問題解決プロフェッショナル」という別ジャンルの本との姉妹本です。問題解決プロフェッショナルで仮説思考(今ある情報の中で仮置きして結論を置きトライ&エラーをする)・ゼロベース思考(偏見や前提を取っ払い、本来あるべき姿を想像する)という2つの根幹をなす思考法を解説・説明⇒実際に問題を解決していく流れ・流れで用いる有効的なフレームワークケーススタディーをしながら検証・定着を図るという流れで説明がなされます。

そうした議論の後にでは、「そもそも解くべき課題は何か?」をどのように特定・分析するのかという観点に着眼して切り出しているのがこの本です。

 

■適切な課題設定をするために

・なぜこのような現状になっているのかの構造特定をすることが必要であり、分析スキルはあまり議論されることがなく等閑にされることが多い(前提がずれるとHOWの列挙になり論点がずれるということは良くある話だと思いますが、まさにこの根っこを特定するというスキルに切り出した話が重要ということです)

 

■戦略的問題発見に求められる4つのスキル

・観察力:事実を基に現状を客観的かつ正確に認識・把握する力

・判断力:ビジネスの当事者として主観も含め選択・判断・決定する力

・分解力:具体的レベルにまで論理的に分解・分析する力

・統合力:限られた現状認識・把握から全体像を組み立て、構造化・構想する力

 

■あるべき姿を発見する上で有用になる4つの観点

・目的軸 「そもそも何の為に?」という問い

・立場軸 上下関係・ステークホルダー等を鑑みての命題設定

・空間軸 「問題解決全体の枠組み・どの切り口で見るか等により問題は大きく変化する」

・時間軸 過去・現在・未来・期間などどの期間で見るかにより解決すべき問題のスコープは変わる

 

■問題特定の為の効果的なフレームワーク(※詳細は割愛)

・ギャップを生み出す要因の特定が急所になることが多く下記が役立つ

MECE

・トレンド分析(時間軸を長くとり、折れ線上に可視化することで構造的な変化がないかを特定する)

・集中分散分析(分布を可視化することにより特徴を見出だし、そこに何が起きているかを特定することで根本的な問いを見出す分析プロセス)

・付加価値分析(サービスがどのBPでどれだけ付加価値を生み出しているかを可視化することで可変要素・注力ポイントはどこか?を特定すること)

・バリュー分析(製品・サービスの市場浸透によりどれだけ製品価格を上回る価値(バリュー)を提供できたかを可視化する)

※これらを完全に実施できるほどの完璧なデータが揃うことは、問題発見・解決を求められる際にほぼないので断片的に切り出して出来る範囲でこうであろうと推定・特定していくのが実務的な落としどころです。

 

■可視化した問題の中でも何を解くかを特定する効果的なフレーム(※詳細割愛)

・感度分析(影響因子が結果に与える振れ幅の大きさにより問題の優先順位をつける)

⇒外部要因が与える定量的なリスクの可視化・結果にどの要因が一番影響するか等

・パレート分析(分散を見てどこに注力するべきかを特定)

ABC分析(優先順位をつけて夫々に工数分散すること PPM分析に近しい)

・ピーク分析(時間軸で可視化した際に起きている山・谷に着目、内部要因・外部要因それぞれ何が起きているかを特定することで筋の良い仮説につなげる)

※フレーム列挙していますが、これらを独立して使う・思考するというのは実際的にはほぼ存在しなくて包括的に検証・自然と使うという流れが実務的かなというのが個人的な印象です。わざわざ切り離して使うことはないと思いますが可視化・構造特定が大事ということの裏付けではないかと。

 

【所感】

問題が明確なことに対する打ち手の設定・検証をすること自体にはそこまで苦労することなくなってきていると自覚していますが、この本で議論されている問題の特定・命題設定というのはこの1年くらい自分の弱い所だなと認識しているので課題感にとてもフィットした本でした。(どうしてもHOWの検証から入り、HOWの磨きこみ・仕立てに頼り無理やり解決してしまうというパワープレーに走ることが多い自分なので、尚更です。)

周囲と協業したり自分一人の範囲で解決しない問題に対して責任をもつ際に、この命題設定のスキルは非常に大事であると思っているので内省しながら頭の整理に役立てることが出来たなと思っています。

この本で記載されているフレームワークを意識的に活用・切り出して考えることは正直あまりないのですが可視化・何が起きているのかの把握という要素は最近意識していてかつ物凄く大事な要素だなと認識しています。

かなり読みやすい本で導入もしやすいと思うので、ロジカルシンキング系の本が必要であると感じながら苦手な人には取っ掛かりとして良い本なのではないかなと思いました。

以上となります!

併読している本が重たい内容で更新ペースが少し落ちていますがコンスタントにまとめられるよう頑張りたいと思います。