今回は制約条件の理論(TOC)を取り扱った「ザ・ゴール」を取り上げていきたいと思います。ボトルネックの概念をビジネスの世界に持ち寄り、現代の生産管理理論の基盤を作ったといっても過言ではない理論について扱っている本です。
この著者の「クリティカルチェーン」と合わせてPM業務のクオリティーを上げる為に読んでみました!
「ザ・ゴール」
■ジャンル:生産管理系
■読破難易度:低(小説形式でとても読みやすいです。生産管理・施工管理・プロジェクトマネジメント等に従事する方はとにかくリアルに実務に落とし込んで考えやすいと思います。)
■対象者:工程管理業務に従事する方・マネジメント業務全般に関わる方・生産性向上について興味関心のある方
【概要】
閉鎖寸前の工場長が工場の評価指標・思考体系を変革することによりV字回復を遂げる過程を小説形式にしてTOC理論を説いている本です。
≪会社の健康状態を図る3つの指標≫
■純利益(どれだけ利益を出しているか)
■投資収益率(投資対効果の高い活動を出来ているか)
■キャッシュフロー(フローでの資金繰り)
≪生産性を図る3つの指標≫
■スループット…「販売」を通じて生み出すお金の割合
■在庫…販売しようとするものを作り出すために投じたすべてのお金
■業務費用…在庫を最終的にスループット(販売)するために投じた費用
≪TOCの5つのプロセス≫★結論★
■ボトルネックを見つける
■ボトルネックをどう活用するかを決める(組織のアウトプットはボトルネックのパフォーマンスに支配される為)
■ほかの要素をボトルネックの制約条件に従わせる(それ以上の稼働はボトルネックへ負の影響をもたらし過剰な在庫を抱えることになる為。)
■ボトルネックの能力を高める
■ボトルネックが解消されたら次のボトルネックを探すを繰り返す
※幾ら非ボトルネックが頑張ろうとも従属する一連の工程はボトルネックの生産能力に天井を敷かれる(≠そこで止まるから)、だからこそ常に変動しうるボトルネックを特定することとボトルネックに支配される範囲を極力減らすことが効率的な組織運営になるということです。
【所感】
自分が行う業務は正に色んな人がバトンリレーをするような形で分業しながら成果を出していく訳ですが、このボトルネック・非ボトルネックの理論は実務においても思い当たる所が多いなと思いました。(非ボトルネックが幾ら頑張っても全体の成果にはあまり意味がなく、ボトルネックの能力を高めること&解消こそが優先すべきというのも実務の痛い経験から実感値としてあります、、)
完璧を追い求めないことや部分最適を求め過ぎない、という絶妙なバランス感覚やN1の個別具体な事象に腐心しない、というのはマネジメントに参画していく過程で重要な視点なんだろうなと思って読んでいました。
闇雲に稼働(行動)するのではなく、何の為にそれをするのか?会社視点で見ると企業はなぜその経済活動をするのか?のように目的を設定してそこから逆算するというとてもとても基本的なことをこの本は説いているのですがふとした時に気を付けないと忘れかねない話だなと改めて思った次第です。
※個人的には生産管理・工程管理関連ですとトヨタ生産方式の本と合わせて読み比べて学び返すと面白そうだなーと思っていました。ちょっとマニアックな話です。。
以上です!
ちょっと今回はライトにまとめてみました!!
2021年もあっという間に折り返し地点になりました、残り半年も頑張ります。