雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪プロジェクトリーダー実践教本≫

 

今回は会社の同期からおすすめされた、プロジェクトマネジメント関連の本を要約していきます。実は、僕自身あまりPM経験がなく、かつプロジェクトベースの仕事においてうまく成果を発揮できたと思えることが少なく密かに苦手意識のある分野でした。

マネジメント全般にも通じることのようには朧気ながら認識していたので、いいきっかけになる本でした。

 

 

「プロジェクトリーダー 実践教本」

誰でもチームをゴールに導ける! プロジェクトリーダー 実践教本 | 伊藤 ...

■ジャンル:プロジェクトマネジメント

■読破難易度:低(初心者向けに平易な言葉で書かれており、心構え関連も多いのでかなり読みやすいと思います)

■対象者:初めてプロジェクトリーダーを任された方・リーダーの心構えについて学びたい方・マネジメント業務全般に関与される方

≪今回、選定した理由≫

・PM業務に置いて非常に強みを誇る同期推薦のエッセンスを学ぶ為

・自身の統治型偏重のマネジメント/リーダーシップを顧みて幅を持たせる為

 

 

 

【要約】

■リーダーシップの計画

「リーダーシップを発揮する」と一概に言い古されるが、リーダーシップを効果的に発揮する為には「リーダーシップの計画(5W1Hを加味)」というものが存在する。具体的には「ボトムアップに意見を出してもらい、それをファシリテートするのか」・「習熟度/帰属意識が低いことに着目したトップダウンアプローチが有効か?」等事前準備・計画をすることで効果的なリーダーシップは発揮できるし、リーダーシップは後天的に身に着けることができるという。

 

■プロジェクト発足時期の基本原則

プロジェクトメンバーの全体把握(価値観/経歴/業務習熟度等)相互理解のコミュニケーションの場を設けることが後々の布石として最重要になる。チームビルド・帰属意識の醸成観点で、必要悪であり必須事項といえる。ただリーダーが立てた計画を忠実に遂行という訳にもいかないのが、初期は信頼残高が少ないPJベースでのリーダーの宿命。

 

■組織目的・最終成果物のイメージ共有

相互理解を経た後「組織としてなし得たいこと・どんな方向を目指すのか」のすり合わせ(指針策定)がPJの急所となる。これは何度も原点に立ち返る際の道しるべになるため、定量・定性で設定することと策定プロセスは等閑にしない方がいい。

委任型のコミュニケーションを取るうえでの前提にもなる。最終成果物のイメージが相互にずれが生じるといくら頑張ろうと効果的にPJは進まない。)

 

■適切なメンバーアプローチのスタイル

コンピタンス(職務遂行能力)・コミットメント(本気度/忠誠心)の二軸でメンバーを可視化・適切なスタイルは大きく分類される。

「コンピタンス低×コミットメント低」=指示出し型

「コンピタンス低×コミットメント高」=コーチ型

「コンピタンス高×コミットメント低」=支援型(中堅クラスのメンバーのマネジメント時に必要となるスタンス、遂行能力はあるがやる気がない、または自信がない時等)

 

■要件定義≪プロジェクトマネジメントの基本重要業務≫

ステークホルダー各々が「自身に期待することは何かを言語化・くみ取り、極力角が立たないよう&期待に応えられるようにしていく」ことが必要。そしてその実務を支援する役割としてガントチャート(工程表)の作成」「可視化による現状把握」・「PJメンバーの動機付け」が挙げられる。

※構造化・ファシリテートが実際の実務として占めるパートが多く、ボトムアップ型のマネジメントが必然的に多くなるということです。

 

■コスト管理・工程管理における注意事項

クリティカルパス(所要時間が最も長い動作※成果の可否に直結する業務)から仕事の工程を組み立てるのが急所

≪工程管理・現状把握の重要ポイント≫

①組織発足の時期・関性により生産性は異なる(チームビルドされていれば省略できるコミュニケーションが増えるから早くなる)

②意思決定のバッファを確保する(軌道修正はPJにつきもの、その修正時間を作業工程全体のバッファとして確保しておかないと遅延する)

 

 

【所感】

・少し考えれば想像できるような内容も具体的に記述してくださっている本なのでとても分かりやすい&イメージしやすい本です。具体的なチームビルド・メンバーコミュニケーションのHOWパートの要約は省略しています。

・プロジェクトマネジメントと通常のマネジメント業務は言葉の通り、似ている要素が多く既存の手法を応用することで考えることが出来るものは思っているよりも多いなと気づきました。構成要員が短期間であり、メンバーを選べない等の特質の差はあれども、「組織目的を明確化して周りを動機付け、組織としての成果最大化そのものに対して責任と裁量を持つ」という役割は変わらないと思いました。

・著書の中で何度も説かれていますが、メンバーがどんな所にモチベーションを抱いているか(当該業務/仕事全般等)を把握、適切に強みが最大限活きるように整備するという営みは管理側の責任なのだと思います。

「メンバーの能力を憂いてもそれは管理を放棄しているに等しい、即ち自らの無能を外部に表明しているに等しい」ということなんだと自戒を込めて思った次第です。

・介在することで生み出す組織の正の外部性に対して責任をもつわけだと思いますが、「リスクを可視化・予測して組織全体の成果物をコントロールすると」いうのも大事な営みで、外向けには期待をかけて前向きなコミュニケーションを取りながら、自身は悲観的に非常に緻密に現状把握をするという構造化・効果検証スキルが求められる難しい仕事だなと思った次第です。

・個人的にはこうして周りの強み・強みの源泉を把握/吸収して少しでも自分の中に取り込んでいかないとまだまだ得意不得意の差が激しくて、バリュー発揮できない場面があるのはまずいなと思っているのでとても勉強になりました。

 

 

以上です!!