今回はW・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏共著の「ブルー・オーシャン戦略」を要約します。ブルー・オーシャン戦略は市場戦略の一つで、既存市場・戦略と地続きながら差別化やコスト優位を追求することで、参入障壁があり競争にまみれることのない市場戦略を取れるというのがブルー・オーシャン戦略のコンセプトです。
「ブルー・オーシャン戦略」
![[新版]ブルーオーシャン戦略 | decision_reading](https://th.bing.com/th/id/R.91d7d21c45057d98c77d3b0d2623dac1?rik=FOdbdZkk7Nke6A&riu=http%3a%2f%2fwww.decision-cmc.com%2freading%2fwp-content%2fuploads%2f2015%2f09%2ff788df73d5bd5d991a7babcdf7c6d30b.jpg&ehk=%2b6H1o3eMMUE3v7XXDFsYelKOC5VJ1teFvJvTpCaSz9w%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0)
■ジャンル:経営学
■読破難易度:低(前知識不要かつ豊富な事例があるので、イメージが付きやすいです。前提となる競争戦略の理解がないと何が凄いのかイメージがしづらいかもしれません。)
■対象者:・製品市場戦略に関して理解を深めたい方
・事業戦略の意思決定に関わる方全般
・企業経営についての造詣を深めたい方
≪参考文献≫
■インサイト中心の成長戦略
■企業戦略論(中)
■コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント
■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART8≫ - 雑感
【要約】
■ブルー・オーシャン戦略とは
・ブルー・オーシャン戦略とは市場の境界の引き直しを通じてコスト優位や差別化を実現し、新市場/新顧客の需要を創造する市場戦略を指します。既存顧客・マーケットと地続きに何らかのコンセプトや要素を選択と集中することで未顧客/非顧客を取り込み、他社を寄せ付けない(競争のない状態)を生み出そうというものです。日本企業におけるブルー・オーシャン戦略の代表例はスタディサプリ・JINS・オフィスグリコ・クックパッド・セブン銀行・ヒートテック・パーク24・ライフネット生命などとされます。
・市場や顧客の動向に関する深い・独特の洞察と何を価値の源泉と見立てる/置くかという2つの一見矛盾した要素がブルー・オーシャン戦略の実現には欠かせません。それ故に、顧客やマーケットへの深い造詣を基に、半ば強引・トップダウン的に推し進め既成事実・成功筋を描くことも求められます。日本市場においても産業社会が成熟して既存の市場がレッド・オーシャンで儲からないということが増えた中で、既存市場から少しずらした新市場創造・開拓が成長戦略になることからブルー・オーシャン戦略は注目を浴びるようになりました。
■ブルー・オーシャン戦略導出の急所
・既存の価値曲線とは異なる顧客セグメントや価値を深めることがブルー・オーシャン戦略のポイントで、切り口としては減らす・増やす・取り除く・創造するの4つになるとされます。標準規格をライトにしたり、リッチにすることや別顧客セグメント向けに転用するなどが代表的な動きです。メリハリをつけたサービス提供で顧客セグメントと顧客価値を明確にするというのがブルー・オーシャン戦略の典型的なやり方です。
・ブルー・オーシャン戦略とレッド・オーシャン戦略は紙一重であり、模倣が簡単かどうかや内向きでないかや戦略・コンセプトがシンプルで絞り込みであるかが分岐点です。導出のヒントには業界内の他戦略グループの動向や競合理解・代替産業の価値の源泉を深く知ることなどがあるとされます。
・他の戦略グループから顧客価値の源泉を見立て、選択と集中やライトタッチ・深めるをするがブルー・オーシャン戦略の基本です。バリューチェーン全体でみると顧客やステークホルダーはたくさんいて、力点や視点を変えることでブルー・オーシャンが存在しうるとされます。非効率や戦略オプションには何らかの理由があります。顧客セグメントやバリューチェーンの何に着目するかが差分で、プチイノベーションがブルー・オーシャン戦略の基本なのです。
■ブルー・オーシャン戦略実行の急所
・戦略をビジュアル化する4ステップは「目を覚ます→自分の目で現実を知る→ビジュアル・ストラテジーの見本市を開く→新戦略をビジュアル化する」になります。マクロ視点やビジネスプロセス全体を構造化する・代替手段・価値の源泉を言語化するという営みがブルー・オーシャン戦略の頭の体操として大事な所です。
・買手にとっての効用→価格→コスト→実現への手立てという順番で考えるのが鉄則とされます。バリューチェーン全体において既存の解決策とは違う価値の生み出し方・価値を感じる顧客セグメントがいないと絵にかいた餅になるからです。ブルー・オーシャン戦略はその性質上、市場構造が明確な業界や市場規模が一定ある(セグメントを切ったニッチ集中で採算が成り立つというのが前提にあるため)ということが必須条件になるのが特徴です。顧客の密集する価格帯を見極め、価格受容度を測る・弾力性のポイント(価値の源泉を見極める)という動きが大切です。
・ブルー・オーシャン戦略実行には資源配分や変化抵抗、政治力学など様々な壁がついて回ります。戦略の変更は行動や価値基準の変更を意味し、些細な物事をどう認識するかから力学設計して推進する緻密さが求められます。変革を実践するには悲惨な現状をシニアステークホルダーにも体感してもらうことや不満顧客の対応をしてもらうなどして、変化の必要性を認識してもらうがセオリーです。
【所感】
・若干、後付け・机上の空論感は否めないのがブルー・オーシャン戦略ですが、顧客価値や新市場に着目するアプローチ手法・切り口や技術ドリブンじゃないイノベーションにはこういうやり方があるということを非常にわかりやすく体系化したのが本書の凄みかなと感じました。
・個人的にはブルー・オーシャン戦略のコンセプト策定~実行までを具体的なステップや対策を講じて論じており、一種の変革推進的な行為であることを念頭においた論展開が非常に勉強になりました。顧客価値や市場動態を真っすぐ捉え、如何に既成概念にとらわれず当たり前を疑う・壊すということを胆力を以て推し進めるか・取捨選択をするかというシビアな意思決定が改めて大切ということを認識するに至りました。選択と集中・シニアステークホルダーとの合意・連続的な勝負への勝利による継続的な投資機会の獲得をするというしたたかさが必要で、ブルー・オーシャン戦略とは大企業の新規事業開発や変革推進に近しいものなのかもしれないと感じた次第でした。
以上となります!