雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪戦略フレームワークの思考法≫

 

今回は「ザ・ファシリテーション」に引き続き課題図書である「見立てる」にまつわる本を持って来ました。ロジカルシンキングや議論を整理して組織を率いて解を解く「ファシリテーションスキル」が重要なのは前回の本でも説かれていましたが、今回はそもそもの議論を整理・課題を可視化・把握するために具体的にフレームワークをどのように使うのかに関してまとめられた本です。

(個人的には、PM業務を経験する前に読んでおけば自分の仕事のアウトプット変わったなーと読みながら感じていました。)

 

 

「戦略フレームワークの思考法」

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■ジャンル:スキル系(ロジカルシンキング

■読破難易度:低(フレームワークの使い方にフォーカスした本なので、フレームワークについて既知の方にとっては非常に読みやすいです。アンゾフのフレームワーク等大学時代に学んだ懐かしいフレームワークも多数登場しました。)

■対象者:■ロジカルシンキングを身に着けたい方■課題解決能力に興味関心のある方■実際にフレームワークを活用して成果を出す方法に興味関心のある方

 

【要約】

ロジカルシンキング系の著作で有名な手塚さんの本となります。

ビジネス上でよく用いられるフレームワーク「並列化」「時系列化」「二次元化」という3種類に大別されると説かれており、それを具体的に組み立て運用して成果を出すのかを体系的にまとめています。実際にフレームワークを活用する上で早く知っておくと実践での定着度も変わるような内容に構成されています。

この本には大事な前提条件があって、

「あくまでフレームワークは解を解く上での整理・把握するツール」であり、当てはめて考えることをゴールにしてはいけない。

という思想があります。あくまでフレームワーク知識労働の生産性を最大化させるための武器にすぎず、それを使うことに満足してしまっては元も子もないですよということが何度も警笛を上げて記載されています。

 

では、なぜフレームワークを使うのか?

それは思考をする際のもれなくダブりなく物事を把握することで効果的に課題解決を進めることができるからということが説かれています。(ここの炙り出しをないがしろにすると不毛な議論をしたり何度も思考を行き来して、結果としてパフォーマンスが大きく低下すると示されています。)

※ハウありきの議論をしてしまう場合というのはよくあることかと思いますが、往々にして「前提条件の炙り出し・把握が甘く誰も議論を整理・ファシリテートしていない」ケースが多いから起こるということですね。

 

3種類のフレームワーク(並列化・時系列化・二次元化)の効用をまとめられています。

■並列化 (ロジックツリー・ポーターの5つの競争要因等)

事実による分類(男女等)・法則による分類(BS・PL等)・それ以外(二項対立の概念で分類するのが基本で3C・4P等がここで出てくる。)を用いるケースを述べています。並列化して同次元でコミュニケーションを取れるようにするのが、並列化フレームワークの急所です。

その為①有用性があるかどうか(使うことで議論が円滑に進む、簡単さがあるかどうか)②図示できるかどうか(ポーターの5つの競争要因※競争戦略を規定・構成する要素等が一例)③語呂合わせができるかどうか(要は大衆受けするかどうか・汎用性の高さわかりやすさを示すもの)④権威付けができるかどうか⑤認知範囲の限界に収まるかどうかの5つが肝になるといえます。

 

■時系列化 (PDCAPDS等)

3Cは表面化した情報を統合して整理するためにあるのであり、それにバリューチェーン分析をすることにより明確な企業分析・競合優位性を把握できるような存在になるという。

もっと長期的なスパンで分析する場合は製品ライフサイクル・人生ライフサイクルのような黎明期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期のようなフレームを用いて分析できるようになるのが便宜がいいという。

※このあたりはよくある話が記載されているので一部割愛します。

 

■二次元化

2次元化する際には下記2点を留意しないと本筋からそれるケースが多いと。

●2軸の独立性 これが重複してしまうと分析手法として意味をなさない、人間の認知に限界があるから2次元で記載するケースが多い。

●軸の連続性 区分する際に連続性を担保しないと使いこなせない(SWOT分析等が一例 強み・弱みの内部要因×機会・驚異の外部要因)

※実践する上での有用性としては戦略・製品などのポジショニングをする際に便利

あくまでフレームワークは現状を把握・分類するためのツール、コミュニケーションツールです。

アンゾフのマトリックスは下記。(個人的にはビジネス観点で見ると有用なフレームワークと改めて思うので再掲します。)

「既存市場×既存製品=市場浸透」「既存市場×新規製品=製品開発」

「新規市場×既存製品=市場開発」「新規製品×新規市場=多角化

 

二次元思考を用いることにより明らかになるのは3つです。

ポートフォリオの可視化②ポジショニングの可視化③相関関係の導出などのリサーチ

 

フレームワークを使うことで個人の思考はもちろん、チームで物事を進める際においてももれなくダブりなく現状を把握・可視化することができる効用がある。堂々巡りをしないように損して得取れのように、最初に時間かけて議論の全体枠・方針などを決めることがとても肝になるということがよくわかる。ここをもれなくさえしてしまえば各論の打ち手・課題分析・実行することは容易であるケースが多い。

メンバーはこの全体の前議論の整備が終えた上での成果を出すことを要望されるが、マネジメントレイヤーになるということは前提のファシリテートなどをすることも含め、この状態に持っていくためのスキルも求められるということです。)

 

【所感】

この四半期になってからフレームワークを用いて現状把握・構造化することがかなり多くなったので、頭の整理・内省するのに非常に役に立ったなという読後感があります。紙に書きだしてフレームワークを用いて可視化するのですが、とても便利でありもれなく把握しないことには、実際に組織を率いて成果を出そうと目指す際にもうまくいかないなと実務を通じて感じてきた次第でした。

改めてですが、メンバーの成長は自分個人が発揮できるパフォーマンスが天井になると思うので少しでも課題解決をするスキルを上げて、メンバーをフォローできるようにならないとなーと思っていました。仕組みを整備して現場体験を通じて、成功体験・自分なりの学びが生まれるように作ることがマネジメントに求められると思っていて、まだまだ自分にはできていないなと感じるからです。(こうしたフレームワークはあくまで武器ですが、使うことで楽に成果を出せるなら定着させるのが近道ですね。)

 

一方で、型にはめすぎて自分らしさが欠落したり、置きに行くアウトプットが増えてきたのも事実だと思うので今一度、武器は持ち合わせながらも昔のよさを成果に還元できるように頑張りたいなーと思いました。

 

以上です!