雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪プロフェッショナルマネジャー≫

3月末ということであっという間に年度末です。

丸々法人営業を3年経たということで時の流れは早いなと感じました。。

そんな中で管理職サイドの考え方にたくさん触れようと思い、今回は下記本をまとめました。ユニクロの柳井氏がバイブルに掲げるといわれる名著です。

 

 

「プロフェッショナルマネジャー」

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■ジャンル:マネジメント

■読破難易度:中 (経営者~現場管理職クラス全般に当てはまる内容に思えます。マネジメントの基礎理論を理解しているとかなり読みやすいかと。)

■対象者:理想論ではなく実務的なマネジメント理論に興味関心がある方・数字/成果での経営というキーワードに惹かれる方・プロとしての仕事ぶりを追求したい方

 

【要約】

外資ITの巨大コングロマリットITTのCEOを長年勤められ、58四半期連続増益を果たした凄腕経営者ハロルド・ジェニーン氏が1985年に著した本をユニクロの柳井氏が解説する形で加筆修正した本です。冷酷にも見えかねない理論ですが、自分の職務遂行にとことん忠実であれとなるとこのような結論に至るなと納得の内容です。

 

■リーダーの最も重要な仕事

・目標を設定して、そこから逆算して成果に貪欲にやりきること。本は頭から後ろへ読んでいくが、経営はその逆だ。というのがこの著者の最大の原理原則です。

・遂行のためのボトルネックになることに対しての打ち手を粘り強く実行し続けること。組織を率いて成果を出す責任を出す以上、キーマンを誰か見定めるのは勿論だが、結果・成果しか最終的には自分の味方をしてくれるものはないと知るべき。

 

■2つの組織

・組織図上の公式な組織と組織力学が働いた非公式な組織の二つが組織には混在する。人の為だけに働く人・組織はいらない、しかしながらこの非公式な組織を動機付けすることで成果を上げるためのテコが一番働く。

 

■パフォーマンス最大化に向けて

自分が関わる人へのアウトプットのフォーマットは揃えたほうが良い。

自由にすることにより、見当違いなアウトプットを出してきてそれをみんなで判断する時間が無駄)、期待されていないということではなく、効率的に知恵を持ち寄り成果を出すための方針。

※あくまで組織は知識労働者が成果を最大化するための手段、組織を目的にしてはいけないという警笛です。

 

■部下の報告

・感情・事実が入り混じったものに往々にしてなりがち。その中で事実と解釈を正しく分離して意思決定できるようにすることが管理者には求められる。(メンバーシップとしては事実ベースでの報連相が出来ないと、コミュニケーションコストのかかる人材であるということを意味します。)

・一次情報に幅広くアクセスできる状態を作りだしておくことは質の高い意思決定に直結する為常日頃から怠るべし。

 

■経営者は経営しなくてはならない

・自分の職務(組織を率いて成果最大化)を最優先にせよということ。自分の保身や名誉などエゴが働いてしまうことや情だけで判断してしまうことは長い目で見た時に職務を放棄しているに等しい。

※感情的好き嫌いは尊重すべきであるが、同時に振る舞いとして「自分の組織での役割・期待は何か?」「それを高い質で実現できているか?」という問いには明快に解を持たねばならぬということ。

 

■最悪の病

・承認欲求は最悪の兆候、承認欲求マネジメントは近年流行っているものの、組織の幼稚さを促進させることに繋がり長い目で見た時に排除すべき事象。少なくとも管理者サイドがエゴに突き動かされることは何があってもならない。

※短期的には内発的動機につながるが、それに慣れてしまう組織を作るとオペレーション工数が膨れ上がり結果として成果を出すのが苦労するということです。

 

■数字が意味するもの

・数字は会社の健康状態を示す指標。ここに向き合うことを管理職サイドは怠ってはいけない、職務放棄に繋がる。数字は事実の蓄積、その数字に込められた背景を含めて読み解くことが出来るようになり始めて会社・組織の状態を健全に把握することが出来るようになるしその状態でこなした打ち手というのは再現性が高まる。

(変数・要因が何かを把握することが出来るので、似たような事例を解決するときに持ち運べる為。)

 

■企業家精神

・いくら当事者意識・企業家精神を持てと説こうとも会社から雇用と権利を貸与されている状態では構造的に優れた企業家精神を持つ人材を生み出すことは難易度が高い。一部のスーパースターを当てにせず、原理原則に基づき経営者は経営しなくてはならない。(組織を率いて組織の成果を最大化するテコのような役割、これに忠実であれということ)

 

 

【所感】

・情を排除して原理原則に忠実に実行するとこうなるよということをこれまでもかと繰り返し述べる経営書です。好き嫌いわかれますが、個人的には好きな論調でした。自分が役職という肩書をいただくようになり模索している中ではしっくりした結論でした。

※経営者は経営しなくてはならないという文意です「自分の保身・名誉とかはどうでもよくて組織の成果を最大化するという職務遂行に最も忠実であれ」というシンプルな叱咤激励ですね。

・事実と感情/解釈を切り分けるコミュニケーションやMBA等の理論武装だけでは厳しい、現実には事実に正しく真正面から向き合い人と人の組織力学を紐解き成果を出せ、そこに忠実であれというのが現場起点での理論で刺さった印象です。

・良い意味で感情と事実を分離して仕事することは今後の自分に大事だなと思いました。自分は相互作用する階層の人の為に仕事するもののあくまで組織の成果を出すための一要因でしかない、そこに感情的要素を入れて摩耗すること自体が不毛(というか職務遂行に忠実ではない、プロではない)ということだなという結論に至りました。

・事業の特質・未成熟な組織フェーズという構造的理由で意図しないと数字・事実ベースの意思決定をして成果を出し切るという習慣は身に付きにくいので、一段気を付けようと自戒を込めて示させていただきますね。

 

以上となります!