雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART1≫

 

今回から数回に渡り、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を要約していこうと思います。1000ページ程の分厚さで辞書のような形状の本であり持ち運び不可なのでとても読みにくいです。が、マーケティングの大家の原著をどこかで読もうと思っていたので、重い腰をあげてトライしています。

ベースの思想としては「大量生産時代が終わり、個別最適化したニーズ充足がカギとなる現代のビジネスにおいてマーケティングは一機能としてではなく経営全体の根幹をなす重要な機能である」という考えに則り記述がなされています。

BtoCビジネス対峙する方々全般には現場感に耐えうる内容かと思います。

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・なんと8部構成にも及び尋常じゃない記述量なので今回はPART1「マーケティング・マネジメントの理解」にフォーカスして要約します。

「21世紀の社会的構造変化及びニーズの変化によりマーケティングをより意識しないと持続的な事業運営はなされません」という著者の見解や理論展開の前提を揃える位置づけにあります。

 

マーケティングが取り扱う大分類の市場

「消費者市場(BtoC)」・「ビジネス市場(BtoB、一般的に企業への利益貢献やコストカットとしてのアウトプットで評価されます)」・「グローバル市場」・「非営利組織及び政府機関市場」の4つに構成されます。

 

マーケティングコンセプトとは

・いいものを作るというよりも、「想定した市場に適した価値定義した製品・サービスを生み出していく」という考え方です。※要はマーケットインで顧客動向やあるべき姿を予測してサービスの在り方・方向性を定義して市場に問うことでビジネスを拡販する必要性が増したということを説いています。

 

マーケティングが取り扱う範囲

顧客の需要創造だけでなく、社会的責任・社内活動の最適化(顧客志向という共通言語により最適化を目指す)など迄マーケティングが取り扱う範囲は広がるという思想に立っています。

 

コア・コンピタンス

KSF相関が見込まれる機能以外を外部委託して(優先度低い)選択と集中を促すというのが現代のビジネスの定石となっている中で、一番自社が磨きこまないといけない部分・大事にしないといけない競争優位の源泉を指します。このあたりを定義・常に問い続けることに価値があると提唱したことに価値があると思います。

 

■戦略計画策定におけるマーケティングの種類

「標的市場と提供価値の骨格の定義」が戦略的マーケティング「製品特徴・プロモーション・価格設定・販売チャネル・具体的なサービス体系の確立」が戦術的マーケティングという位置にあり上位概念・下位概念(実行フェーズに近いイメージ)の関係を取ります。

 

■企業本部が担う4つの計画立案

「企業ミッションの明確化」⇒自分たちは何者か・顧客は誰か・何を目指すかという上位概念の策定及び行動指針の形成を指します。この概念を示すことであらゆる階層での共通言語が形成され、トップマネジメントが大きな組織を突き動かしていくことが可能になります。

「戦略事業単位(SBU)の設定」⇒製品ありきで事業を定義するのはプロダクトアウトの概念が抜けていないことを示し、市場に基づいた定義が重要との立場を示します。「顧客を満足させるプロセスの観点で事業を定義すべき」と説かれます。※ドリルを売るには穴を売れ的な考え方です。

「各SBUへの資源配分」⇒戦略的にポートフォリオマネジメントを全社視点で意図出来るようになります。

「成長機会の評価」⇒新規事業の創出及び既存事業の撤退・整理を指します。

具体的には「集中的成長選択と集中・「統合的成長水平統合垂直統合などにより規模の経済などを働かせ生産性向上を意図すること)」・

多角化成長(変数が多くなるので最後に取るべき選択肢、自社のコアコンピタンスと顧客価値を抽象度高く定義+深いレベルでの顧客インサイトを予測することが実現には必要とされます)

です。

※骨組みの策定と機会の創出を人為的に促す役割ですね。

 

 

■事業単位の戦略計画

・事業のミッション⇒SWOT分析(外部環境・内部環境の網羅的な分析及び対峙する市場のKSFと自社の資源・強みの適合性から「市場でどのように勝ちに行くのか」・「何が筋が良いのか」・「どこまでポテンシャルが見込まれる市場であるのか」の定義)⇒目標設定⇒戦略策定⇒戦略的提携(パートナーの選定・顧客関係性の構築など)⇒プログラムの作成と実行⇒フィードバックとコントロールモニタリングの仕組みと合わせて設定され、効果検証・可視化出来るようにして初めて計画は意味を成します。

 

【所感】

マーケティングが経営活動全般に関わるというスタンスの著者なので言及範囲のスケールが広く頭の整理になります。既知の経営理論や戦略策定をもれなく可視化している印象を感じたのでこれはこれで良かったなと感じています。

・最近のスタンスとしては実務からの内省が一番勉強になり、補強ないしは発想力と筋の良い仮説を立てる為に古典的な本を読み解き力をつけるという役割になっているので最適な本であるなと改めて思いました。

 

以上となります!コトラー&ケラーシリーズは膨大なので五月雨式に投稿していくことになります。

気に入ってくださった方はブックマークや「読者になる」登録をしていただけると嬉しいです!月に1~2程度のペースで読んで面白かった本を要約投稿しています。