今回は「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」要約シリーズの第六弾となります。PART6はチャネルの選定方法とバリューネットワークの構築についてフォーカスしてまとめられています。
「販売チャネルのどこにリソースを割くかに、企業の標的顧客や企業が定義するコアの価値は現れる」ということで非常に奥深いパートだと思います。
尚、過去の要約は下記です。
■PART1
■PART2
■PART3
■PART4
■PART5
■ジャンル:経営戦略・マーケティング系
■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)
■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方
≪選定理由≫
・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。
・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」
ということに関心があるためです。
・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。
・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。
【要約】
■サービス分野のチャネル
・「メインターゲットは誰か?」「想定されうるニーズやタイプは何か?」「メインの提供価値は何か?」「何がビジネス成功の可否(≒KSF)か?」を言語化してから選定・整備のが定石とされていて、計画や戦略なき闇雲な拡販はコストに埋もれて、ビジネスとして長期的に持続しないのでとても大事な意味を持つとされます。
■チャネル選定のプロセス
・チャネルにはそれそれ得意不得意があり、自社製品の強み弱み・業界のKSF・製品市場戦略の山の登り方などにより、適切なチャネルは異なるとされます。
※ファブレスメーカーや直販専業などもこうしたバリューチェーンの一部をテコ入れすることで差別化することに価値があるからこそ、特筆事項として取り扱われることが多くなったのでしょう。
■チャネルマネジメントについて
・垂直的マーケティングシステム・水平的マーケティングシステム・マルチチャネルマーケティングシステムの3種類に区分されます。
・垂直的マーケティングシステムは垂直統合に近い概念で、特定のチャネルを深耕することで、連携を強化し顧客起点のPDCAを回すマーケティングシステムを構築し、それにより競争優位を目指すことを意図したシステムです。
・水平的マーケティングシステムはあるチャネルとの取引品目・業界を横に広げて共通したメッセージングでコントロールすることで、製品開発者の思惑を反映しやすいマーケティングシステムを作ることで競争優位を構築しようとするシステムです。
・マルチチャネルマーケティングシステムは直販・小売り・インターネット・テレマーケ等多様なチャネルを同時並行で活用することで、顧客取引総量を拡大させる仕組みです。現代の多くの企業が取り入れている動きです。変数が多くかつチャネル同時が連携することはないのでマネジメントの難易度は非常に高いです。
■チャネルコンフリクトについて
・チャネル同士、チャネルと製造業者のニーズが異なり衝突することは良く存在します。その為、短期的、近視眼的なニーズを超えてあるべき姿(業界や産業ベースで定義できるとベスト)を定義、衝突しそうな思惑を統合していくことがマーケティングマネジメントを持続する上で大事とされています。
■小売業について
・小売業の本来の優位性は「顧客が実際に製品を手に取り、試すことが出来、選択の自由度があることによる必然的な満足度の実現」と「顧客の声を経営に反映させやすい」というものがあります。
・小売業において価格戦略はマーケットシグナルとして極めて重要な意味を持つので、標的市場の価格の敏感性や何に価値を抱くかをしっかり洞察して設定しに行くことが望ましいとされます。なんでも兼ね備えているということ自体に価値を見出す時代の終焉と共に(インターネットに価値が代替された、消費者ニーズの多様化により専業業者の台頭著しい)あり方は変容しています。
■プライベートブランドの台頭
・価格に敏感に消費者がなっている点とPB自体が力をつけてきたことにより、浸透度合いが増したことでナショナルブランドが脅威にされているといわれています。
・クーポン券や値引きの乱発による製品を大切にしない、刹那的な商売が横行したことやインターネットの進展による自由競争化・情報の非対称性の解消などが影響していると言われます。
【所感】
・実際にモノを売るという機能にフォーカスした記述になっているパートであるため、非常に具体的かつ、「それぞれの機能のコアは何か」・「何を意図して行動するのか」ということが網羅的に記述されていてとても勉強になります。
・改めてこうしてみると、インターネットの進展による情報の非対称性や場所の制約が克服されたことで、元々のコアバリューが変容したというのは大きい産業なのだろうと感じました。価格や目に見える機能に閉じず、上位概念で顧客の需要を喚起し続けないと持続的に利益と価値を両立してビジネスを成しえることはできないということだと再認識した次第です。
以上となります!
気に入ってくださった方はブックマークや「読者になる」登録をしていただけると嬉しいです!月に1~2程度のペースで読んで面白かった本を要約投稿しています。