雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART7≫

今回は「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」要約シリーズの第七弾となります。PART7は統合型マーケティングにおける留意事項・ダイレクトマーケティングや人的販売機能についての考察などを扱います。

現代の多様化したマーケティングツールが取り巻く環境だからこそ、マーケティングツールをどのように組み合わせていくかということを体系的にまとめています。

 

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

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■PART2

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■PART3

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■PART4

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 ■PART5

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■PART6

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コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

マーケティング・コミュニケーションを取り巻く環境

・企業はあらゆる手段を用いて消費者に情報を届け、アプローチしようとするので情報過多になり適切な市場への深耕・ブランドエクイティの醸成は困難を極める状態になっています。その為、そもそも「顧客と適切なコミュニケーションを取れているのか?」という段階から検証を重ねていくことを常日頃行うことが大事と説きます。

 

■効果的なコミュニケーション開発の為の留意事項

・下記のステップが必要とされていて、

標的市場の明確化(想定顧客は誰で、何を期待しているかの定義)」

コミュニケーション目的の決定(なぜ、顧客を深耕するのかの定義)」

コミュニケーションの設計

コミュニケーションチャネルの選択(標的市場に訴求するのに適切なマーケティングツールのポートフォリオの決定)」

マーケティング・コミュニケーションの総予算の設定(収支計画を賄えるように設計しないと意味がない為)」とされます。

「どのように顧客が認知形成をし、動機付けがなされ購買していくのかというストーリーを立てて、チャネルごとの役割を規定する」ことが統合型マーケティングにおいては非常に大切でブランドマネジャーやマーケティングマネジャーは留意しないといけない事項です。

 

■マス・コミュニケーションのマネジメント

・「大衆向けにどのような行動促進(例:認知形成・標的市場からの需要創造・購買促進など)をもたらしたいのか」を定義することにより、適切なマス・コミュニケーションチャネルと盛り込むメッセージはおのずと決定されるとされています。

広告はブランドロイヤルティを形成する為にあり、販促は消費者を行動促進させるという基本概念があります。

・イベントや経験は短期的に需要を一気に喚起し取り込むことを目的として、他手法と抱き合わせで実施されるマーケティングツールです。ブランドロイヤルティが醸成される訳ではないので継続的な需要形成に繋がることはなく、あくまで大多数にリーチすることが主な役割となります。

 

ダイレクト・マーケティング

・中抜き費用を削減し、変数を少なくすることで製品販売側のやりたいメッセージ訴求を効果的に実現するという思想から発達しました。DMは顧客に直接アプローチできるが、非常にリアクションが悪く過剰に横行した現代では存在自体が忌避される傾向にある為、カタログ(視覚に訴える)やテレマーケティング活字で訴求出来ない潜在需要の顕在化)・オンライン広告などと掛け合わせで訴求することは基本とされます。

・これらの進化系としてあらゆる概念を盛り込んだものが現代のECサイトと呼ばれています。(例:UI/UXの磨きこみ+写真活字の豊富な情報量の担保による訴求・WEBマーケによる標的市場にカテゴライズしたレコメンド機能の付与など)

 

■セールス・フォースの組織設計

・販売員・法人営業などの人的組織による訴求する機能を指します。人件費が莫大にかかり、人という感情の生き物をマーケティング資源とするので、マネジメントの難易度は非常に高いとされます。しかしながら、「潜在ニーズを顕在化」する必要のある無形商材単価が高く意思決定に複数の工程を有する嗜好品や、ぱっと見で価値や機能をイメージしにくい専門商材などが親和性が高い為、セールス・フォースは重要な経営資源とされています。

・組織目的は「新規顧客の開拓なのか既存顧客の深耕なのか」により大目的は分岐して、「新規顧客の需要創造なのか・プッシュ型の販売なのか」・「既存顧客のリピート重視なのか・需要創造による取引増加なのか」で更に細分化されていきます。

・人員構成については「自社商品に顧客は何を求めているか」・「どのような行動が推奨されるか」・「マネジメントする上で入社段階で持ち合わせていないといけないものは何か?」を加味して人選していくプロセスを経るとされます。

・効果的に活用する為には生産性(重要顧客に工数をかけられているか)・動機付け・評価(適切に評価・促進する仕組みがシステムとして出来ているか)に留意することが大事とされています。

 

■人的販売の原則

・下記6つを留意することが急所とされます。

販売機会の把握と評価(見込み顧客の存在認知)」

事前アプローチ(セグメンテーション及び顧客ニーズの妄想)」

プレゼンテーションとデモンストレーション(AIDAを促進する・ストーリーに照らして顧客の需要を創造する)」

反対意見への対処(価格で売るのではなく、価格に見合う価値訴求をする)」

制約

フォローアップとメンテナンスリピート顧客の開発及び深耕が再現性の高いビジネスに繋がるので継続的にやるべき行為です。無形商材はきめ細やかさによるカスタマーサクセスを生むことが急所になります。)

 

 

【所感】

・自身が法人営業に従事するということもあり、セールス・フォースに関する考察は自身の仕事についての棚卸にもなり大変面白かったです。

マーケティング・コミュニケーションを構成する各要素自体の存在は認知があれども、夫々がどんな役割・強みがありどのような場面で適切か?ということはあまり思考する機会がなかったのでとても勉強になりました。

・詰まる所、商品のコアバリューの策定⇒標的市場の設定≒顧客価値の定義⇒セグメンテーションに即したマーケティングツールの策定・実行というプロセスを経て思考することが何よりも大事であるということなんだと思います。

・「マーケティング活動が経営の急所なので、マーケティング・マネジメントは事業全体の意思決定に関わるものである」というのがコトラーの基本的な思想の根幹をなしますが、事業戦略・製品市場戦略論と検証する確度は違えど目指すことは同じということなんだろうなと読みながら感じた次第です。だからこそ、周辺領域に関する知見も含めて学び、統合していくことでこうした本の価値はより増すのだろうと改めて考え直した次第です。

 

以上となります!