最近、漠然と「自分自身の成功」だけを追い求めているだけでは不十分、周りも成功するような仕組み・影響というのが求められるようになってきたなと感じています。
そんな中で
に引き続き面白い本が読めたのでまとめます。
今回はこちら。東大の教授の方が著した本ですが非常に読みやすいです。
「フィードバック入門」
■ジャンル:人材育成・マネジメント系
■読破難易度:低
(ページ数は200ページ程度、2時間くらいで概略つかめると思います。)
■対象:育成業務に何らかの形で関わる人・マネージャーの視点を学びたい人
【概要】
●「フィードバック」って結局何ぞや?ということを
歴史的背景・基礎理論・具体的な実践方法
(フィードバックを受ける側のタイプに合わせた具体的な対処法とかも書かれています。)という形式で著している本です。
リクルートや人事業務に従事する方にとっては非常になじみのある内容だと思います。
●タイプ別コミュニケーションは非常に具体的であり、実践には使えると思いますがここに記載すること自体に特に意味はないと感じているので、今回は「人材育成の歴史(フィードバックが重要視されるようになった背景)」・「フィードバックの定義」の二点にフォーカスして要約をします。
<人材育成の歴史>
●会社と個人の関係性の変化・製品ライフサイクルの短縮化という2つの外部要因の変化により人材育成・マネジメントに求められる役割範囲の拡大・難易度の向上が起きました。
●終身雇用・年功序列の雇用体系というのは組織の硬直性を招くものの、副産物として人がある程度まで確実に育成・成長する仕組みをつくれていたということが書かれています。
●一方、現代ではキャリア論の隆盛により、会社は個人のキャリアアップのためのツールだとか長く1社に勤め上げるだけが全てではないといった価値観が台頭する中で、その前提が崩れてきて育成に専念できない環境ができているという構図のようです。
「マネジメントレイヤーがマネジメント業務に割くことのできる工数が削減されている中で適切な人材育成をしないと組織が成り立たない。」
そんな中で台頭したのがフィードバックという概念だというわけです。
<フィードバックの定義>
●現代の主流な理論としてコーチングなどの社員自らに内省を期待して、マネジメントする側は
●フィードバックは相手に現状を認知させ、立て直す
「ティーチング(情報提供・現状把握)」
と
「コーチング(内省促進)」
2つの要素を持っているものです。
●このフィードバックは痛みを伴うものあり、適切なコミュニケーションをしないと刺さらないというのが難しい所。
※コーチングだけして、相手をあまり批判しない、褒めて伸ばそうというのが現代の人材育成の潮流になっているのですがそれは違うとバッサリこの本では切り倒しています。
というのも「何もインプットがない中で相手に内省を促した所で、何も出てこないから。出てくるとしても上司の顔色を窺った教科書通りの回答しか出てこない、それは課題の真意の特定により時間がかかるようになるだけだ。」
これが著者の見解です、僕自身も該当する場面があったので非常に賛同できる見解です。
つまり、ある程度メンバーの自発性だけに期待するのではなく、管理する側から働きかけをしないと難しいってことですね。
◎フィードバックの肝
●事前準備が非常に大切と記載されています、第三者も含めてあらゆる人から当該人物の視点・意見を集めて集約することが相手に適切なアプローチ・メッセージングができるということです。
●そうした準備をしたうえで「事実」に基づいて主観をいれず淡々と指摘をすることが大事なのだそうです。
※極力メンバーが感情的になり話の論点がずれないようにするためにこれはかなり急所になると口酸っぱく記載をされています。
【所感】
●自分がフィードバックを受けることもすることも格段に増えて、自分の組織で果たすべき役割範囲からも非常にうなずきながら読める内容でした。頭ごなしに否定をしたり感情をいれないで事実に淡々と向き合うというのは、日々の仕事でももちろん大事ですがこうした育成の場面でも急所になると改めて戒めになった次第です。
●逆説的ではありますが、一番大事なのはこの本を読んで頭でっかちになるのではなく、原理原則を理解した上で現場で使えるように要素要素を編集していくということなんだろうなと思います。
※学者になることが職業人としての成功ではないわけで、あくまで成果最大化がゴールなわけですから。。
以上です!
今回の本は非常に読みやすく、あらゆる方に意味のある内容だと思いますのでお手軽に!!