今回はグロービスシリーズの「ファイナンス」をまとめてみたいと思います。
「幾ら経営戦略などを単独で学んだ所で定量的に分析・処理できないと現実に即した仮説・実行は出来ないな」と漠然と昨年くらいから課題意識を持っていて、会計と合わせて密かに勉強していたジャンルです。
■ジャンル:金融
■読破難易度:低~中(数式をシッカリ理解しようとすると統計学等の知識が必要ですが、理論が何を言わんとしているのかの読解レベルであればかなり読みやすいです)
■対象者:財務金融業務全般に従事する方・株式市場について理解を深めたい方・初めて金融分野の勉強をされる方
※初学者向けにかなり拘って作られていると思います。
【要約】※公式・数式を並べた所で特段意味はないと思うので基本概念をピックアップする形でまとめます。
★定量分析の王道がファイナンス 20世紀後半から体系だって来た比較的新しい学問
≪メリット≫
・ビジネスのリスクを定量的に把握できる
・リスクを定量化して得るべきリターンを定義できるようになる
≪ファイナンスを構成する2要素≫
・インベストメント(株式・社債などの金融資産への投資対象)
・コーポレートファイナンス(企業財務/資本の調達・どのように投資をするか投資のリターンをどのように投資家に還元するか)
≪コーポレートファイナンスの役割≫
・財務の意思決定…資本市場への対峙(どのような経路で資金を調達するか・調達経路にどのようにリターンを出すか)
・投資の意思決定…事業活動(開発・製造・販売等)
■事業の収益性を図る指標
・ファイナンスの世界はPL(利益・結果)・BS(資産の有効活用)・CF(得たお金の使い道)という財務三表の中でもCFに着目した理論です。
⇒(収益は出ていても投資対効果がない案件をあぶりだす意味でPL・BS両方見るべき)
※ファイナンスの世界では投資家の視点で企業のリターンとしてのキャッシュがどれだけステークホルダーに帰属するかで良しあしを見る為、財務会計・管理会計とは少し異なる視点で数字を見ることとなります。
■ファイナンスの世界の「リスク」
≪リスクの定義≫
・ファイナンス理論におけるリスクとは「不確実性」を指す、損の出る可能性の高い取引でも事前に手を打って損害を最小限に抑えられる場合、それはファイナンスの世界ではリスクとは言わないです。株式のリターンのばらつきは正規分布に従います。
・相殺すること(ポートフォリオを組む)でコントロールできるリスクを「ユニークリスク」・コントロールできないリスクを「システマティックリスク」といいます。
■企業価値の定義
・企業の価値=企業の保有する資産の市場価値というのがファイナンスの世界の考え方、その資産の中の事業資産(事業の現在価値に紐づきうる資産だけ切り離した際の価値)を見ることが大事というのが基本原理です。
・株価・M&A・リストラをする際の参考指標として用いられます。株式市場価値は資産から負債を除外したもの、つまり企業単独の資産の保有高を示します。
・企業価値の最大化を経営の目的とするファイナンスの概念を早くから取り入れたアメリカは、経営者の役割は株価を上げること(資本の最大調達源である投資家に敬意を示すべきということ。)という言葉の意味が分かりますね。
■経営戦略との補填関係
・血の通った戦略・ビジョンがないと多くの人を動かすことは出来ない、その意味において描いた餅が正しく具現化されるかのツール・妥当性検証としてファイナンスがあるということです。つまりファイナンスの世界の定量分析起点での未来予測・戦略策定はされることはあまり多くなく(外部要因などビジネスには変動要素が大きいので)、経営戦略に紐づいてファイナンスの視点からも分析して妥当性・リスクに対する選択肢準備などをすることで強固な方針になるということです。
【所感】
・要約しようにも理論パートのどこを抜粋しようか迷いましたが実務応用の観点でピックアップしたので少し散文的な内容になっているのはご了承くださいませ。
・「定性的な理論の世界の経営戦略」と対になる「定量的な理論の世界のファイナンス」ということですが大学時代のファイナンスの勉強ということもあり懐かしさを感じました。久しぶりに勉強し直すとやっと理解できた概念などもあり、実務等の経験値は理解を助けるのだなーと思った次第です(笑)
・個社深耕・上場クライアントへ芯を食った提案をしようと思うと表層的な事象だけでなく何が財務的な観点で起きているのか・経営戦略はどのようになっているのか?を紐解いていく必要があると思うのですが、その分野において自分の引き出しを広げる意味では非常に重要な知識かなと思っています。食わず嫌いでアレルギーを覚える人は多い分野かと思いますがファイナンス・アカウンティングはコスパが非常にいい学問なのではないかと最近はようやく価値を認識出来るようになっています。
・個人的には現場サイドでビジネスに取り組む中で、
「経営層・株主がどのような視点を持つのか?」「その観点で見ると筋のいい成果物は何か?」と思考を出来るようになることは自分のバリュエーションが広がるので大事なんだろうなと思いました。(いくら社員の遣り甲斐が~とか言った所で経済合理性・収益性・将来性を担保出来ない事業は淘汰されて行ってしまうのでね、、)
・個人的には数字に明るく現状把握の解像度を上げることで見立て・仕立ての精度を上げていくことで高い成果を出していくことでしか、自身の差別化はなしえないと思っているのでこうした定量分析に纏わる視点というのはなんであろうとも非常に助かる・役立つなと思っています。足元の現状把握がすることが出来るようになることで、冒険をしてもいいリスクをどれだけ取れるのかがわかるということは勿論、そもそもとして現場サイドで状況把握・定量分析に明るい人材がどれだけいるのか?はビジネスの成果につながるのかなーとおぼろげながら認識しているという課題意識もあるのでぴったりのタイミングの勉強でした。
以上となります!!