雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪競争の戦略≫前編

 

これまでリーダーシップ系の内容が多かったのですが今回は少し毛色のちがうジャンルの本を題材に持ってきました。

どうしても自分が対峙しているビジネスが短期的・近視眼的な思考により過ぎる傾向があるのでもう少し鳥の目的な視点を取り戻そう・身に着けようと考えて、かなり長期的な視点の古典的な書物を持ってきました。

経営企画とかマーケティングに従事しているイケてる方は大体読んだことあると聞く本です。

 

 

「競争の戦略」

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■ジャンル:競争戦略・経営・マーケティング

■読破難易度:中~高(理論は競争戦略・市場戦略あたりの講義を受けたことあれば理解はできるかと。論文チックなので読みやすさは個人差あるかと。)

■対象者:事業経営に関わる方・興味関心がある方

・マーケット構造の理解・フレームワークを体得したい方

 

 

経済学部出身の僕からするとかなり懐かしいポーター先生。

競争戦略の体系的な理論を確立した方で、一度は聞いたことがある方がほとんどかと。

1営業メンバーの僕ですが業界構造やマーケット構造を理解するための古典的な分析手法・フレームは理解しておいて損がないかなと思い、このタイミングで読んでみました。事業家になりたいという方などは一度は読み通しておくべき内容だなというのが率直な感想です。

 

【要約】

450ページ・6000円超えの力作なので正直、内容盛りだくさん過ぎてかなりまとめるの難しいです。今回は前半部分の「競争戦略のための分析技法」というパート(250ページ位)をまとめます。

 

・競争優位性を決めるのは資金をどれだけ確保できるか≒投資収益率が業界平均よりも良好であるかどうかに起因する。(値段が高くても収益率が高いと投資家から収益性を評価され、更なる投資により競争優位性を構築できるということですね。)

 

・参入障壁・撤退障壁により業界の構造は規定される。

→設備産業は参入障壁は高く既存企業が旨味を独占する傾向にあるが、無形商材(人材・Web系などは顕著)は参入障壁も低ければ撤退もしやすいため業界内に多数の企業がひしめき差別化に苦戦する≒利益率があまり高くならない。

 

≪3つの基本的な競争戦略≫

●コスト・リーダーシップ(大量生産や生産工程に強みを持つなど規模の経済がいきる企業がとる戦略)

●差別化

●集中(特定のセグメントに資源を投下して二ッチトップシェア・収益性を担保する戦略)

※これは大学で経済学学んだことあれば耳にタコができるくらい聞いたことある話かと。

 

・買い手・売り手のどちらが立場が強いかにより業界の構造と取るべき戦略は自ずと規定される。一般的に売手が弱い(旨味がない)と業界内の企業は多数ひしめく群雄割拠になる傾向になります。独占するメリットがないので自然と言えば自然ですね。

 

「マーケット・シグナル」…業界内の特定企業が示す行動・メッセージにより受ける市場全体へのインパクト。はったりや経営方針含めてこれには包括されます。業界というフレームで考えようと我々はしがちですが、隣接する業界のマーケット・シグナルも当業界に影響を与えることがある、だから常に世の中全体の流れやマーケット構造を把握することを怠ってはいけないよということが記載されています。

 

≪業界の進展・変化≫

事業の成熟度合い・製品ライフサイクルに応じて顧客の商材へのリテラシーは変容・事業上の優位を作るビジネスプロセス(開発なのか・マーケティングなのか等)は変化するという話です。このあたりは我々は何を事業上の価値としていて、顧客は何を価値としているのかということを考えて仕事しないといけないなと改めて気づかされるきっかけにもなりました。

 

 

【所感】

かなり省略して印象に残った所だけまとめました。

業界構造のフレームワークを記事にまとめるのはかなり至難の業なので詳細もう少し知りたい場合はぜひ一読オススメします。。

そもそも、大学院生や教授向けにポーターが記載した内容なのでとにかく抽象的で読みづらい印象はありました。ただし、内容をなんとか自分の言葉や現在自分の周りに起きている事象に置換して理解するプロセスはかなり勉強になったなーという印象です。

現場サイドがマーケットや長期的な視点を持って見解を持ったり、実際に行動に起こせる状態は非常にイケている状態になると僕は思っていて、今はそれができているとは思いませんが見解を求められた時に提示できる・特定するフレームを自分の中に持ち合わせて居るという状態は作っておかないといけないなと思っています。

自分の充足や自己実現だけのために仕事をする段階はとっとと卒業して世の中・マーケット・サービスみたいな所に主眼を置いて一段上を目指さないと直ぐに腐ってしまうという最近の僕の危機意識にかなりタイムリーに響いた本でした。

 

後編は業界構造のフレームを用いて業界の分類を実際にしている第Ⅱ部以降を要約します。かなり読みやすく面白いのでまたまとめます。

 

よろしくお願いします!!