雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪非営利組織の経営≫

今回もドラッカーの本を読み解きまとめていきます。

ソーシャルセクターについての体系的な分析・主張をまとめた当時としては非常に先進的な本であったのではないかと思います。

 

 

「非営利組織の経営」

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■ジャンル:マネジメント系

■読破難易度:低~中(他のドラッカー本に比べて対談内容が多いのでサクサク読めるかと。)

■対象者:ソーシャルセクターの仕事が知りたい方・仕事に飽きてきた方・ビジョンやミッション策定に興味関心のある方

 

 

【要約】

ドラッカーのマネジメント理論を非営利組織に応用した本です。

金銭的報酬ではなく、意味報酬のみにより組織の構成要員を惹きつけるという第三セクターの特質から、よりシビアにビジョン(我々は何を目指しているのか)・ミッション(何のために事業をするのか)を規定することが肝だよということがまとめられています。

資源が限られるからこそ顧客選定(我々の顧客は何か・顧客の価値は何か)を定義することが持続的な経営・事業価値向上において急所という視点が新鮮でした。

 

リーダーシップの章の提起は印象深いです。

「リーダーは自分の決断・行動が認識されるように働きかけることが必要でありそのために必ず行動する際に意思決定を共にする人をつけたりするなどしないといけない。自分ひとりでやっている感覚をメンバーに植え付けさせてしまうとメンバーの当事者意識は薄れるし課題の顕在化が遅くなる。自分のコピーとなるような人材を後継者に登用する弱さを見せてはならない」

 

マーケティング

マーケティング顧客は何を求めていて、そのために我々は何をできるか)を規定することが事業の成功に帰結する要素が多いというのも成果の可否がわかりにくい非営利組織ならではの特質であると思っていて、ビジネスの世界で大成するためのスキルをフル活用してなんぼの世界なんだなと考えさせられました。

⇒プロダクトアウトの世界ではなく、とことんマーケットインであれということですね。

 

<採用・育成について>

人材プールが潤沢にあるわけではない非営利組織においては、ビジョンやミッションの策定によるスクリーニングをしたほかには育成による内部調達やうまく機能しないことを前提とした経営をしないと簡単に崩壊すると。

 

<何によって憶えられたいか>

仕事を通じて自らを充足させ続けるべき、そのために自ら仕事や新しい機会を生み出しアップデートし続けようという主張です。人生の最後に自分はどんな人として覚えられていたいか、それを定義して働くことこそ充足感と自己成長につながるよという熱い主張です。

 

【所感】

・非営利組織を体系的に分析したのは当時としてはものすごく斬新だったのではないかと思います。ビジネスの世界の原理原則を応用すれば成果にコミットすることができるけど、民間企業以上にプロセスをしっかり作りこみ定義しないと大成しないよという主張は妙にしっくりくる所がありました。

・外に機会を作りだし飽きることなく前に進み続けないとなぁと内省を促す1冊になりました。どこまで行っても僕は社会起点で物事に対峙している時間が多ければ多いほど充足感を感じるというのには変わらないようですし。

 

 

以上です。

次回からは久々に人事系やマーケティングの古典的な本の要約に戻ります!!