知識(情報)をインプットするための読書
と
視点の獲得・棚卸(内省)をするための読書
の2種類があると僕は思っているのですが今回は完全に後者に振り切った内容の本です。大好きなドラッカーの本で非常に難しいと言われるこの本ですが、そろそろ手を出してもいいレイヤーになってきたかなと思ってきたので選びました。
「現代の経営(上)」
■ジャンル:マネジメント系・経営戦略系
■読破難易度:高(20ページを読む&要約書き起こしで1時間かかるくらいのペースです。上下巻合わせて500~600ページくらいのものです。)
■対象:マネジメントレイヤーに所属する方・人事担当者・経営学を基本から学びたいと考えている方
全然現代の著作物ではないですが(1954年)、セブン&アイ会長の伊藤氏やファーストリテーリングの柳井氏も愛用する内容です。とにかく難しく時間がかかります。何度も読み返していきたいなと考えています。
※今回は非常に内容が濃いので2回に分けてブログを記載します。
【概要】
企業の役割・機能価値について体系的にまとめた初めての本と呼ばれています。
戦後間もない1950年代に著されていてGMの調査をベースにドラッカーの見解が述べられています。
・マネジメントの本質(マネジメントって何?をまとめている)
・事業のマネジメント(事業運営においてマネジメントが果たす役割とは?をまとめている)
・経営管理者のマネジメント(マネジメントレイヤー自身の役割定義・役割など)
の3部構成を上巻は取っています。
今回のブログは主に前半2つです。
「マネジメントが競争優位性を生む」という大前提の中で、有するマネジメントレイヤーの活躍・育成にフォーカスしているのがこちらの本で、よりマネージャーの職務・企業が成果をなぜ追及するのかという観点にフォーカスしているのが
「マネジメント」
・同様の文脈でマネジメントレイヤーを外から引っ張ってくることとひきつけ続けることが人事上の競争優位性だと説いたのが
「ウォー・フォー・タレント」※ドラッカー著作じゃない
となります。人事関係の観点では全て読むと一気につながるのでお勧めです。
<マネジメントの定義等>
●マネジメントは事業的な成果の追求を第一に考えることが役割であるという蹴り出しから始まります。
あらゆる投入資本の中で唯一成長を期待できるのが人的資本
(他の資本は機械的な法則にしたがう)、だから人の生産性を最大化するマネジメントの差異=競争優位性ということになります。
<事業運営>
ドラッカーの定義に準ずると企業の基本的な機能は二つしかないと言います。
顧客の規定・分析をマーケティングとするならば、市場開拓・サービス開発などをイノベーションと呼びます。
もっとかみ砕くと業務効率化や成功事例の横展開はイノベーション・営業推進・顧客選定などがマーケティングの範疇となります。
<事業の目標管理>
あらゆる機能に対して目標を設定して、管理・振り返りをすることのできる体制を整えることが再現性のあるマネジメントのために必須と説かれています。
直観による事業運営は再現性がなく、必ず破綻するということを何度も述べています。(最近実感する場面が多いのでしっくりきました。)
設定された目標の中で成果を最大限出そうとマネジメントをすることよりも見合う適切な目標を設定する能力のほうがはるかに尊い。
未来を予測して枠組を決める能力だからだ。目標設定方針がずれていたり目標を修正せずどうにか無理なものを追うというのはばかげた話ですからね。
<イノベーションについて>
イノベーションには2種類があります。※下記、自分用の要約抜粋
「①製品やサービスの新しい開発
②事業プロセスの改善
(①が新規事業開発・②がベストプラクティスのイメージ)
常に新しい機会をとらえてイノベーションを生み出していないと非常に危険、なぜなら組織内のエネルギーが内向きになりマーケットを見て仕事をしない組織の硬直化を生みかねないからだ。変化するマーケットで置いていかれることになる。いま儲かっている企業が常に新しいことをしているとは限らない、過去の産物の利益を食い潰しているだけの可能性は往々にしてある」
【所感】
読んでいて何度もうなずく場面が多い本です、ここには書いていない内容もあります。
事業の価値を自ら問うことも大事ですが、価値を決めるのは顧客であるというのは非常に突き刺さります。
(誰が顧客でどんな価値を提供していると捉えるのかを内省するのはもちろん大事です。)
周り回って最近は原理原則などものすごく基本の基本を捉えている本を読んで、
自分なりに言葉にすることが一番身になると感じていて面白く読めました。
また、個人的に追い風を受けながら爆速で成長をすることが求められているタイミングになっているので常に頭をフル回転させていますが、ぴったりのタイミングにこの本に出合えているなと思っています。
(個人の成果だけ追い求めていても意味なく、組織の成果を追及し成果に寄与できる人材になることが急務と今は思っているので。)
以上となります!