雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪戦略策定概論≫

今回は波頭亮氏の「戦略策定概論」を要約していきたいと思います。

事業戦略・製品戦略を理解して自分の領域戦略に落とし込むという実務ウェイトが増えてきたので、実務のヒントになるのでは?という思いと

「事業観点で製品を導入・提案していくことで自分の営業としての引き出しを増やそう」と模索している中でそもそも顧客の事業や会社全体がどのように構成されているかを理解出来るようになることは相関があると思っていて2つの理由でこの本を読もうと思いました。

大前研一氏の「企業参謀」の戦略立案パートだけ切り出して実際の進め方までイメージが付くように記述されています。(企業参謀は少し思考に寄っていますね。)

 

「戦略策定概論」

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■ジャンル:経営戦略系

■読破難易度:中(本の構成自体はとても端的でわかりやすいですが、経営戦略分野の知識が少々必要です。競争戦略やマーケティングに明るいととても読みやすいかと。コンサル入社した知人が内定者時代の課題図書として読んだと言っていたので、その程度の難易度です。)

■対象者:・戦略を立案する仕事に従事する方全般・会社や事業の解像度を高めたい方・ロジカルシンキングの活用方法に興味関心のある方・企業戦略に興味関心のある方

 

【要約】

・戦略とは?という所から頻出事項である製品市場戦略・マーケティング戦略・機能別戦略について策定方法と留意点をとてもわかりやすくエッセンスと具体例を詰め込んだ内容になっています。

 

■戦略とは

・戦略とは「競合優位性を活用して定められた目的を継続的に達成しうる整合的な施策群のまとまり」と定義します。

■戦略策定のプロセス

「分析」・「発想」・「具体化」の3段階を経て構成されます。

事実の収集・現象の構造把握によるボトルネックの特定⇒あるべき姿とギャップを埋める+課題克服の解決策を洗い出す⇒解決策の選択肢を実現可能性や自社の資源(競争優位性やKSFとの親和性を鑑みて優先順位付け)⇒実務に落とし込むという流れを経ます。

■戦略策定に必要な思考要素

「統合力」「分析力」「想像力」「論理力」と定義されます。具体化・抽象化を行き来しながら全体の骨組みの特定と因果関係の規定をするので情報を一種の塊に「統合」することや与えられた情報を「分析」して仮説を生み出したり、何が起きているかの国語と算数の側面での「想像」、それらをつなぐ「論理」が必要ということでしょう。

 

■企業戦略の構造

・全体戦略と個別戦略で構成されます。全体戦略は全社に及ぶ話なので資源の配分を論じたPPM等のイメージで、個別戦略は事業部単位の戦略なので製品市場戦略などが代表的な具体例となります。大事なのは全体戦略は個別戦略に影響をおよぼすし、個別戦略は全体戦略の方針・意向を踏まえたものであるべきという階層構造を取るということです。

 

■代表的な戦略類型

ポートフォリオ戦略(PPM等)・成長マトリクス(アンゾフが提唱した「市場浸透」「市場開発」「新製品開発」「多角化」という既存/新規市場×既存/新規の4象限にプロットした製品別の戦略等)・ポーターの事業戦略(市場のどの面を抑えに行くか・何で競争優位を生むかという方針は「コストリーダーシップ」・「差別化」・「集中」という3分類にまとまるというもの)・コトラーの市場ポジショニング(マーケットリーダー・マーケットチャレンジャー・マーケットニッチャー・マーケットフォロワーという4分類で製品市場におけるどのようなポジションを取るか、紐づいた戦略や方針は決まるというもの)などをわかりやすくまとめています。

 

■製品市場戦略

「対峙する業界の成功相関要因(KSF)と自社の資源の親和性からどこにテコ入れをするか・何をターゲットとするか」ということを描いたものが製品市場戦略です。戦略は「効果の大きさ」「必要な経営資源」「有効性の期間」「ダウンサイドリスク」という4つの観点から効果検証されるべきで(基本的に事業部全体の意向や予算制約等があるため+実際に実行されない絵にかいた餅は全く意味をなさない為。)、実際の戦略を実現するアクションプランと効果測定する仕組み・モニタリング制度を設計までしないと戦略は意味をなさないと強く説かれています。

 

■機能別戦略

・営業や研究といったバリューチェーンで分解した時の単位別の戦略です。製品市場戦略と対比的な役割を担い横ぐしを刺すような形になります。何らかの競争優位・利益を生み出す仕組みを構築することが戦略の役割ですので、メインは生産戦略・販売戦略・技術戦略の3つで構成されます。

 

■生産戦略

「良い品を・安く・早く」が基本方針で品質管理・原価管理・工程管理などの生産管理や大量生産方式など日本が元来から追求してきた分野です。

多品種少量生産方式が市場ニーズに応えられるようになるにつれて、テーマは自動化・省力化やSCM(サプライチェーンマネジメント)・アウトソース(ファブレス企業の台頭などはわかりやすい例です)等に変化しているとのこと。

 

■技術戦略

「R&D」のような新製品開発・「技術ポートフォリオ等の技術の運用の濃淡を戦略実現観点で行う」の二軸で構成されるのが技術戦略です。R&Dにおけるテーマは「技術難易度」×ビジネス的な期待「期待成果」の掛け合わせという軸で判断されることがメインです。効果性を図る指標としてアイデア効率・テーマ効率・完結率・事業化率・事業収益率の5つがあるとされます。

※研究機関ではないので実際にビジネスを生み出す・貢献するものという絶対的な指標が入るということです。

 

■営業戦略

顧客セグメントの設定や付加価値をどのようにするかという「営業の在り方」+営業の質と管理を効果的に行う「仕組み」の2軸で構成されます。営業のトークスクリプトの策定や管理システムの整備・注力顧客セグメントの開発等が実務的なものであり、商材及び製品市場戦略の全体方針に大きく影響を受けます。(薄利多売でOKなのか・ブランドイメージ構築が重視・収益性重視なのか等により営業をする上でも取れる選択肢や価値の高い行動は変容するのでこのあたりは当たり前かと。)

 

【所感】

・所謂、経営戦略や理論をまとめたものを「実務にどのように落とし込んでいくか?」「気をつけるべき思考プロセスや観点はどこか?」ということにフォーカスしているので実務を内省していく観点で大変便利でした。本当に読みやすくきれいな構造化されている著者の構成には畏怖の念を感じました。

・この手の類の本は一定実践したり似たようなジャンルの本を読んでいくことで有機的に知識が結合して、実務で活用できるようになっていく実感があるので重ねて読むのが大事だなーと感じています。かれこれ1年半くらい試行錯誤してポーターやPPM等の考え方をまともに実務に落とし込んで考えられるようになった感覚があるので、戦略を策定して実行するところまでもれなくきれいに進めていこうとするとまだまだ場数と時間がかかりそうだなと読みながら内省して途方に暮れた次第です。

・とはいえ早くから着手したことで自分の営業としての引き出しや戦略策定・推進に関わったり、事業の解像度が上がった感覚はあるので食わず嫌いせず着手してみるのが大事だなーというのがこの2年くらいの実感です。

 

以上となります!

気に入ってくださった方はブックマークや「読者になる」登録をしていただけると嬉しいです!月に1~2程度のペースで読んで面白かった本を要約投稿しています。 

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART2≫

前回に引き続き「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を要約していきます。PART2は「マーケティング活動をする前提の効果的な情報収集・及び情報の取り扱い方法・意思決定へどのように反映するか」というテーマ感を扱います。

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・主にマーケティングリサーチと呼ばれる分野についての考察です。

■効果的なマーケティング情報システムを構築することの有効性・必要性

・大量生産時代の終焉と共に消費者ニーズは多様化・市場全体のパイは天井を迎えていることが多く、如何に競合(業界跨ぐものも含む)からシェアを獲得し顧客需要を生み出すのかが大事であり、それは「効果的なマーケティング手法の策定とマーケティング手法をもたらす情報の取り扱いシステムの策定」に紐づくという思想の基に本パートは存在します。

※目下では製品を海外市場にもたらすことで拡大している企業が多いですが、それで限界が来る場面においても効果的に売上と収益を構築する意味ではマーケティング活動は必要だよということでしょう。

 

■マクロ環境要因を分析する意義

・主に消費財向けですが、「消費者の価値観や嗜好性がどのように変化しているか・それはなぜ起きているか」を分析することがマーケティング活動をする上で第一に知るべきと評されています。(世代構成・経済環境・人口の地理的移動・文化的嗜好の変化等が具体的に着目するものです。)

 

マーケティングリサーチのプロセス

・前提として消費財メーカーは営業が直販することで顧客需要を満たすことは物理的に不可能かつ採算が合わないので、マーケティング活動は競争優位の源泉となります。その為、効果的に顧客需要を特定・市場分析できるシステムを構築出来ている会社がそれだけでマーケティング起点の競争優位を作るということになります。

・具体的なプロセスとしては「問題・意思決定の選択肢/調査目的の明確化⇒調査計画の作成⇒情報収集⇒情報の分析⇒調査結果の抽出⇒意思決定に導入・実行」となります。

 

マーケティングリサーチの留意事項

・筋の良い仮説構築が必須であり、その為には明確な課題設定と市場需要がどのように構成されるか・競合分布などのデータを基に全体概観を構築することが大事になります。

・加えて、マーケティング施策そのものがどれだけのポテンシャルを持つのかという観点で「売上予測/需要予測」をすることが必須となります。

※見込みの薄い市場にマーケティング施策を講じても採算が合わないですからね。

 

マーケティング施策の可否を測定する上で効果的な分析手法

「売上分析・市場シェア分析・売上高マーケティング費比率分析・財務分析」の4つであるとされます。「財務インパクトはどれだけもたらされるか」・「そもそも市場ポテンシャルはどれくらいあるか」・「マーケティング活動がどれだけの効率性を持ち、売上寄与は如何ほどか?」ということを考察せよということです。

 

■需要予測

「見込まれる市場のサイズはどれくらいで、有効な消費者はどれだけ存在するか⇒注力市場セグメントはどこか」という階層で市場の需要を予測するべきであり、将来的な需要予測においては潜在ニーズや競合サービス・業界等の需要まで取り込んで推定するべきとされています。

どれだけの市場ポテンシャルがあるかにより長期的な戦略ロードマップを描くことが出来るようになるので、製品ブランドマネジャーなどが重要視する理由もうなずけます。

 

【所感】

・全体戦略を具体に落とし込んだり、部分戦略を描くことが多い現業に非常に親和性のある内容だったなと個人的には思うパートでした。顧客を支援する上においても事業部単位で何を試行しているのか・どれだけのポテンシャルを目指して事業活動をしているのかなどに頭を巡らす上では忘れてはならない概念だなと思います。

・加えて、「派手な採算を問わないマーケティング活動はやめるべき・経済合理性や顧客需要をどれだけ取り込むかという観点で測定すべき」

というコトラーの強い意志・思想が垣間見えるなと感じました。

・パーツとして理解していたことが有機的に統合していくプロセスはこうした分野を学習していると味わえる楽しみだなと改めて思いました。

 

以上となります!

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■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART1≫

 

今回から数回に渡り、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を要約していこうと思います。1000ページ程の分厚さで辞書のような形状の本であり持ち運び不可なのでとても読みにくいです。が、マーケティングの大家の原著をどこかで読もうと思っていたので、重い腰をあげてトライしています。

ベースの思想としては「大量生産時代が終わり、個別最適化したニーズ充足がカギとなる現代のビジネスにおいてマーケティングは一機能としてではなく経営全体の根幹をなす重要な機能である」という考えに則り記述がなされています。

BtoCビジネス対峙する方々全般には現場感に耐えうる内容かと思います。

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・なんと8部構成にも及び尋常じゃない記述量なので今回はPART1「マーケティング・マネジメントの理解」にフォーカスして要約します。

「21世紀の社会的構造変化及びニーズの変化によりマーケティングをより意識しないと持続的な事業運営はなされません」という著者の見解や理論展開の前提を揃える位置づけにあります。

 

マーケティングが取り扱う大分類の市場

「消費者市場(BtoC)」・「ビジネス市場(BtoB、一般的に企業への利益貢献やコストカットとしてのアウトプットで評価されます)」・「グローバル市場」・「非営利組織及び政府機関市場」の4つに構成されます。

 

マーケティングコンセプトとは

・いいものを作るというよりも、「想定した市場に適した価値定義した製品・サービスを生み出していく」という考え方です。※要はマーケットインで顧客動向やあるべき姿を予測してサービスの在り方・方向性を定義して市場に問うことでビジネスを拡販する必要性が増したということを説いています。

 

マーケティングが取り扱う範囲

顧客の需要創造だけでなく、社会的責任・社内活動の最適化(顧客志向という共通言語により最適化を目指す)など迄マーケティングが取り扱う範囲は広がるという思想に立っています。

 

コア・コンピタンス

KSF相関が見込まれる機能以外を外部委託して(優先度低い)選択と集中を促すというのが現代のビジネスの定石となっている中で、一番自社が磨きこまないといけない部分・大事にしないといけない競争優位の源泉を指します。このあたりを定義・常に問い続けることに価値があると提唱したことに価値があると思います。

 

■戦略計画策定におけるマーケティングの種類

「標的市場と提供価値の骨格の定義」が戦略的マーケティング「製品特徴・プロモーション・価格設定・販売チャネル・具体的なサービス体系の確立」が戦術的マーケティングという位置にあり上位概念・下位概念(実行フェーズに近いイメージ)の関係を取ります。

 

■企業本部が担う4つの計画立案

「企業ミッションの明確化」⇒自分たちは何者か・顧客は誰か・何を目指すかという上位概念の策定及び行動指針の形成を指します。この概念を示すことであらゆる階層での共通言語が形成され、トップマネジメントが大きな組織を突き動かしていくことが可能になります。

「戦略事業単位(SBU)の設定」⇒製品ありきで事業を定義するのはプロダクトアウトの概念が抜けていないことを示し、市場に基づいた定義が重要との立場を示します。「顧客を満足させるプロセスの観点で事業を定義すべき」と説かれます。※ドリルを売るには穴を売れ的な考え方です。

「各SBUへの資源配分」⇒戦略的にポートフォリオマネジメントを全社視点で意図出来るようになります。

「成長機会の評価」⇒新規事業の創出及び既存事業の撤退・整理を指します。

具体的には「集中的成長選択と集中・「統合的成長水平統合垂直統合などにより規模の経済などを働かせ生産性向上を意図すること)」・

多角化成長(変数が多くなるので最後に取るべき選択肢、自社のコアコンピタンスと顧客価値を抽象度高く定義+深いレベルでの顧客インサイトを予測することが実現には必要とされます)

です。

※骨組みの策定と機会の創出を人為的に促す役割ですね。

 

 

■事業単位の戦略計画

・事業のミッション⇒SWOT分析(外部環境・内部環境の網羅的な分析及び対峙する市場のKSFと自社の資源・強みの適合性から「市場でどのように勝ちに行くのか」・「何が筋が良いのか」・「どこまでポテンシャルが見込まれる市場であるのか」の定義)⇒目標設定⇒戦略策定⇒戦略的提携(パートナーの選定・顧客関係性の構築など)⇒プログラムの作成と実行⇒フィードバックとコントロールモニタリングの仕組みと合わせて設定され、効果検証・可視化出来るようにして初めて計画は意味を成します。

 

【所感】

マーケティングが経営活動全般に関わるというスタンスの著者なので言及範囲のスケールが広く頭の整理になります。既知の経営理論や戦略策定をもれなく可視化している印象を感じたのでこれはこれで良かったなと感じています。

・最近のスタンスとしては実務からの内省が一番勉強になり、補強ないしは発想力と筋の良い仮説を立てる為に古典的な本を読み解き力をつけるという役割になっているので最適な本であるなと改めて思いました。

 

以上となります!コトラー&ケラーシリーズは膨大なので五月雨式に投稿していくことになります。

気に入ってくださった方はブックマークや「読者になる」登録をしていただけると嬉しいです!月に1~2程度のペースで読んで面白かった本を要約投稿しています。  

 

 

■要約≪途上国の人々との話し方 国際協力メタファシリテーションの手法≫

 

今回はファシリテーションに纏わる本を要約していきます。

国際協力(途上国支援)に関わる方が現地で支援をする中で確率したコミュニケーションの技法をベースにメタファシリテーションメタ認知を促すことで自立支援をする)について体系化した本です。

「スキルや意思・前提などが異なるステークホルダーとうまく折り合いをつけて、マネジメントしていく上での汎用スキル」と置き換えることの出来る内容だと思って読みました。

 

「途上国の人々との話し方」

途上国の人々との話し方―国際協力メタファシリテーションの手法 | 信明 ...

■ジャンル:ファシリテーション・途上国支援

■読破難易度:低(具体的な対話の流れなどを記述されているので読み物として面白く負荷なく読める内容です。)

■対象者:国際協力に従事する方・ファシリテーションスキルに関心のある方・メタ認知に関心のある方・様々なバックグラウンドの方と協業する必要性のある方

 

【要約】

途上国支援の中で著者が確立したメタファシリテーションの理論体系及び、現地での具体的なやり取りについてまとめられている本です。

 

■「なぜ?」と聞かない対人援助コミュニケーション

・「なぜ?」という質問はビジネスの場では定石ですが、途上国支援という文脈になると、事実を述べるというよりは支援者が好みそうな回答を作り上げて事実を隠蔽する性質があるのでむしろ望ましくないとされます。

※事実ではなく、支援をする側の幻影に支援される側も寄せに行くような構図になり問題は解決されないことが多いからです。

 

■事実と解釈と感情を切り分けることの重要性

・何かを解決しようとすると「事実を浮き彫りにすること」「当事者の抱く感情」

をもれなく把握して両者を下敷きにして、あるべき姿・仕掛を客観的な枠組みで思考~実行することが必要とされます。

・このあたりの基本構えは途上国支援に閉じた話ではなく、感情が先行するような場面で議論をファシリテートしたり未成熟な組織をマネジメントする上での基本的な定石とも言えるのではないかと思えます。

 

■メタファシリテーションをする上での重要事項

・対等関係にあるようにコミュニケーションを振舞うこと

⇒どうしても支援する人・支援される人という構図が出てしまう中で、とても意識的に気をつけて同じ目線に立つような振る舞いをしないと支援される側は相手が望むであろう偽りの回答を作り出して事実を隠蔽したり、受け身な姿勢が解消されず本質的な解決がもたらされないということになります。(得てして施されることに慣れ過ぎているということも起きるようです。)

・解釈ではなく事実を炙り出す質問を心がける

⇒とてもドライに言うと支援する側・される側の解釈が早期段階で入ることは何もメリットがありません。とにかく現状認識を促す及び、支援する側が適切な打ち手をする為の現状把握として感情を廃して事実を問う質問を重ねることに意味があります。

⇒この過程を通じて言語化・内省を促すことで「自立支援をすること」・「感情の世界ではなく問題解決にベクトルが向くように仕立てること」が主な効果と本書では示されています。

 

■自立支援に向けた取り組み

「正しく現状を双方が認識すること」・「内発的動機付けを促すための適切なプロセスを踏むこと」の重要性が説かれています。途上国支援という文脈なので、自立的かつ持続的ということが本質的な意味を成すという文脈ですがこれはビジネスや日常の世界における仕組み化⇒永続化と同じ構造をとっているように思えます。

・その為には一定のスキル成熟期間を設け、課題の解決を急がない姿勢や支援はするものの施し・施されるの関係にならないように組織化や現状把握を当事者に言語化させるスタンスで支援するということ等が急所として言及されています。

(個人的には組織化を急がない、組織化を急ぐと組織の維持が目的になり本質的な解決に至らずHOWばかりの議論が横行するというインサイトが秀逸でした。)

 

 

【所感】

・ソーシャルビジネスや自立支援といったテーマ感に学生時代から関心を持っていた自分に取ってはメタファシリテーションは勿論、本書のメインとなる途上国支援のプロセス自体がとても面白く勉強になりました。

・途上国支援の具体的なプロセスや対話場面の記述が多い本なので、そのあたりのことは今回割愛して要約しました。市場に面を広げて対峙するビジネスに従事する手前、このような文脈で物事を考えることは日常的に関心がありますし、社内においても多様なバックグランドの方がいる中で如何に組織としての水準・成果を高いレベル感で保つかということは関心があります。長期的に自らが思考する介在価値のよりどころになるので避けて通れない話だなと思っていました。

・「信頼はするけど期待はしない」というスタンスが求められるという一文がこの本の中で一番印象的でした。自分でどうにかコントロールできうる変数に注力し、それ以外は仕掛けを打つことしかできない、ある意味諦めや割り切りを持つという姿勢も改めて認識するきっかけになる素敵な本でした。

 

以上となります!

■要約≪MBAオペレーション戦略≫

今回は久しぶりにグロービスMBAシリーズを要約します。

「オペレーション戦略」という所謂「業務遂行能力」・「生産性」観点のテーマです。マネジメントに関わる中で、業務遂行をスムーズに行う為に思考することは常日頃から考えていましたが体系的なものの見方・考え方を体得したいと考えこのタイミングで読むことにしました。(人材紹介等やる人は分業モデルの生産性・効率性向上観点で読み解くと現業にも応用できると思います。)

 

MBAオペレーション戦略」

Amazon.co.jp: MBAオペレーション戦略 eBook: グロービス ...

■ジャンル:経営戦略系・業務改善系

■読破難易度:低~中(製造業に従事しているないしはポーターのSCMマネジメント等に精通していればかなり読みやすい部類の本だと思います。)

■対象者:ステークホルダーが多い業務に従事し、自分が関与する仕事の範疇の生産性を上げたい方・「オペレーション」に興味関心があり負を解消したい方・製造業又は管理部門に従事する方全般・構造俯瞰に明るくなりたい方

≪選定理由≫

・組織観点で業務を俯瞰して体系化した戦略策定~実行する力をつけたいと考えた為

・管理部門及び製造業における不文律となる考え方を学び、自身のアウトプットの幅を広げる為

・構造化スキルに明るくなる為

 

【要約】

・製造業の企業を主題にして澱みのない業務プロセスの実現「オペレーショナル・エクセレンスを目指す為のエッセンスを5つの観点(CRM・SCM・調達・研究開発・管理部門)で検証している本です。※CRMとSCMだけ今回の要約で扱います。

(※オペレーショナル・エクセレンスとは業務遂行の質自体が競争優位になるという概念です。市場や製品ライフサイクルが飽和しがちな現代のビジネスにおいては戦略自体は競合企業間で重複することが往々にして存在し、その戦略の実行レベルに経営成績が反映されることが多いという前提文脈があります。)

 

■オペレーションの重要性

IT技術の台頭・国際競争化により戦略やビジネスモデルの模倣が容易になり、打ち手単独だけで差別化を生むことが難しくなった前提があります。その中ではケイパビリティ(組織能力)を高めることが競争優位につながり、その実現の手腕を担うのは「一部の経営参謀機能+経営と現場を統合する現場マネジメントレイヤー」です。

 

■オペレーション品質を定義する4つの観点

「スピード」「正確性」「コスト」「継続性」の観点からオペレーションの秀逸さは判断することが出来ます。4つの観点を実現する為の現場推進の重要な行動を炙り出すものとして「KPI」が存在します。この関係性を弁えないとHOWの議論に終始しかねないのが業務改善関連の議論の全体感として存在します。

 

CRMにおけるオペレーション

CRMとは顧客接点関連(主に営業・マーケティングの職能)で「市場や顧客との最適な関係性を構築する営み」を指します。主目的はロイヤルカスタマーの育成で、自社サービス方針と一番合致する顧客の開発・取引最大化を目指す体系だった行為です。

CRMの主な4つの役割としては

▼企業が訴求したいメッセージの伝達マーケティングに近い意味合い)

▼最適な販売チャネルの構築(直販代理店体制の比率等)

カスタマーサービスの提供(カスタマーサクセス・伴走等の意味合い)

▼カスタマーニーズの吸い上げ(継続的な顧客接点による業務・サービスの磨きこみを行うサイクルの体系化)があります。

・営業を科学するということを目指し、ITの台頭により価値は見直され主に下記が必要と本書では説かれています。

▼ソリューション営業の必要性(顧客需要を継続的に開発する、顕在ニーズの充足に終始していると価格競争や競合差別化に追われることになり生産性や顧客関係性が悪い。)

▼営業プロセスの設計(BP別に分解・可視化して各要素のKPIや構造化をすることで営業を科学することが競争優位構築に必要という話です。※キーエンスリクルートはこのあたりをいち早く着手したことによる競争優位性が持続していると色んな本では記述されていますね。)

▼可視化(プロセス・結果・ナレッジが可視化されることで組織としての学習やタイムリーなPDCAがなされるということです。)

 

■SCMにおけるオペレーション

・SCM(サプライチェーンマネジメント)とは「主に製造業における研究開発~製造における無駄をなくすという思想の基の一連の業務改善」を指します。大量生産方式により作れば作るだけ売れた時代の終焉により、「顧客ニーズに即したきめ細やかかつタイムリーな生産体制と収益性の両立」が市場命題になった近代において、SCMは重要なテーマとして扱われるようになりました。※大量生産方式のほうが変数が少なくて管理も楽だしコストかからないのはイメージしやすいかなと。

・SCMにおける優位性を見出す上での留意点は下記です。

▼戦略的サービス・ポリシーの設定(需要があるから開発するではなく、何の為に「自社」がその製品・サービスを開発するかの前提設定)

▼需要予測精度の向上(営業の継続的な顧客接点+NPSのようなアンケートによるデータ蓄積による実現)

▼業務連鎖の再設計(そもそもの既存の業務体制が最適化を0から見直し、組み立てなおすということです。リエンジニアリングやDX需要はこのあたりの領域にメスを入れているものですね。)

▼部門別業績評価の見直し(組織を動かすとなると行動指針となる業績評価を改定する+部分最適に陥らないような仕組み化が必須です。)

 

■オペレーション改革の取り組み方

・トップが旗を振り、ものによってはトップダウンに行うことも必要なのがオペレーション改革です。「全体俯瞰をして、あるべき姿を炙り出して打ち手を遂行していく業務の特質上、部門に任せて現場最適するのは意味がない」ということです。(企画系の職種や管理部門の方がこのあたりの実務遂行を担うことが多いイメージです。)

※個人的には経営の意思と現場の意見・起きている事象を統合して両方に取って良い結果につながるように調整・介在することが優れた現場管理なのではないかと思っています。なので、こうした概念に明るくなることは一部の間接部門及びトップだけが関心を持つということであってはならないと認識しています。

・改革のステップとしては下記流れを辿ります。

全体計画の策定⇒改革の範囲の策定⇒課題の構造化とあるべき姿の提示⇒解決策の方向性⇒改革目標と展開の優先順位(現場工数に限りあるかつ、成果が出ないと意味がないので)⇒実行

・留意するべきポイントは・経営陣が意思統一を図る・機能横断型チームを編成する・若手を抜擢する(育成観点+長期的な骨組み構築の為に)・専任体制を築く(片手間でやらせない、逃げ道をなくす)・マイルストーン管理を行うの5つです。

 

【所感】

・業務プロセスを分解したり、SCMについてはポーターの「競争優位の戦略」でしつこく触れたばかりだったのでしっくりする理論が多かったです。経営と現場の統合ということが最近の課題感ですが、このあたりの俯瞰して企画系職種や経営陣が頭に置く概念に明るくなると一段アウトプットの筋とレベルが上がると思っていたのでタイムリーな課題に応える内容でした。

・理論だけの頭でっかちにならず、法則は理解しながら現場の声やステークホルダーの思惑を想像できるようになることが改めて大事であるなと一連の内容を読んで内省して辿り着いた結論です。

 

以上となります!

恐らく次の要約本は「メタファシリテーション」を取り扱ったものになります。

 

 

 

 

 

 

■要約≪経営者の役割≫

今回は大学時代の経営学の参考文献になり、当時は挫折した本を要約しようと思います。チェスターバーナードの「経営者の役割」という本です。マネジメント関連や経営学関連の本を読んでいくと必ず引用される古典的な本で、著されたのは1930年代と非常に古風です。

 

「経営者の役割」

楽天市場】ダイヤモンド社 経営者の役割 新訳/ダイヤモンド社/チェスタ ...

■ジャンル:経営学・マネジメント系

■読破難易度:中~高(具体例の記述なく論が展開される場面が多く、かつ古い本なので当時の歴史的背景やドラッカー中心に展開された近代のマネジメント関連の理論体系を下敷きにしないと読むのに苦戦すると思います。思ったよりも時間がかかりました。)

■対象者:・経営学の理論体系に興味関心のある方・組織力学に興味関心のある方・マネジメントに何等かの形で関与する方

≪選定理由≫

・原著を読み解き、自分の中で内省することで理論・見解の骨組みを増強したい為。

・頭の体操・訓練。

・根本を辿るとなぜ組織は作られるのか?等の問いに帰結し、問いに対するヒントがあるように感じた為。

 

【要約】

・バーナードがAT&Tで働き、管理者及び関連子会社社長を勤める中で自身が思った組織のメカニズムについての考察を体系化したものです。広く一般的に読まれることを意図して記述されたものではなく、むしろ内向けのメモのような側面も強いのでかなり読みにくいです。

「人はなぜ組織化するのか・組織化する上で管理者はどのような役割をするのか・どんな力学が働くのか」について考察しています。

■公式組織に関する定義

・「意識的で計画的で目的をもつような人々相互間の協働」と定義します。

■人はなぜ協働するのか?

・目的遂行と制約克服の為に人は協働するので、「組織≫個人の成果・範囲」になるのが成果物の基本側面となります。

心理的カニズム

・人は機械ではないので、感情の動きが組織の成果・パフォーマンスに相関するという側面を度外視しての論述は意味をなさないとします。「自分が介在することで、組織が効果的に物事が自分の成しえたい方向に進む」という認識促進が協働を促進し、そのような状態を目指して働きかけ続けることの介在価値に責任をもつことが管理者の役割と説かれています。

・なので組織は意図的に調整された人間の活動や諸力の体系であるとバーナードは定義付けしています。

■組織の構成要素

「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通目的」の3つにより構成されます。組織自体が有用性を持ち、効果を発揮すると構成要員に認識され続けることをもって初めて、組織は有効な形で継続化するといいます。なので、ビジョンを策定したり、内発的動機付けをしてケアすることは組織の成果最大化及び組織化そのものに責任をもつ管理者の大きな役割といえるということでしょう。

■非公式組織の役割と公式組織との関係性

・サークル・人的なつながりのような非公式(組織図等に記述されない)組織は自然と発生するものであり、組織の媒介となります。非公式組織単独で存続するものではなく、あくまで公式組織の遂行能力を左右するという側面があるので、自発的な発生は管理者は奨励すべきです。一方で非公式組織の方向性や力学が公式組織を脅かすことがないかは注視して常に関与し続ける、というバランス感覚が管理者には求められる(それこそが人間が感情の生き物であるからであり、難しさをもたらすとのことです)と記述されます。

■権威の源泉

・組織における階層構造は必ず発生し、力関係はどのように働くかを記述しています。「権威とは公式組織の伝達の性格を指し、受け手がそれを受け入れるかどうか」に権威の有効性は機能します。なので、権威の発信者は本質的に個人の成功よりも関係者及び組織の成功を希求できるような資質がないと権威は付与されないし効果を発揮しないと記述されています。

■管理職の適性

・基本的な資質としては「忠誠心」「責任感」「組織人格を作れる」等が必要と記述されます。非公式組織の効果的な促進を促し、かつ組織目的やビジョンを打ち出し高い忠誠心・責任感を持って介在価値を発揮し続けるという像でしょう。※個人的にはかなりタフでバランス感覚と一部サイコパス的な側面が必要と読み解きました。

 

 

【所感】

・あまりにも抽象的な部分も一部あるので大幅に割愛して要約をしました。ドラッカーの「現代の経営」・ミンツバーグの「マネジャーの実像」などを下敷きに自分の実務に置き換えて読みながら理解・納得したところを中心に抜粋しています。

「組織目的の理解および、階層毎の仕事の定義・動機付け」が詰まる所管理者の重要な役割で、その為には社会的背景および個々人の価値観・それがどのような所から来ているかを想像して実行に反映するという芸術的な感覚が必要だなと考えた次第です。

・戦略や構造化・及び型に落とし込んでプロセスで無理くり進めることに頼るパフォーマンスの幅の狭さが課題としてあるので、改めてビジョンを打ち立てて動機付け(人に期待するという意味も込めて)は必要で、少なくとも自分の心は平穏に保ちながら安定的にパフォーマンスを発揮し続けることが目下の課題だなと思った所でした。

 

以上となります!

次はもう少し柔らかいテーマを扱って要約する予定です!

 

 

 

 

 

 

■要約≪最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと≫

今回はマネジメント・育成系の本を要約しています。

会社の新人マネジメント研修の課題図書に指定されている本のようで、少し前にオススメされて読みました「ストレングスファインダー」などを著したこともある著者の本で、基本的には「先天的な才能を最大限活かせるように環境をデザインせよ」という論調の本です。タイトルがとても胡散臭い本ですが、端的にまとめられておりそれでいながら考察は深く思考材料として素晴らしい本でした。

 

「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」

 最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと ...

 ■ジャンル:マネジメント・教育系

■読破難易度:低(性善説に立ち人材マネジメントをしている会社に所属する人やマネジメントに関わったことのある方は実感もって読めるのでとても簡単だと思います。)

■対象者:マネジメント・リーダーシップの理論に興味関心のある方・「個を活かす」の考え方に理解のある方

≪選定理由≫

・会社で体系的に学ぶべき著書ということで指定されていた本なので、導入として読んで損はないと思い読みました。この分野の基本的な造詣がある人は理論の補強になりますし、ない人はこの本をテコに現場実践するとうまくつながりそうな感覚を持ちました。

 

【要約】

・マネジャー・リーダー・個人それぞれで成功を収めるうえでの基本原則を分離して体系的に記述している本です。様々な経歴・組織の実例を記述しているのでケースとして面白いです。

■優れたマネジメント

「部下の成功、活躍の為起点で考え、組織の成果最大化を目指す」これがマネジメントの基本姿勢です。

「現場と経営の統合」・「チェスをするというようなイメージに近しい」と本書では述べられます。

実行する為に、必要なスキルは下記4つと記述されています。

■適切な人選

「基本的な資質は後天的に身に付きにくく、組織全体で必要な資質を有している人をポートフォリオ組んで組織化するほうが後で育成するよりも容易」と記述されています。(ビジョナリーカンパニー2にも適切な人をバスに乗せるという項目がありますが、そのイメージが近しいかと。)実際に人選出来ないケースも現場マネジメントでは多いので、個々人の才能・資源を複眼的に見て優先順位をつけて仕事を差配していくのかと。

■期待役割・成長過程の明確な言語化

コミュニケーションが一方的になると人材は適切に活性化しません。「何を期待しているのかのゴールを描き、マネジメントサイドとしての方針を具体的に明示すること・日々方針を基にメンバーに咀嚼を促すようなコミュニケーションをする」このあたりの実務に紐づくかと思います。

■褒めること・認めること

「継続的に実施し内発的動機付けを促すこと、メンバーから最高の結果を生み出すための環境・要員・プロセスをコントロールして成功だけお膳立てする。」実務イメージはこのようになります。

■気遣いを示す

自分の当たり前基準をメンバーに当てはめない・自己統制出来ないからこそ相互左右する存在ですし、過剰に思えるくらい頻度高くコミュニケーション・配慮のシグナルを示すことが適切なマネジメントに欠かせないと評しています。

 

■優れたリーダー

「個性の違いを乗り越えて、ステークホルダーが有する感情や共感できるセンテンス・ストーリーを紡ぐこと」これがリーダーの基本姿勢です、個々人の強み・特性を加味して行動するのはマネジメントと同じですが、「あるべき姿」を具現化・組織単位で実行する為のプロセスに工数を集中させるという所が違いです。

留意するポイントは下記です。

■方針の明確さを保つ

顧客の定義・組織目的等の策定には気を遣い、頻度高く意思疎通を図る姿勢が必要と説かれています。

■核となる強み・尺度を決める

「組織の価値観・価値尺度を決める行為に責任をもて」ということです。どのように成功のシナリオを描くのかを思考・具現化し、その実現に向けて周囲に働きかけるという姿勢が大事と説かれています。

 

■個人の成功

「やらないことを決める」・「強みをテコに成果を飛躍する環境・工数を確保する」この2点が基本姿勢と説きます。

弱みではなく、あくまで強み起点というのがこの本の主張です。(ドラッカーも成果を起点にしか飛躍的な成果は出せない、弱みが組織全体で悪影響を及ぼさないような管理に注意すべきと説いていた記憶がありますので、古くからある諸説です。)

曰く嫌いなものや苦手なものはキャリアにおいては人をすり減らすことしかしない、成果を生むのは圧倒的な強みをテコにした選択と集中でしかないと説きます。

 

【所感】

・個人の成功のパートやらリーダーのパートやらは既に聞いたことのあるような見解ではありますが、シンプルにまとめられている点が素敵だなと思いました。

・個人的にはマネジャーとリーダーを明らかに切り分けて考察するのは説明する便宜上はいいですが、実務的には重複することが多いので二元論的な論調になりかねず、あまり好きになれない部分がありました。とはいえマネジメントがあくまで組織の成果最大化の為に構成要素の個人起点で物事を対処しに行くというスタンスは自分のイメージ・実体験にも近しく面白く読めました。

・「なんでもやむ雲にトライしよう、現状維持は衰退だ」という思想のもとやらないことを決めず、やることを増やして疲弊するというのは気をつけないとあるあるの事象だと思っていて勇気をもって否定する・選択と集中をするということは改めて重要かなと思いました。個人のキャパを広げるためにもキャップは自分で決めない方がいいという思想派ではありますが、器用貧乏やいいように扱われ飛躍的な成果に繋がらないという仕事のコントロール不足事象はよくある話なので。

 

以上となります!

■要約≪競争優位の戦略≫Ⅳ部攻撃と防衛の競争戦略

四回に分けて要約してきた競争優位の戦略シリーズのラストです。

Ⅳ部は具体的に競合企業同士の力関係・行動を紐解いたパートです。

個人的には具体的な製品戦略や市場戦略において、借用出来るものが一番多いパートかなと認識しています。

 

※過去まとめは下記です※

ty25148248.hatenablog.com

 

ty25148248.hatenablog.com

 

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「競争優位の戦略」

楽天ブックス: 競争優位の戦略 - いかに高業績を持続させるか ...

■ジャンル:経営戦略系

■読破難易度:中~高(基礎的な経営学ロジカルシンキングがないとかなり読むのが退屈になると思います。5フォースの概念だけも理解した上で読むことをおすすめされます。管理職や経営企画、事業開発等の仕事している人にとっては無茶苦茶面白い本だと思います)

■対象者:企業理解・事業部理解の知見を深めたい方・製品やサービスの拡大に関して強い関心のある方・古典的な経営学を学びたい方

多角化した企業の事業部間連携などにも着目しており、投資などをする人も面白く読めるのかなーと思っていました。

≪選定理由≫

・個社深耕(主に上場企業・製造業)の幅を広げる為(会社理解を様々な側面から出来ないと筋の良い打ち手は広がらないと思っていて、もう少し裾野を広げたい、かつ自分自身が戦略に明るい人材でありたいという個人的関心です)

・会社全体における事業部の位置づけを自分なりに理解し、拡大の為に必要な打ち手を妄想出来るようになりたい(断片的には色々妄想出来るのですが、基礎的な理論の体得がないとさすがに限界が来るなという危機感から来ています)

 

【要約】

 

■業界シナリオの構築

・主に業界リーダーを中心にマクロ経済を加味して、あるべき姿・シナリオを策定するものです。業界を取り巻く外部環境・内部経済の不確実性を加味して、あるべき姿に到達する為の変数を事前に予測して打ち手を打つという文脈で成果に還元されます。

・シナリオ構築する上での留意点としては

経営陣の考え方・経営陣の戦略嗜好性を加味した戦略シナリオ立案を心がけるべき(例:差別化重視・コストリーダーシップ重視・業界1位以外は撤退等)

◆競争業者の行動をシナリオに組み込む・競争業者もシナリオ構築する前提で考察する

⇒当たり前ですが市場は企業間の行動の総体として構成されるので、競合の動きなしにあるべき姿は捉えることは出来ません。

 

■シナリオの計画と実行

・市場に近い距離間で意思決定が出来る事業部長・現場マネジャークラスが策定・実行するのが望ましいとされる。シナリオを構築する大目的は「あるべき姿に対しての筋の良い方向性・具体的な打ち手をクリアにすること」にあるので、組織の成果最大化に対して責任と裁量を持つ現場マネジメントに委ねるべきというのがポーターの見解です。

 

■防衛戦略

自社の収益性や競争優位を損ねることなく、持続させることが出来ると防衛戦略は果たされたと解釈できます。わかりやすい指標としては「脅威の少ない戦略を競争業者に採択をさせる・撤退」です。

・防衛戦略の骨子は3つから構成されていて、

◆構造的障壁を高める

⇒外堀から参入障壁を埋めるイメージです。具体的には

「面を貼り、競争業者が入り込む隙間を埋める」

「買手の切り替えコストを高める※トータルソリューション化等」

「占有ノウハウを守る為に投資する」※自社所有ノウハウが業界のKSFであれば持続性は高いです

「防衛のための相互連携を強化」※規模の経済・範囲の経済を働かせてトータルで勝負する

◆報復見込みを高める

⇒マーケットシグナルを発信すること・参入障壁を高めるような投資を繰り返すなど。

◆攻撃の要因をなくす

⇒市場の争点をなくすという考え方・「水平戦略」や「コストリーダーシップの徹底」によりもたらされます。業界の収益性を損ねるリスクがあるので一長一短です。

 

■業界リーダーへの攻撃戦略

・前提、真正面から向かって勝てないので業界リーダーに位置しています。なので基本的な筋としては差別化・集中戦略中心に採択されます。具体的な行動としては

◆価値連鎖の再定義

低コスト製品設計・製品改良・物流システムの再設計・販売組織の変更・新チャネルの開発など

◆再定義

⇒市場や顧客を再定義することで既存と異なる路線で価値を高めていくこと、具体的には垂直統合・集中戦略(買手・製品・チャネル)・地理的再定義・水平戦略など

 

【所感】

・一番具体性があり、これまでの考察を応用するパートなので一番読みやすかった印象です。ポーター自体が記述していることは既知のものが多いですが、記述の網羅性・このように思考を繋げていくのかという観点は常に勉強になります。

・具体的な実務観点で言うと、「事業部の価値拡大に向けてやるべきであるが抜けている打ち手・視点を捉えること、それを自分で開発・発信して世に問い成果を出すこと」このあたりに紐づくアイデアはもたらされたなーと感じています。

・海外市場との競合化・情報化社会によりポーター記述時代に比べて大幅に変数が増えたので、この本の通りの打ち手がシャープに市場に反映されるわけではないです。しかし、基本を理解しておくことは自社理解・他社理解等においても勿論ビジネスの成功可否における自分の見解を高めるものだと感じています。

 

以上です!

ポーターシリーズはこれでおしまいで、1回1冊まとめに戻ります。

 

 

 

■要約≪競争優位の戦略≫Ⅲ部企業戦略と競争優位

前回に引き続き、競争優位の戦略の第三部を要約していきます。

四部構成なので、競争優位の戦略要約シリーズは次でラストになります!

主に多角的に事業を運営する会社において「それぞれの事業をどのように扱うか」・「事業間の関係性はどのように形成されるか」・以上の事象を「どのように企業戦略に反映させていくか?」という観点で網羅的に記述がなされています。

※過去まとめは下記です※

ty25148248.hatenablog.com

 

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「競争優位の戦略」

楽天ブックス: 競争優位の戦略 - いかに高業績を持続させるか ...

■ジャンル:経営戦略系

■読破難易度:中~高(基礎的な経営学ロジカルシンキングがないとかなり読むのが退屈になると思います。5フォースの概念だけも理解した上で読むことをおすすめされます。管理職や経営企画、事業開発等の仕事している人にとっては無茶苦茶面白い本だと思います)

■対象者:企業理解・事業部理解の知見を深めたい方・製品やサービスの拡大に関して強い関心のある方・古典的な経営学を学びたい方

多角化した企業の事業部間連携などにも着目しており、投資などをする人も面白く読めるのかなーと思っていました。

≪選定理由≫

・個社深耕(主に上場企業・製造業)の幅を広げる為(会社理解を様々な側面から出来ないと筋の良い打ち手は広がらないと思っていて、もう少し裾野を広げたい、かつ自分自身が戦略に明るい人材でありたいという個人的関心です)

・会社全体における事業部の位置づけを自分なりに理解し、拡大の為に必要な打ち手を妄想出来るようになりたい(断片的には色々妄想出来るのですが、基礎的な理論の体得がないとさすがに限界が来るなという危機感から来ています)

 

【要約】

第三部は事業の相互関係・優先順位などを加味した企業戦略について記述されています。

■事業単位間の相互関係

・事業のシナジー効果を意図し水平戦略(多角化・新市場参入などの文脈)を採用する企業は増えており、それはなぜ重要か?という問いから始まります。主な理由としては

◆成長から業績向上へ重点が変わっている(単調増加経済ではないので、収益性観点を入れないとビジネスの可否を判断しづらくなったという外部要因があります。)

◆技術革新により相互関係の形成・転用が容易になった(水平戦略を取る為のコストが減ったので、採用できる企業の範囲が増えたということです。)

◆多面的競争が増えた(業界を跨いでの競合、「製品⇒サービス化」により顧客需要観点でこれまでは予想だにしないような競合が台頭してくるようになったという外部要因です。)

・相互関係の種類としては

◆有形(共通の買手・チャネル・技術など)

◆無形(人事施策・研究開発・ブランド名・マーケティングなど)

の二軸があります。要は企業を取り巻く要因を分析・把握するうえで留意する点は近年で莫大に増えたということを示しています。

 

■水平戦略の効用

・「水平戦略採用による成果」>「相互関係を形成するために取る調整コスト」の構図を作ることが水平戦略採用の前提条件です。また、水平戦略の可否自体は事業部マネジャークラスではどうしようもなく、経営企画部門やトップマネジメントにより判断されるという前提があります。

・水平戦略効用実現のための留意事項は下記です。

◆有形の相互関係の網羅的な把握・会社の枠を超えて追及する(例:自社が得意とする買手グループに対して親和性の高い製品を新規参入させるなど)

◆無形の相互関係を幅広く形成出来ないかあらゆる角度で検証ノウハウがKSFの業界の場合、構造的類似が見られれば全く表面的に異なる業界に転用して成功することが出来ます。)

これらは事業部単位に求めても視野・視界がないので実現は難しく、人為的に事業部超派の組織ないしは経営参謀機能(経営企画的な文脈)の設置をすることで実現を目指しに行くことが一般的です。

 

■相互関係と多角化戦略

・実際の企業戦略に落とし込む際の過程としては、有形の相互関係をテコにする場合マーケティングなら新市場戦略・生産ならコスト削減・技術なら新製品戦略に転用できます。

・落とし穴としては下記があります。

「事業単位の戦略的役割を間違える(例:4象限のどこに各事業部を据えるか・事業部単位での認識がずれて誤った行動を取るなど)」

「相互関係に拘るあまり共同化やノウハウ移転によるマイナス(例:思考が凝り固まるなど)」

 

■相互関係の成功を支える組織機構

・人為的にコントロールせずにシナジーを生むことは困難です、むしろ調整コストがかさむので組織は下記機構を設定することでシナジーを生み出そうとします。

◆ヨコ型機構事業単位のグループ化・価値活動の部分的集権化など横串を通す組織を生む行為を指します、プロダクトマネジャーや商品企画が複数事業部を管轄するなどが一般的です。)

◆ヨコ型管理システム水平戦略・管理部門の統合化などにより為されます。定期的な人事交流やジョブローテーションもこうした組織目的遂行の為に機能します。人という経営資源の成果最大化の為に行うということです。ここに個人の感情問題がつきまとうので人組織周りのマネジメントは難しいと言われますね。。)

 

■補完製品と競合優位

・主力製品を補う補完製品を自社販売するか外注するかは企業戦略の色が出ます。

・メリットは価値連鎖機能を共同化することによるシナジー効果です。具体的には

◆顧客の差別化認識に有利(ハードウェアとソフトウェアを抱き合わせで請け負う・販売する構図に近しいです。)

◆買い手の受け取る価値認識が向上

◆適切な価格設定顧客が価値を認識しやすくなる為、自社の収益性観点を加味した価格設定が市場に受け入れられやすくなります。

マーケティング・販売コストの低下

◆移動障壁を高くする(顧客依存度が高まります。)

 

■一括販売戦略

・所謂、一気通貫で提供という類の戦略の可否を記述しています。

・メリットは規模の経済や習熟曲線のメリットを享受しやすい点です。

・リスクは集中戦略に弱いこと・買い手は1社独占状態を嫌う(リスクがある為)点です。また、買い手ニーズの多様化・業界の進展(求められるサービス水準や買い手の属性が多様化)により導入メリットを生み出しにくくなるという外部要因もあります。

 

【所感】

 ・いわゆる大企業の事業間の関係性や働く論理を理解する手助けになるので、個社深耕をする上では大事な観点だなと読み進めていました。

・僕の所属する事業部は常に収益性担保という命題と戦っており、かつ他事業部との相互関係を意識せずには運営は出来ないので、このパートの言わんとしていることは実感を持って納得することが出来ました。

「事業部単位の論理を超越して、想像し全体最適になる行動を継続的に生んでいくこと」が今後の自分の成長の為に必要だろうなと思った次第です。とてもサラリーマンっぽいと思えるかもしれないですが、会社のメカニズムを理解して行動するスキルは体得しておいて損はないと思っています。(専門職や個人事業主になってもクライアントを取り巻く環境や論理に明るいと筋のよいアウトプットやプロセスを出せるでしょうからね。)

・あまりこのあたりに着目しない人が多い事業部にいるので、尚更価値は大きいと思い最近意識しているテーマに合致していて、一番面白く読めたパートでした。

 

以上です!

次回で競争優位の戦略要約はおしまいとなります。

 

 

■要約≪競争優位の戦略≫Ⅱ部 業界内部の競争分野をどう決めるか

今回は前回に引き続き、競争優位の戦略の第二部を要約していきます。

第二部は収益性を担保するために、業界細分化(セグメンテーション)をどのように行い「自社の競争戦略に反映させていくか」・「どの路線で戦うかを規定する上で大事になる競合分析・ないしは代替品に関する戦略」に関してフォーカスしています。

この手の話は足元の財務形成の所で言うならば3C的な企業分析を精緻に行う上で役立ちます。それと同時に「事業をどのような文脈で磨いていくか」を思考する上でも役立つなーというのが最近の実感です。

ちなみに第一部の要約は下記です。

ty25148248.hatenablog.com

 

「競争優位の戦略」

楽天ブックス: 競争優位の戦略 - いかに高業績を持続させるか ...

■ジャンル:経営戦略系

■読破難易度:中~高(基礎的な経営学ロジカルシンキングがないとかなり読むのが退屈になると思います。5フォースの概念だけも理解した上で読むことをおすすめされます。管理職や経営企画、事業開発等の仕事している人にとっては無茶苦茶面白い本だと思います)

■対象者:企業理解・事業部理解の知見を深めたい方・製品やサービスの拡大に関して強い関心のある方・古典的な経営学を学びたい方

多角化した企業の事業部間連携などにも着目しており、投資などをする人も面白く読めるのかなーと思っていました。

≪選定理由≫

・個社深耕(主に上場企業・製造業)の幅を広げる為(会社理解を様々な側面から出来ないと筋の良い打ち手は広がらないと思っていて、もう少し裾野を広げたい、かつ自分自身が戦略に明るい人材でありたいという個人的関心です)

・会社全体における事業部の位置づけを自分なりに理解し、拡大の為に必要な打ち手を妄想出来るようになりたい(断片的には色々妄想出来るのですが、基礎的な理論の体得がないとさすがに限界が来るなという危機感から来ています)

 

【要約】

■業界細分化をなぜ行うか?

・業界内で競争優位を生み出すために特定セグメントに切り出して「打ち手を検証・マーケティングの精度を上げる営み」を指します。魅力的なセグメントがわかれば、特定セグメントに対して集中戦略を取ることが出来るようになる上に、魅力的でないセグメントがわかれるのでそこは競合に譲り自社の投資をさけることで高収益体質実現に繋がります。

 

■業界細分化をする上で留意する観点

・変数として代表的なものは■製品の品種■買い手のタイプ■チャネル■買い手の地理的立地の4つです。この特徴により業界は細分化することが出来ます。

※地域限定や直販代理販売等わかりやすい特徴で細分化するのはあるあるです。

・製品の品質は以下のような観点で細分化出来ます。

■物理的サイズ(クルマは小型・大型などで分類する代表例)

■価格水準

■特徴(技術水準・製造工程の違い・供給業者の違い)

■技術または設計

■使用している資材(例:プラスチックと金属等)

■パッケージング

■性能

■新品需要と販売後もしくは買替需要

■製品と補助サービスまたは設備

■一括販売と単体販売(移動障壁や価値連鎖等に関わる)

生産財の買手か消費財の買手かにより特徴は異なります。

生産財の場合、「技術志向型であるか?垂直統合志向か?」・「買手の戦略は集中・差別化・コストリーダーシップいずれか?・財務力はどれくらいか(価格弾力性に影響する)」等の要素が業界細分化の特徴構成に寄与します。

消費財の場合、グラフィック(年代・嗜好性・所得・性別等)やライフスタイル様式・言語・購入目的」などにより業界細分化することが出来ることが多いです。

・チャネルによる分類としては直販/流通業者経由・通信販売/小売り・系列ルート/非系列ルート(大手G等はこの系列の力を受ける)などが一例です。

・買手の地理的要因としては地域特性・気象圏・発展段階などを指し、自動車産業の名古屋集結・電子部品の大阪集結等がわかりやすい例です。

 

■新しいセグメントの発見

新たな機能を付与する、ないしは価値連鎖機能の一部を減らしてコストカットするなど様々な方法により新しいセグメントを見出すことが可能です。持続性が高ければ高い程ニッチ産業で競争優位を生むことが出来ます。

⇒こうした観点を基に、一般的に企業は広域戦略ないしは集中戦略を取ります。

(実際は自社が有する強み・KSFと自社親和性・市場の魅力度などを総合的に加味します。)

 

■集中戦略および広ターゲット戦略の落とし穴とチャンス

・集中戦略を成功させるには競争相手の妥協コストを計算に入れる必要がある

⇒せっかくセグメントを切って集中投資して旨味を刈り取ろうとしたのに、すぐに後発されたりすると競合優位性は持続せず血みどろな戦いに発展します。他社が同じような行動をするのが億劫な要因が価値連鎖の中にあると効果的になります。(真似したいけどコスト観点で割に合わないという文脈)

・業界を細分化する新しい方法を見つけると大きなチャンスになる

⇒誰もこれまで着手していなかった観点で細分化出来るとそこにはブルーオーシャンが広がっていたり、規格を自社で規定することが出来るなどの経済合理性があることが多いです。

幅広いターゲット戦略は必ずしも競争優位につながらない

⇒コストリーダーシップ戦略を取る面を支配する企業とバッティングする可能性はあるし、多角化する行為に似ているので工数分散してしまう可能性はぬぐえないです。

広ターゲットの業者はあまりにも多くのターゲットを相手にし過ぎる

魅力的でない顧客も取り扱う必要がありそれはコストを生むだけの場合があったりいろんな顧客の要望に応えようとするあまり何も言っていないに等しい戦略が出来上がることも有ります。

 

■代替品の見つけ方

・代替品を識別して早く打ち手を打つことは市場戦略として1企業がとるべき重要な行動です。どのように扱うかにより業界の方向性や寿命は規定されます。代替品は製品の形というより製品が顧客へ提供する価値に紐づいて識別するべきといわれます。

※この分析・言語化の秀逸さが市場戦略に大きく影響・同じ業界に属しているのに価値の磨きこみの方向が異なるのは代替品の定義なども影響します。

 

■切り替えコスト

・代替品が登場しても既存製品よりも上回るメリットを有していないと製品は浸透しません。そのコストを切り替えコストと指し、下記要素が構成します。

■使用量(同じ効用を得る為にかかる量)■輸送及び据付コスト■金融コスト

■価格又は入手可能性の相対的変動(どれだけ手に入れやすいか、価格の弾力性はどれくらいかということです。原材料の仕入れが困難である場合、優れていても安定しないので切り替えコストは高くなります。)■使用の直接コスト■使用上の間接コスト(使用することによる買手の価値連鎖活動全体にどれだけ影響を及ぼすか、コストがかかる負の影響を及ぼす場合切り替えコストがかさみ、なかなか市場浸透しません。)■買い手の実績■機能の数■補完製品のコストと性能■不確実性

■価値の認知(既存製品に比べて市場に理解してもらうのに時間がかかります。時間と共に効果を有するであるとか代替機能があるだとか買手の行動や使用パターンを大幅に変える必要がある場合、価値の認識に時間がかかります

 

■代替品の脅威

・5つの観点で判断することが出来ます。

■相対価格の変化(規模の経済や習熟コストの優位性・技術の進化により同じ効果をもたらすための必要資源量が低下することなどにより、段階的にもたらされていきます。製品が市場浸透する過程で従来製品の価格の下げる圧力がかかり、業界全体として低収益体質になるリスクはいつでもありますので取り扱いには注意が必要です。

■相対価値の変化

■買い手の価値認識の変化(市場浸透が進み時間がたつと、ユーザーが代替品の価値を正しく認識出来るようになってきます。そうなると価値認識が変わることにより、代替品の価値がこれまで以上に評価されるようになると脅威は増加の道をたどります。この壁を超える為に、後発参入企業は大量の広告・マーケティングを投下※BtoBなら営業して認知シェアを獲得するという企業行動を採る会社は多いです。)

■切り替えコストの変化(代替品の台頭により、代替品の価値を買手が認識できるようになると心理的ハードルは下がります。そして仕様・設計変更をするとより一段と切り替えコストは下がります。)

■代替性向の変化代替品が成功したと市場に認識されると切り替えは起こりやすくなるります。

 

 

【所感】

・このあたりの内容をうまく活用するとなるとPPM分析・3C・4Pといった既存の企業分析の方法を心得ていることが前提条件になると思います。なので、難易度は高いなーと思ながら読んでいました。「あらゆる角度から市場や競合・製品を分析・思考出来るようになることは幅が広がるのだろう」と同時に思っていて、頭の体操・整理としてとても参考になる場面が多かったです

・多角的に事業を運営する会社の場合、事業部毎の位置づけ・全社方針加味して各事業部の方針を予測・設定するということになると思うのでより難易度はあがるのだろうと思いました。少しでも実践活用して筋の良い仮説建て・アウトプットに繋げれるようにしたいと思った次第です。

・この本が著されたのは1980年代ということで、「グローバル化・IT化の波が本格的に到来する前だったのでビジネスの変数が今よりも少ないから出来た」と見て取ることも出来ます。一方で「この程度の内部・外部の変数を考慮して判断・意思決定するということが出来ないと実務応用なんて出来ないのだろうから、少しでも反映出来るように努めよう」と戒めた次第でした。

・個人的見解としてはこうした知見や思考方法は知って、活用繰り返して3か月~半年程度立ちようやくアウトプットに反映されてくる感覚有るので未来の自分の成果に期待して読み進めます笑

 

以上となります!

次回は第三部の企業戦略と競争優位をまとめます。