雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪心理学的経営≫

今回はずっと自分の中で積読になっていた本を引っ張ってきました。

 

テーマ的には非常に興味深かったのですが、紹介された先輩方から「一気に読み込んだほうが思考プロセスが取得できてよい」「年次・考えるテーマ・レイヤーによっては刺さらない」と言われていたので教えを忠実に守り今か今かと悩んでいましたがまとめて時間がとれることも幸いして一気に読もうと思い読んだ次第です。

結論、200ページくらいなので一気に半日かければ読めるのでお勧めです。

 

「個をあるがままに生かす 心理学的経営」

「心理学的経営」の画像検索結果

■ジャンル:人事系(採用・人材マネジメント)

■読破難易度:中(採用になじみがあったり、Rになじみがあればかなり読むのは容易かと)

■対象:人事担当者・メンバーマネジメントに何らかの形でかかわる人全般・R社員系

 

現在のRMSの前身となる人事測定研究所の取締役を務められた方の本です。

リクルートに在籍していれば一度は聞いたことのある本かと。廃版になっていて入手が非常に困難とこれまで言われていた本ですが電子書籍版が今年念願の発売となり手軽に購入できるようになりました。(それまではAmazon20000円とかの値がついていた記憶が。。)

 

【要約】

※6章構成ですが、5章・6章は記載すると果てしなく長くなるので割愛しています。

<前提>

マグレガー氏のX理論・Y理論は二者択一なものではなく要素のウェイトのちがいあれど人間どちらも包括するものでありどちらが正しいという話ではない。あるがままに事実を捉えて生産要素の最大ウェイトを占める人を分析・科学しようというのが本書の主眼。6章構成となっていて参考文献がとにかく参考になります。

 

●第1章 モチベーションマネジメント

 

・ハーズバーグの動機付け・衛生理論に基づいた展開です。

→衛生要因(環境)は不満の原因にはなるけども能動的な仕事をもたらすわけではない、能動的な仕事ぶりは承認や達成など仕事自身を通じて得られるもの

・ハックマンの中核的五次元という仕事の充足要因の理論。即ち

能動的に仕事ができるか(裁量権

仕事が社会へ周りにどのように影響するのか

仕事が部分的なものではなく一つの一気通貫した単位で仕事ができるか

(タスクアイデンティティ※これは企画とか内勤の人のモチベーション低下によくある話)

様々なスキルを必要として難易度があるように感じられるか

仕事の成果が見えるか(フィードバック)

の5つが充足要因としてあげられる。5つについて知覚して体現できるように仕事を自らデザインすることがセルフマネジメントにつながるということ。

 

●第2章 小集団と人間関係

 

ホーソン効果というあるプロジェクトを特定メンバーだけ選抜して実施することでそのメンバーが前向きに仕事をできるように配慮する効果を指す。問題は全メンバーの最高な仕事ぶりを要望することになるためホーソン効果だけに頼ることは不毛と言える。そして賃金や条件面などの衛生要因は満足度を下げる要因にはなるけど上がる要因にはならないとのこと。いかに多くのメンバーを仕事の主人公たらしめるかということが経営管理者の手腕の見せ所であると。

・非公式な人間関係というのは組織全体のパフォーマンス・メンバーの動機形成において大きな影響力を発揮するもので見逃せるものではない。

 

●第3章 組織の活性化

 

・組織は現状維持では衰退するもの、常に内部・外部から変革を促さないと成果は最大化されない。

企業の組織内に変革を起こすものとして①採用②人事異動③教育④集団活動⑤イベントを掲げている。

外部の人をいれるという採用活動こそが一番人工的にカオスな状態を引き起こして内部のエネルギーを活性化させる仕組みになるという。そして人材確保が困難である時代が続くことは今後自明であるため採用活動の可否がいいカオスな状態(組織活性化)を生み出すことと相関関係を催すようになり、採用活動に関しては人事だけではなく現場・経営がコミットしないといけないという。

※このあたりの主張は今は当たり前のことですが、1990年代に確立している造詣の深さには頭が上がらないです。。

 

●第4章 リーダーシップと管理能力

 

・いいリーダーの共通する行動特性とは何か?を論証しています。

とどのつまり、個々人のモチベーションや人となりを興味示し、理解して目標達成に向けて導くことが肝。

人に気に入られるか・冗長的に安定しているかどうかなども起因する。

・先行研究はあるものの日本の経営管理者におけるリーダーシップは「動機付け」「目標設定・目標管理」「褒める」「情報提供(解決するためのサンプル・方向性を提示する、ここで大事なのは自分で解決した感をするおぜん立てだけをすること、仮説を構築することをマネジメントサイドはやるべきでありそこの内省まで。やるのは本人。)」

→つまりお膳立てして自分でやった感、内発的動機付けを促進するように影で配慮したりする、感情的なものをコントロールしてきめ細かくタイプ別のコミュニケーションを取ることが鍵である。

 

【所感】

・組織の活性化と経営管理者の育成というのは常に成果を最大化するための重要命題であるとは認識していますが、ここまで理論立てて構成されていると内省がものすごく進む本でした。Rの大先輩は当時から先進的な経営手法を取り入れていたのだな、自分も小さくまとまってはいけないなと読み解きながら考えていました。

・マネジメントのできる人材になるべく自分が成長するのはもちろん大事ですが、同時に後継者・自分の仕事を任せていけるような人材を自分でも同時に育成することをしていかないと後継者不足による組織の成長の足かせになることは今後顕在化してきそうだなと感じました。

・つまり「自分が一段上のレイヤーの視点を獲得して体現できるよう日々訓練・内省をすること、そして自分がやってきたことをもってメンバーの動機付けとリーダーシップ獲得や視点の幅・深さを広げるためのきっかけつくり・仕組みつくりを同時並行で行うこと」なんだと改めて気づきました。自己の充足だけで考えていては結局自分に跳ね返ってくるのでここは努めなくてはいけない視点と分かっていたつもりですが、改めて反省させられた次第です。

 

以上となります!!

職人気質な僕としてはいい仕事をしていき、その輪を広げていけるような存在になりたいなと思っているので気を付けたい所が多い内容でした。

9月からも頑張ります!!