雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART3≫

 

今回は引き続き、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を要約していきます。PART3は「適切な顧客接点の作り方・購買意思決定のメカニズム・ロイヤルティ醸成」というテーマ感を扱います。

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART2

ty25148248.hatenablog.com

 

 

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・PART3は顧客価値の定義・顧客ロイヤルティの醸成といった概念を取り扱うものであり、無形商材の営業に従事する自身の職務に大変参考になるパートでした。

 

■カスタマーリレーションシップの育成

・大量生産方式の受注生産から個別最適化を志向する見込み生産方式にシフトした現代において、自社の資源に合致した特定の顧客の需要を喚起・充足して維持拡大していくことが健全な事業拡大の定石と言えます。

・その前提に立つと、「適切な顧客接点の質と量を担保すること及び磨きこみをし続けることは事業運営の骨格となる」という前提のもとに理論は展開されます。

■ロイヤルティの構築

・当たり前ですがリピート顧客を増やし、顧客離脱を最小限にしながら取引を最大化していくことを志向することが一番生産性の高い事業運営と言えます。

・その為、消費財向けには適切な顧客接点方法の確立(マーケティング手法・秀逸なターゲット設定・チャネル選定の磨きこみなど)生産財個社深耕をして幅広いドメインにおいて付加価値を提供することがロイヤルティ構築の王道と言えます。

■データ収集・蓄積・活用の重要性

・市場全体の需要充足を狙うことは困難・志向しないことが多い中で、顧客の意見は事業の在り方・方針を決めるうえで貴重な情報です。それ故に、「効果的なデータ取得の体系化を進めただけで競争優位に繋がるのが現代であり、かつそのデータを解釈・分析して意思決定に反映するその秀逸さがより差別化に繋がる」ということを言わんとしています。(無形商材はこのあたりの価値の磨きこみと顧客起点の運営が差別化の源泉になることが多いので、自分の職務にはとても密接なテーマです。)

■消費者の購買プロセス

・「動機⇒認知⇒学習⇒記憶⇒問題認識⇒代替品の検討⇒購買⇒購買後の行動」というプロセスを経て消費者は購買するとされます。

・一般的に資源(時間や金銭的)が限られるので、認識している製品やサービスの中で意思決定をすることが多くなるのが消費財です。それ故にマーケティング活動が重要視されますし、チャネル選定やメッセージングの磨きこみ等が重要視・花形扱いされるということと読み解くことが出来ます。

※一つの製品やサービスにリテラシーを抱く工数や余力を持たないことが多いのでイメージ形成や口コミが意思決定の決め手になることも多く、消費財ではブランドマネジャーと呼ばれるような職位が大変重んじられるということもこのような背景に起因します。

■ビジネス市場の購買プロセス

・地域的な制約などが大前提にあり、消費財との違いとしては「実際に製品・サービスのメリットを享受する人と決済者が異なる」ということです。それ故に製品提供者は両方の価値訴求及び、法人側の組織構造を妄想した上でのコミュニケーション形成が必須になるということが法人向けビジネスの抽象性を生みます。

■ビジネス市場の購買基準

・価格・トータルソリューション等様々な価値尺度を持ち意思決定を行います。一般的に明確な差別化や製品価値を訴求できていない状態は、価格などの目に見える機能的価値に基づき意思決定をする傾向が強く、そうであればリプレイスリスクを常に持ったままの状態が垂れ流しとなります。(法人という存在ですが、意思決定をする人そのものは消費者的な感覚・リテラシーで意思決定をするというパラドックスがあります。)

・その為ビジネス市場における事業運営の定石は「適切な顧客セグメントの分類」「顧客セグメント毎の事業価値の定義」「注力セグメントへの深耕」「顧客価値の範囲・高さを高く持つように努める」ということに繋がります。

「顕在的な課題解決だけをしていてはブランド選好性が養われずかつスケールしない、顧客需要を創造して潜在的な課題を解決したり提言したり、新たな顧客のビジネスを拡大させるような付加価値を持たないと低次元の競争にさらされる」ということかと。

 

【所感】

・如何に差別化・競争優位を生み出すかということを関心毎としている自分に取ってはとても考えさせられるパートでした。「機能的価値の充足だけでスケールせず、価格などの外面的なものだけで顧客が意思決定せざるを得ない状態を垂れ流している現状を何とかしたい」とあの手この手で思考している中では、日常的な自分の思考は学問的に論拠したものであると認識出来てほっとしました。

・顧客ロイヤルティの醸成及び深耕営業はまだまだ自分の課題である中で、どのように顧客が購買意思決定をするか・消費財の場合どのようなことを考慮して計画を立てるかなどの整理の仕方・考え方は自分の頭の再整理になり大変役立ちました。

・ビジネスをスケールさせる仕組みやコアとなる事業価値を作る所にまだまだ不足感を感じる自分にはとても考えさせられる内容でした。

 

以上となります!

定期的にコトラーシリーズはまとめて要約投稿していきます。