雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪戦略プロフェッショナル≫

今回は少し前に会社で課題図書に指定された三枝三部作を要約してみたいと思います。現場の実務だけをしていると圧倒的に欠ける「見立てる」視点を補う材料として素晴らしいなと感じた本です。プロフェッショナルの意気込みを感じる内容です。

 

 

「戦略プロフェッショナル」

「戦略プロフェッ...」の画像検索結果

■ジャンル:経営戦略系

■読破難易度:低~中(物語の構成、流れを読み解く行為自体は非常に容易ですが、内容をしっかり噛み砕こうとすると年次・職責が低いと難しいかもしれないです。昨年読んだ時よりはかなりしっくり来ました。)

■対象者:経営者のリアルな葛藤を疑似体験したい方・経営人材を志す方・競争優位性に関して興味関心のある方

 

【概要】

・ミスミの社長を務めた三枝氏の経営小説です。内容はある企業のマーケットシェアを短期間に奪還するための事業戦略の立案・実行までのリアルな葛藤を描い内容です。要所に事業を見立てて動かすための急所をまとめられています。

・本の中では何度も、「日本は圧倒的に経営人材が不足していて、それが欧米諸国との圧倒的な差を生んでいる」という課題設定の基に経営人材を育成・大成するメカニズムを理解し、実践しなくてはならないということが説かれています。

 

経営人材は下記2要素を持ちうる人材であると定義されます。

論理性(戦略性)+熱き心(リーダーシップ)

前者は後天的に一定の地頭があれば体得は出来ますが、後者は先天的な要素が多く往々にして大学時代までの人格形成・オーナーシップを発揮した経験の多寡に左右されると。一方でこの要素を持ち合わせていても、経営の実践の場で活用しないことには何も生まれません。下記2要素により、磨かれると定義されます。

現場経験(経営現場での経験)・リスクを取り困難修羅の道を一回経験すること

要は生身の経営の葛藤を通じてしか自分なりの流儀は大成しないですということが説かれていて、あくまで今回のケーススタディーなどは経営の疑似体験に過ぎないとも説かれています。

※一方でこの疑似体験の深さ・広さにより実際の場面に直面した時の選択肢の引き出しと後々の内省・改善行動に影響が出るとも示しています。その意味で経営リテラシーを養う基本的な経営の概念・マーケティング・財務等の概念に明るくなることは実践での学びを最大化する上で必須ということが言えるそうです。

 

個人的に本の終盤に出てきたトップダウンによる弊害リスクの項目が印象深いので要約を抜粋します。

トップダウンの戦略を描くことが高速で成果が出るし経済合理性はできるが

一方で真面目になりすぎて考えることをやめ、上からの支持を待つようになり結果としてマネジメント工数がかかるという話だ

こうならないようにするために戦略の要諦の意図は現場主語でメンバー展開しないといけないし、仕事を意図して任せて降ることと求めるレベルを明確に明示して要望していかないと現場主導の風土は醸成されない。

 

逆にトップの要望・組織目的を咀嚼して現場発信の風土を醸成できるとこれ以上に強い組織はないとも説いています。

・現場でのプロ意識の体現に勝る競争優位性はない、それを生み出すためにはうまい人材育成とマネジメントが必要であり、そこに工数を割くためには事前準備と市場分析に基づいたシンプルで整合性の高い戦略を描くことが大事になるという構図。

⇒この経営人材を社内に増やしていくことこそ単調増加ではない飛躍的な事業成長・競争優位性を構築する。

 

 

 

【所感】

・シンプルにプロフェッショナルの仕事というのはカッコいいなと改めて思いました。現場でマネジメントの一部分を担うことで精一杯な自分ですが、一段上の視界や一段上が何を考えているかを洞察することが今後のキャリアは勿論、目の前のアウトプットにも影響をしてくるなと実感しているので本の内容はずっしり来るものがありました。

・最近、基本的なフレームワークや原理原則を学ぶことでわかる、できることも多いので経営リテラシーの項目でも触れていた基本は疎かにできないなと感じた次第です。

※ポーターの競争戦略やドラッカーのような基本原則を読み返しているのですが、この節はとても感じる次第です。社会人なりたての時に読んだのとでは想像の範囲が歴然の差があるので。

 

・「思考において、抽象と具体を高速で行き来出来ると成果が上がるようになる」とどなたからか最近言われましたが、今回の内容はまさにそうだなと。つまり、見立てる視点に立つとどうしても抽象的な問い・視点になりすぎてしまいますがそれと両立するような形で抽象的な問いを具体的な現場での問いや行動に変容できると強いなと。

※残念ながら僕はまだ器用に行き来出来ないので精進が必須です。

 

以上となります!

次は課題図書のスキル系の本かドラッカーをまとめる予定です。