雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪ブラック・スワン(下)≫

 

今回は前々回に引き続き、「ブラック・スワン(下)」を要約していきたいと思います。後半パートは少し冗長ですが、不確実性に対する振る舞いとしてとても考えさせられる内容でした。

■上巻のまとめは下記

ty25148248.hatenablog.com

 

ブラック・スワン(下)」

ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質 | ナシーム・ニコラス ...

 

■ジャンル:金融・哲学

■読破難易度:低~中 (何か特別な前知識を必要としないので読みやすいです。)

■対象者:・不確実性とリスクの関係性に興味関心のある方・心理学や哲学に関心のある方・株式投資に興味関心のある方・意思決定に関する理論に明るくなりたい方

■選定理由:・不確実性の高いビジネス環境で仕事をする上でオススメということで紹介を受けたことがあるため。(メルカリの小泉社長も何かの記事でオススメの本として紹介していました。)・積読消化の為()・統計分野の教養を増やしたいと課題感があった為

 

【要約】

「あり得ないということはあり得ない」これが上巻に引き続き本書の主題です。

■未来予測に頼りすぎることの落とし穴

・偶発的な現象の積み上げで現在がある中で、現在の延長線上に未来があるという前提の未来予測はそれ自体に本質的に意味がないと本書では説かれます。計画を立てることは否定していませんが、「楽観的過ぎる未来予測は現実を正しく直視することを妨げ、愚かである」としています。

■歴史や経験から学ぶことの落とし穴

現在という枠組みで過去を解釈することによる認知バイアスの存在は大きく、事実をそのまま解釈することでしか意味がないが、それは非常に難易度の高い行為だとされます。下手すると現在の正当化の借用に使われて終わりということになりかねないことへ警笛を鳴らしています。

正規分布パレートの法則の関係

・社会の富は正規分布にはならず、パレートの法則のような構図になることが現実的事実であるという前提の中で、だからこそ証券会社やカジノ産業は成立するし金融市場も成立するという前提に立つべきと説かれます。

※このあたりをまともに理解しに行こうとすると、マクロ経済や産業動向についての知見や理論体系も必要になってきます。

■一般化の愚

数式やモデルで社会や自然現象を科学できるという姿勢は、世の中の発展の為にあるべきであるが行き過ぎている人が多すぎると警笛を鳴らします。つまり、「単純化することによる落とし穴を甘く見たり知識偏重であり自分は多くを知るという姿勢が知的怠惰である」と厳しく批判します。

⇒これは、学ぶこと自体を否定しているのではなく何か特定の分野を語ろうとするならば「守破離」の概念に到達するまで学べ、そうでない限りにおいては知識をひけらかす行為は本質的な価値はないし自己満足だということを言わんとしているのだと思います。

 

 

【所感】

・偶発的な機会を捉えて体系化するのがイノベーションの原則(ドラッカー談)であり、黒い白鳥が存在するから新興産業や後発企業の成功などが生まれるのだと思います。

・一般化の愚の項目は個人的な最近の関心毎にジャストミートであり、とても考えさせられました。何かを学べば学ぶほど、自分は如何に物を知らない・わからないかということを痛感することが増えてきていたので納得する論調でした。何かをわかった気になり評論したり、一部の人にしかわからないように無闇に抽象化することは愚かであるなという内省が最近のテーマです。

・また、この本を読みながら産業動向やマクロ動向・国際政治等の辺りに関しても明るくないと自分の思考や観点の幅に限界が来るという新しい課題認識も出てきたので、このあたりにも取り組むことを意識していかないとなと感じました。

・自分が関与する分野・範囲に関しては介在価値・付加価値を何でももたらすことが出来るようにあり続けるべきと身が引き締まるような内容でした。

 

以上となります!

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