今回は半年に1度まとめている「読んで面白かった本シリーズ」です。
この半年は自分の仕事のスタイルやスキルセットを大きくアップデートしていく危機感に迫られ、守破離の守の徹底に勤しみました。主にプロダクトマネジメントとUXデザインに関する教科書的な立ち位置の本を読み漁り、Udemyで当該分野の講義を聞き「PM・UXデザインっぽい」仕事で実践して土地勘を掴むことの繰り返しでした。学べば学ぶほど自分が井の中の蛙であったことを知ると共に、「決まったフレーム・お作法・考え方を遵守していけば大きく外すことはない」ということも理解し、自分が積み上げてきた営業・組織マネジメントの経験もバカにならないなと思い返すことも多かったです。
※直近のまとめ記事は下記。
≪上期総集編≫2023年度に読んで面白かった本8冊 - 雑感 (hatenablog.com)
≪目次≫
・プロダクトマネージャーのしごと
・プロダクトマネジメントの教科書
・UXデザインの教科書
・ユーザビリティエンジニアリング
・バリュー・プロポジション・デザイン
・自省録
・ローマ人盛衰原因論
「プロダクトマネージャーのしごと」
≪要約≫
■要約≪プロダクトマネージャーのしごと≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・オライリージャパンシリーズの2023年10月に発売された本で、発売直後大きく話題になった本です。プロダクトマネージャーの具体的な実務・場面を引き合いに求められるスキル・職業倫理・具体的な解決策をわかりやすく解説している本です。ステークホルダーマネジメントの難しさとドキュメンテーション・UXデザインの重要性など過去の自分のしくじりを思い返しながら、背筋を正すような示唆にも富んでおりこの半期何度も読み返した記憶があります。
・プロダクトマネージャーというと開発組織の役割に思えて遠い世界に感じる方も多いかもしれませんが、担う役割や必要なスキル・経験・スタンスなどは事業開発を始めとした非定型業務全般に従事する方にオススメ出来る内容だなと感じた次第です。
≪要約≫
■要約≪プロダクトマネジメント≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・ビルドトラップと呼ばれるプロダクトマネジメントにおいて絶対に避けなければならない状態に着目して架空企業のプロダクトマネージャーのストーリーを追体験しながら法則を学ぶという仕立てのPM定番本です。ビルドトラップと組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして行き詰っている状況・実際に生み出された価値ではなく、機能の開発とリリースに集中してしまっている状況の2つを具体的に指します。
・「HOWやスピードが先行してしまう自身の癖が仇となる」ということを強く認識し、「Why・Whatに立ち返る(ブラさない)」という癖付けを矯正するきっかけになった本です。ビジョン・課題設定・アウトカムを何時如何なる時も念頭において、コミュニケーションする・意思決定するということを強く学ばされた本です。
「プロダクトマネジメントの教科書」
≪要約≫
■要約≪プロダクトマネジメントの教科書 前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)
■要約≪プロダクトマネジメントの教科書 後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・「世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本」の続編でプロダクトマネジメントのキャリア・スキル・ノウハウなどを体系的にまとめた本です。今年の1月末に出版されたばかりの最新の本です。タイトルの通り、教科書のごとくプロダクト関連職種に纏わるスキル・スタンス・キャリアなど全てを網羅的に記述している内容です。
・500ページの超大作で読むのは骨が折れますが、様々なPMへのインタビューでキャリアの変遷・スキルスタンスの要諦などを多数の事例から学ぶことが出来、読み物として面白いです。モデル開発や企画関連業務を多数行う中で、国際水準に照らした自分の現在地やあるべき品質の確認をすることが出来て仕事の棚卸になった感覚が強いです。
「UXデザインの教科書」
≪要約≫
■要約≪UXデザインの教科書 前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)
■要約≪UXデザインの教科書 後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・サービス開発・プロダクトマネジメントを学んでいく中で自ずとUXデザインの重要性を認識し、UXデザインの定番本の本書に辿り着きました。人間中心設計を筆頭に、UX体系化された理論や考え方・フレームワークを網羅的に学ぶことが出来、本書を読みながら体験価値やマーケティング施策を考える上で役立つ指針を体得できたのは大きな収穫でした。
・見込み顧客へのインタビュー・行動観察・ジャーニーマップ作成など自身の営業や組織マネジメントの経験で培ってきたものを転用できる内容も多いことがわかり、UXデザインが非常に馴染みあるものとして自分の中で腹落ちできたのは良かったです。「もう少し早く理論の枠組みを体得していればサービス/事業開発、仮説検証業務などをもっと効果的・効率的にやれたんだろうな」と過去の自分を思い返すこともありましたが、過ぎた時間はどうしようもないので今後のアウトカムで挽回したい所です。
「ユーザビリティエンジニアリング」
≪要約≫
■要約≪ユーザビリティエンジニアリング≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・UXデザインの最重要概念であるユーザビリティにフォーカスして、具体的な理論・フレームなどを体系的にまとめた本です。「ユーザーストーリーマッピング」と悩みましたが、「顧客の文脈・心理・行動を最大限尊重する」・「事実と解釈を分けて仮説検証していく」などより学びが多い印象でした。サービス開発や仮説検証を高速で回していく業務に従事する方全般にオススメしたい内容です。
※参考※
■要約≪ユーザーストーリーマッピング≫ - 雑感 (hatenablog.com)
「バリュー・プロポジション・デザイン」
≪要約≫
■要約≪バリュー・プロポジション・デザイン≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・リーンキャンバスを構成する「バリュー・プロポジション」にフォーカスしてプロダクト・事業開発をしていく為に抑えるべきポイントや望ましい手順を体系的に記述した本です。顧客のペイン・ゲイン・顧客セグメントこそが事業開発においては何より大切であり、その為には「顧客に対する解像度をMAXまで高めること」、「競合優位性・差別化・代替可能性などを総合的に考慮した筋の良いソリューション選定」を抑えることがミソであるということが書かれており非常に納得させられる内容でした。
「自省録」
≪要約≫
■要約≪自省録≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・ローマ帝国の五賢帝の一人であるマルクス・アウレリウスが内省を深める為に、自身が心棒としたストア派哲学のエッセンスを書き留めた内容の本です。「理性的であること」・「宇宙の法則に忠実に慎み深く生きること」・「公共善に務めること」など非常にストイックなストア派哲学らしい内容になっており、身が引き締まる内容でした。岩波文庫の青は読みにくい本も多い中で本書は非常に明快で読みやすいので、初学者にもオススメ出来る本です。
「ローマ人盛衰原因論」
≪要約≫
■要約≪ローマ人盛衰原因論≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・「法の精神」で有名なモンテスキューの著作で氏の歴史研究に裏打ちされた充実の内容です。「古代に一大帝国を築き上げたローマはなぜ滅びたのか」をローマ帝国の歴史をなぞりながら紐解き、間接的にフランス絶対主義を批判するという壮大な仕立てで政治や歴史に興味関心のある方であれば誰でもワクワクするような内容です。
・本書で論じられる内容は国や組織の栄枯盛衰に普遍的に通じる教訓や因子の相互作用現象なども見てとれるなと感じ、非常に考えさせられる内容でした。
まとめは以上となります。
今後についてですが、プロダクト関連職種に関する基本を押さえるインプットに引き続き努めながら、「歴史や古典に薫陶を受ける」という従来の読書スタイルもバランスを取りながら戻していこうと思った次第です。