雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

≪上期総集編≫2023年度に読んで面白かった本8冊

 

今回は半年に1度まとめている「読んで面白かった本シリーズ」です。

2023年上半期は2022年下半期から読み進めていた経済学・歴史の専門書と並行して、仕事に関連する本を読み漁った半年でした。自分の仕事を取り巻く環境や期待役割の変化により、全く土地勘のないテーマへの対峙・未開発スキルの発揮が求められたことにより試行錯誤を繰り返していました。短期的な自身の関心毎や問題解決に寄与するテーマは麻薬的な作用があるので、並行して歴史的偉人の書物に触れて稽古をつけてもらうことも忘れないようにしないといけないと感じました。

 

※直近のまとめ記事は下記。

≪下期総集編≫2022年度に読んで面白かった本7冊 - 雑感 (hatenablog.com)

 

≪目次≫

・近代世界システム

スティグリッツ公共経済学

・社会政策 福祉と労働の経済学

・代議制統治論

・ジョブ理論

プロダクトマネジメントのすべて

・システムの科学

・考える技術・書く技術

 

「近代世界システム

≪要約≫

■要約≪近代世界システムⅠ前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅠ後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅡ前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅡ後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅢ前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅢ後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅣ前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪近代世界システムⅣ後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

・資本主義を基盤とした経済的な国際関係を論じた世界システムの本です。Ⅰ~Ⅳの四部構成となっており、16世紀に勃興した資本主義を基盤としたヨーロッパ世界経済がどのように膨張し、世界を席巻するに至るかのプロセス・内部の相互関係を緻密に分析した本です。世界を一つのシステムに見立てて、システム内部を中核-半周辺-周辺地域の3分類に区分します。

・システム全体の生産性・収益性最大化を意図して、国際分業が営まれ(例:中核が商業・工業を担い、周辺地域は農業を担うといった具合に)、その結果として特定の地域や国がある時期において覇権を占め、衰退していく様を経済学・政治学両方の観点から考察するダイナミックな構成となっております。世界史または経済学がお好きな方はワクワクが止まらない内容と思われるのでオススメです。

 

スティグリッツ公共経済学」

≪要約≫

■スティグリッツ公共経済学(上)前編 - 雑感 (hatenablog.com)

■スティグリッツ公共経済学(上)後編 - 雑感 (hatenablog.com)

■スティグリッツ公共経済学(下)前編 - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪スティグリッツ公共経済学(下)後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

・政府の経済学と呼ばれる公共経済学領域を体系的にまとめた本です。大学の教科書として活用されるテキストの為、端的かつ網羅的に記述されているのが特徴的です。「市場の失敗是正」所得再分配という大義名分の基に、租税公共支出を柱として政府が市場に介入する際の指針となる理論を論じております。ケインズ経済学を学ぶ中で公共事業投資や財政活動の具体について関心を持つようになり、読みました。民間企業の社会的責任が叫ばれる中で、市場の調整弁の不完全性やそれでも社会的な意義をもって事業を行うことに意味があることを思い知らせてくれる内容でした。

 

「社会政策 福祉と労働の経済学」

≪要約≫

■要約≪社会政策 福祉と労働の経済学(前編)≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪社会政策 福祉と労働の経済学(後編)≫ - 雑感 (hatenablog.com)

社会保障制度労働政策についてその制度設計の確からしさと狙いをミクロ経済学のモデルを用いて立証・解明しようとする仕立ての本で、大学の教科書で有名な有斐閣アルマシリーズの一冊となります。民間事業者として労働市場に影響を与えるような仕事を志向していくとなると、必然的に主に国が担っている社会保障・労働政策領域について造詣を深める必要があると判断しチョイスしました。公共事業や租税制度の難しさと社会的なインパクトの大きさを改めて痛感する内容でした。日本の社会保障・労働政策は非常に手厚くダウンサイドリスクが少ない社会なのだなと国際比較をすることで感じました。施策の歴史や他国との比較データなども豊富に記載されている為、社会保障や労働政策に興味関心のある方にオススメの本です。

 

「代議制統治論」

≪要約≫

■要約≪代議制統治論≫ - 雑感 (hatenablog.com)

・「功利主義」や「自由論」で有名なJ.S.ミルがイギリスの政治構造を立証的に分析しようとして行った政治研究の集大成とされます。「あらゆる国家は発展をしていく中で最終的に代議制統治の形態に辿り着き、代議制統治こそが最善の統治形態である」というミルの結論を様々な政体の歴史や事例から証明していく仕立てとなっております。「資本主義経済×自由主義」という体制においては現代の世界において結論とされている代議制統治ですが、そこに辿り着くまでには数々の壁が待ち構えているということが古代ギリシアやローマ・中東/アジア地域の専制政治の歴史などを紐解き説明されています。

マックス・ウェーバーの「職業としての政治」・マキャベリの「君主論」・モンテスキューの「法の精神」などでも同様の概念に対する言及がありますが、本書が最も明瞭に記述がされておりしっくりきました。代議制統治が正常に機能し続ける為に、立法司法行政の相互抑制を意図した三権分立文官による軍部統制など絶対的な原則を説いている点も印象的です。

 

「ジョブ理論」

≪要約≫

■要約≪ジョブ理論≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・「イノベーションのジレンマ」で有名なクリステン氏が消費行動分析から導き出した狙ってイノベーションを生み出すための思考法をまとめた本です。「顧客は片付けるべきジョブの為にプロダクトを雇用する」というモノの見方がジョブ理論の骨子であり顧客の制約条件や消費行動の変遷に着目しようという主張です。マーケティングやプロダクト開発に示唆を与える理論であり、仕事で非常に役立つ指針となる考え方でした。

 

プロダクトマネジメントのすべて」

≪要約≫

■要約≪プロダクトマネジメントのすべて 前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪プロダクトマネジメントのすべて(後編)≫ - 雑感 (hatenablog.com)

・プロダクトマネージャーの役割や価値基準について体系的にまとめた本でタイトルの通り、プロダクトマネージャーが担う仕事を網羅的に言及しています。自分自身はPjMやBizDevに近しい役割なので参考程度でしたが、独特の価値基準や御作法、「権限はないが責任は大きい」などは非常にしっくり来る内容でした。曖昧さに対峙し続け、知的好奇心を絶やさず食らいつき続ける大切さを教わった本でした。

 

「システムの科学」

≪要約≫

■要約≪システムの科学≫ - 雑感 (hatenablog.com)

ノーベル経済学賞受賞者サイモンの代表作です。人工物には自然界のそれとは異なる特有の変数で構成されたシステムが存在するという主張に紐づいた研究成果がまとめられています。本書は企業組織やコンピューターの仕組みに大きな示唆を与えたとされ、工学と経営学がこのように融合するのかと非常に驚かされる内容でした。

 

「考える技術・書く技術」

≪要約≫

■要約≪考える技術・書く技術≫ - 雑感 (hatenablog.com)
・問題解決・問題発見の定番本です。クリティカルシンキングの基礎的な理論が網羅的に記述されており、かつ具体的なアウトプットとして他人へ伝達しコトを動かす上で抑えるべき御作法についても言及されており豊富な内容となります。
・まだまだ至らないですが、あまりにもクリティカルシンキングスキルが乏しく絶望した際にすがり何度も読み返しました。頭では大枠を掴んだので後は実践あるのみというのが現在の結論です。

 

以上となります!