雑感

読んで面白かった本を要約しています。主に事業・プロダクト開発(PdM/UXデザイン/マーケティング)のビジネス書と社会科学(経済学/経営学)・人文科学(哲学/歴史学)の古典。

■要約≪ビジョナリーカンパニー3≫

 

今回は「ビジョナリーカンパニー3」を要約したいと思います。シリーズ4作品あり、これで全て読破したことになります。

1・2は偉大な企業がどのように成立するか・飛躍するかを説き、3はそうして栄華を誇った企業がどのようにアイデンティティを消失して衰退するかを説いています。1・2の概念を踏襲しながら非常に実務的な内容に編集されています。

※1の要約はこちらから。

ty25148248.hatenablog.com

※2の要約はこちらから。

ty25148248.hatenablog.com

 

 

 

「ビジョナリーカンパニー3」

 Amazon.co.jp: ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階 eBook: ジム ...

 ■ジャンル:企業論

■読破難易度:低(シリーズを順番に読んできていれば、既存概念の応用で説明就く内容なのでとても読みやすいです。)

■対象者:・偉大な企業がどのように衰退の道をたどるかについて関心のある方・組織の栄枯盛衰について関心のある方・組織マネジメントに関わる方全般

 

≪選定理由≫

・企業がどのように栄華を誇り、衰退を経るかのプロセスについて理解を深めたかった為。

・戦略を具現化する組織設計にどのような影響が起こり崩壊するかについて知りたかった為。

※外部環境の変化により衰退の道をたどるという場面を実感することが多く、なぜそのようになるのかを理解深めたいという課題感がありこのタイミングで読みました。

 

 

【要約】

・偉大な企業は「成功から生まれる傲慢⇒規律なき拡大路線⇒リスクと問題の否認⇒一発逆転策の追求⇒屈服と凡庸な企業への転落か消滅」という五段階を経て衰退するとされます。

■成功から生まれる傲慢

理念や行動規範に忠実になり拡大してきた過去の栄光から顧客ニーズやマーケット環境の変化を正しく認識することが難しくなることにより、偉大な企業は衰退の道をたどり始めるとされます。組織の人材が内向きに仕事をすることを防ぎかつ貪欲に改善を促すことを仕組みとして作り続けないといけないということで、マネジメントシステムとして担保し続けることの難しさは並大抵ではないです。常に進歩や顧客起点で改善を促し続けてやっと偉大な状態は維持させられ続けるといいます。

・本書では基本的な考え方として、中核事業が顧客のニーズを満たすものと関係性が明確であればなかなか陳腐化することはない(深いレベルで充足している前提)、その中で闇雲に新規事業拡大路線を志すことを愚かであるとされています。※針鼠の概念(自分たちが熱狂できる×最高になれる×経済合理にかなうの3つを満たすものだけを遣れという概念)に忠実であれということです。

 

■規律なき拡大路線

・衰退は事実を正しく認識したり、課題に対して適切な打ち手を打てないまでに肥大化した組織に負けるということでなることが多いとされます。成長を目的としたこれまでの方針への傲慢さから衰退は始まります。適切な人だけをバスに乗せることが出来なくなった時に根元から腐り始めるとされています。

・上記の状態が長期化すると、適切な拡大と適切な人材確保のバランスが取れない時に、組織は官僚制度を敷いて人に期待しないマネジメントで乗り越えるしかなくなります。それが偉大な企業の源泉である「規律とビジョンの崩壊」を招き、浸透した結果組織の成功よりも個人の成功を志向する人材で要職が固められ崩壊するとされます。

 

■リスクと問題の否認

苦しくなると加速する現象が後付けの論理とされます。

事実を基に自分の認識を正当化する現象が横行し、厳しく現実を直視することができなくなります。

・こうした状態を打破しようと組織再編をウルトラCみたいに扱うのは典型的な衰退した企業で、これまで作られた文化や基盤が崩壊するリスクのほうが大きく往々にして荒療治をしてもそこからの運用込みで効果検証しないといけないから難しいです。

 

■一発逆転施策の追求

・基本概念に反する行動が議論に登場する時点でかなり衰退段階を経てると言えます。そうならない為に「時を告げるのではなく時計を作る」というスタンスを持った人が要職を占め、会社を作っていくようにしないといけないとされます。その為に生え抜きの経営人材が登用される育成・マネジメントシステムがないと持続されないとされます。

 

■屈服と凡庸な企業への転落か消滅

・一発逆転施策も失敗し、資金繰りに苦労すると転落消滅の道をたどります。無形資産であるビジョンや人材が崩壊し、差別化の源泉がなくなり凡庸な企業になるとされます。そうならないために、持続可能性を作るために生え抜きであり、スキルではなく「組織が体現したい価値観や行動を実践する」人や事業が好きな人が抜擢されるべしとされています。

※いついなくなるかわからない人に任せられないし、体現している指導者に人はついていくものだからでしょう。

 

【所感】

・ビジョナリーカンパニーに該当するような企業自体が尊いとは個人的には思っていなくて、向き不向きのように思えます。トップダウンで一代で築き上げたような会社は永続性を意識して作られていないので、ビジョナリーカンパニーに該当しませんがスピード感のある経営が出来ますし、瞬間風速的には市場から高く評価されるのでそれはそれでありなのでは?と思います。適切な人材もビジョナリーカンパニーと異なるタイプな訳で、適性の違いであると本書の内容は読み解いたほうがいいなと思いました。楽天日本電産のようにカリスマ社長が一代で築き上げた会社のスピード感と変化対応力はそれはそれで評価すべき、と個人的には思うからです。)

・とはいえ、戦略と組織は表裏一体であり、束ねるものとしての行動指針・ビジョンを意識したマネジメントというのは個人的にとても関心のあるパートだったので非常に納得感のある内容でした。自分の所属する会社が創業者の強烈なカリスマ性⇒ビジョナリーカンパニーと変容を遂げて持続性を持つようになったからこそ、両者の視点を意識するという納得感が大きいです。

・全体感として読みながら戦略論と組織設計についてもう少し明るくなること、多様性について許容度を広げることをしていかないといけないという個人的な課題感も浮き彫りになり適切なタイミングで読めたなと思いました。

 

以上となります!

気が向いたら、ビジョナリーカンパニー4も要約します!

 気に入ってくださった方はブックマークや「読者になる」登録をしていただけると嬉しいです!月に1~2程度のペースで読んで面白かった本を要約投稿しています。

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART6≫

今回は「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」要約シリーズの第六弾となります。PART6はチャネルの選定方法とバリューネットワークの構築についてフォーカスしてまとめられています。

「販売チャネルのどこにリソースを割くかに、企業の標的顧客や企業が定義するコアの価値は現れる」ということで非常に奥深いパートだと思います。

 

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART2

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART3

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART4

ty25148248.hatenablog.com

 ■PART5

ty25148248.hatenablog.com

 

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

■サービス分野のチャネル

「メインターゲットは誰か?」「想定されうるニーズやタイプは何か?」「メインの提供価値は何か?」「何がビジネス成功の可否(≒KSF)か?」言語化してから選定・整備のが定石とされていて、計画や戦略なき闇雲な拡販はコストに埋もれて、ビジネスとして長期的に持続しないのでとても大事な意味を持つとされます。

 

■チャネル選定のプロセス

・チャネルにはそれそれ得意不得意があり、自社製品の強み弱み・業界のKSF・製品市場戦略の山の登り方などにより、適切なチャネルは異なるとされます。

ファブレスメーカーや直販専業などもこうしたバリューチェーンの一部をテコ入れすることで差別化することに価値があるからこそ、特筆事項として取り扱われることが多くなったのでしょう。

 

■チャネルマネジメントについて

垂直的マーケティングシステム・水平的マーケティングシステム・マルチチャネルマーケティングシステムの3種類に区分されます。

・垂直的マーケティングシステム垂直統合に近い概念で、特定のチャネルを深耕することで、連携を強化し顧客起点のPDCAを回すマーケティングシステムを構築し、それにより競争優位を目指すことを意図したシステムです。

水平的マーケティングシステムはあるチャネルとの取引品目・業界を横に広げて共通したメッセージングでコントロールすることで、製品開発者の思惑を反映しやすいマーケティングシステムを作ることで競争優位を構築しようとするシステムです。

マルチチャネルマーケティングシステムは直販・小売り・インターネット・テレマーケ等多様なチャネルを同時並行で活用することで、顧客取引総量を拡大させる仕組みです。現代の多くの企業が取り入れている動きです。変数が多くかつチャネル同時が連携することはないのでマネジメントの難易度は非常に高いです。

 

■チャネルコンフリクトについて

・チャネル同士、チャネルと製造業者のニーズが異なり衝突することは良く存在します。その為、短期的、近視眼的なニーズを超えてあるべき姿(業界や産業ベースで定義できるとベスト)を定義、衝突しそうな思惑を統合していくことマーケティングマネジメントを持続する上で大事とされています。

 

■小売業について

・小売業の本来の優位性は「顧客が実際に製品を手に取り、試すことが出来、選択の自由度があることによる必然的な満足度の実現」と「顧客の声を経営に反映させやすい」というものがあります。

・小売業において価格戦略はマーケットシグナルとして極めて重要な意味を持つので、標的市場の価格の敏感性や何に価値を抱くかをしっかり洞察して設定しに行くことが望ましいとされます。なんでも兼ね備えているということ自体に価値を見出す時代の終焉と共に(インターネットに価値が代替された、消費者ニーズの多様化により専業業者の台頭著しい)あり方は変容しています。

 

プライベートブランドの台頭

価格に敏感に消費者がなっている点PB自体が力をつけてきたことにより、浸透度合いが増したことでナショナルブランドが脅威にされているといわれています。

・クーポン券や値引きの乱発による製品を大切にしない、刹那的な商売が横行したことやインターネットの進展による自由競争化・情報の非対称性の解消などが影響していると言われます。

 

【所感】

・実際にモノを売るという機能にフォーカスした記述になっているパートであるため、非常に具体的かつ、「それぞれの機能のコアは何か」・「何を意図して行動するのか」ということが網羅的に記述されていてとても勉強になります。

・改めてこうしてみると、インターネットの進展による情報の非対称性や場所の制約が克服されたことで、元々のコアバリューが変容したというのは大きい産業なのだろうと感じました。価格や目に見える機能に閉じず、上位概念で顧客の需要を喚起し続けないと持続的に利益と価値を両立してビジネスを成しえることはできないということだと再認識した次第です。

 

以上となります!

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■要約≪孫子≫

今回は「孫子」13篇を要約していこうと思います。孫子に学ぶ●●~などのような本は多いですが、これは原著です。180ページほどのあっさりとした本ですが、3年前に読んだ時は何を言わんとしているのか読み解くことが出来ず全然印象に残らなかった本です。

 

孫子

新訂 孫子 (岩波文庫) | 治, 金谷 |本 | 通販 | Amazon

 

■ジャンル:歴史・兵法・マネジメント系

■読破難易度:中(読むこと自体はとても容易ですが、何を言わんとしているのかを理解するには一定の経験値が必要に感じました。)

■対象者:戦いの原則について関心のある方・中国古典について関心のある方・勝負事が好きな方

 

【要約】

・13篇から構成された現実的な戦術と思想を凝縮した内容となります。印象に残った部分を抜粋していきます。

「戦わずして成果を得ることが最も良い」これが孫子全体の思想の根幹をなすものです。兵法でありながら、戦いはあくまで手段であり人や資源を傷つけるものなので、手段を目的化するなという徹底した姿勢が見られます。

 

■戦いの基本原則

「相手には自らを弱く見せて、相手が強い時には戦わない」というものです。ほころびが出ている時にだけ確実にそのすきを突くことで、手堅くポイントを稼ぐことが重要であり、勝てる戦いを確実に勝利していくことが最重要とされています。

・戦いは事前準備が大変であり、長引くことで軍需産業を除いてあらゆるものを衰退・荒廃していくので避けるべきとされています。

※華々しい施策だけに目をむけず、実利からあらゆる施策・行動をやるかやらないかを判断することの重要性を説いているように感じました。

 

■戦いの在り方

・戦いがうまい人は適切な勢いに乗るのがうまい人であり、優れた人に依存することを指すのではないとします。

・特定の資源に依存するような進め方しかできない将軍は多様性に欠け、安定性に欠けるということを強く主張しており、これはマネジメントにおいても言えることですね。※組織ケイパビリティに依存するような推進や施策はマネジメントサイドの自己満足であり、本質的に資源≒メンバーを疲弊するので避けるべきということかと。

・すべての戦いで勝利しようと資源を分散させると狙った成果は出せず、狙った成果を出すための行動の絞り込みや計画、これこそが戦略だと説きます。

 

■同盟・利害関係の取り扱い

何かをなすとは利益と害がつきもの。両者の存在を認識、配慮してあるべき姿目指すのが優れたマネジメント」と説きます。

・故に害を強調して他人を屈服し、利益を強調して他人の賛同を得るものだとされます。

・同盟を成しえようとするには「相手が何を大事にするのか」、「何に心を動かされるのか」を深いレベルで知りに行くことからしか始まらず、目先や小手先の合意は外部環境の変化と共に崩壊する不安定さを占めており、本質的ではないとされます。

 

【所感】

・戦いの原則はビジネス・マネジメントの世界に借用できる、ということから古典的な政治や兵法関連の書物がビジネスの名著とされることが多いのだろうと思いました。 

孫子の内容自体にはそこまで目新しさはなくて、むしろ自分の経験を孫子が言わんとしていることを理解する為に棚卸していくことで整理・内省が進むということにこの本の価値はあると思いました。数年前に読んでしっくり来なかったのは、この内省する材料が不足していた(スキル/経験両面)ということでしょう。

・「戦わずして成果を得ることが最も良い」という思想は正にその通りと感じました。華々しい行動や施策は一見よさそうに見えますが、それには手間やリスクがつきまとうもので本来であれば華々しいかどうかはどうでもよくて成果が出る行動をしているかどうかで可否は判断されるものです。こうした本質的に大事なものは何か?を問うきっかけになるような内容が多く勉強になりました。

「やることや命題設定(≒イシュー)をクリアにすることで多様性のあるマネジメントを目指す⇒スキルや経験に依存せず計画を遂行できる戦略や組織運営を可能にする」というのは個人的な最近のテーマ感として思っていて、そうした課題感にも参考になるようなパートが多かった本でした。

 

以上となります!

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■要約≪君主論≫

今回はマキャベリの「君主論」を要約していこうと思います。

1年半程前に読んでみたのですが、当時は言わんとしていることを理解出来ず途中で投げ出してしまった本です。

マネジメントに関わる中で非常に示唆深い内容だなというのが改めて読んだ全体感です。古典的な書物の文意を何とか読み解こうと、試行錯誤しながら内省することが一番学習効率が良いと感じているので最近の個人的なトレンドにピッタリな本でした。

 

君主論

君主論 (岩波文庫) | ニッコロ マキアヴェッリ, Machiavelli, Nicoll`o ...

■ジャンル:政治学・マネジメント系

■読破難易度:中~高(世界史や政治学に明るい方なら非常に読みやすいと思います。歴史やマネジメントに関わる背景知識がないと読みづらいかも。)

■対象者:・国際政治に興味関心のある方・マネジメント理論に興味関心のある方・現実的な組織とのかかわり方について関心のある方

 

≪選定理由≫

・古典的な書物の文意を自分なりに汲み取ることで、経験の棚卸と理論の増強を図りたい為。

・過去、うまく文意を掴めなかった書物を遡り読むことで理解しようとしたい為。

・マネジメントに関する現実的な方針を知りたい為。

 

【要約】

世襲政治が重んじられた理由

地縁という基盤をベースに過去の信頼残高をそのまま持ち越して統治することが出来るので、統治者自身の能力にそこまで左右されず安定した組織運営ができる「システム」であるためとされています。

・大抵の臣民は現状に満足していることが多く、築かれてきた統治体制を覆すことは臣民の支持を得るという観点からも難しいとされます。(現状維持がベストと考える人が多く存在する為です。)

 

■成り行きで組織を統治することになった人の安定性

君主自身が発揮できる当事者意識やマネジメン可能な範囲はたかが知れていて、仕組みを整備しないことには永続的な統治システムは構築出来ないケースが多いとされます。

・人は過去の禍根をいつまでも持つものであり、「要職を禍根を与えたことのない人で固めることは基本的な定石」であるとされています。

 

■権威を掌握するマネジメント

・自分の手柄や名誉を直接確保することが難しくなると、権威ある誰かを祭り上げることで他者に対してマウントを取ることで自尊心を保つという振る舞いをする人は一定存在する。

・大衆から支持されないものは真価を評価してもらうことは出来ない。

この2つがマネジメントをする上でとても大事であるとマキャベリは形を変え、何度も説いています。

 

■外部の力を過剰に借りた組織の脆弱性

・傭兵と評されますが、要は「育て上げていない人員・体制で長期的に安定したパフォーマンスを発揮することは非常にリスクがある」と説いており、息のかかったメンバーを育成・管理していくことの重要性を説いています。

※投資や買収により大きくなった会社が組織設計を整備せず、人を垂れ流しにしたり人材育成のシステムが構築されないことで崩壊していくのと似たようなことを指し示していると感じました。

 

■実務的な君主としての振る舞い

・「他人の評価ではなく自分が是とするものに忠実であるべきだが、他人の憎悪は一度発生すると取り返しがつかないので慎重に取り扱う方が良い」と主張されています。

・君主たるもの真正面から理想論だけではうまく振舞えず、時には武力で強行突破する場面や勇気も必要であり、ライオンの側面やキツネの側面などを使いこなせるべきであるとされると訴えます。

・大事なのはすべて兼ね備えた潔白でまっとうな人「風」に見せることが大事だと説きます。

・すべてを兼ね備えることはほとんどの人は出来ないが、同時に君主の内面や実情に触れるまでに接点を持つ人も限られる。そうした接点を持たない大衆を動かし支持を得るのが仕事、そして逆怨みのリスクは極力撲滅すべき。

 

【所感】

・当時としては物凄く斬新な論調の書物だったのではないかというのが読んだ一番の感想です。

・理想論ではなく、現実的な人の心理を踏まえた振る舞い方を説いており示唆深い内容であるなと感じました。当時の僕が読んでうまく捉えることが出来なかったのは、この手の分野への経験値や思考体力の乏しさなのだろうと理解することが出来ました(笑)

・ビジョナリーカンパニーやマネジャーの実像といった書物に通じる内容であると感じました。即ち、「人の感情の動き・意味報酬を如何に取り扱い、自分の役割や成果と紐づけて大規模な範囲の物事を動かすことができるか?」という主題で政治寄りに説かれているものの組織のメカニズムとトップマネジメントの在り方について問われている点は現代にも通じる内容ばかりだなと感じました。

・「こんな素晴らしい内容が昔の書物に書かれていたのか!」と終始びっくりすると共に何度もうなずきながら読み進めた内容でした。

 

以上となります!

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■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART5≫

 

今回は「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」要約シリーズの第五弾となります。PART5は「市場提供物の形成」ということで、これまでの議論を踏まえた製品市場戦略(PMS)の策定プロセスサービス設計(どのような価値を表出させるか?)・価格設定戦略について記述されているパートです。

収益性という観点は個人的にとても重要視しているので、今回の内容は非常に考えさせられる部分が多かったです。

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART2

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART3

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART4

ty25148248.hatenablog.com

 

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・これまで述べられてきたブランド戦略顧客ロイヤルティ需要喚起等の各論の議論を統合する形で製品市場戦略を体系化するのがPART5の主題です。個人的な主観ですが、薄利多売路線が大嫌いな自分に取って(関係者全員が長期的に不幸になるという思想を持っています。)とても考えさせられるし関心毎の高い分野です。

 

■製品の特徴をどのように定義するか?

「コアとなる価値⇒それを表出化する製品の基本単位⇒付加価値を増強する派生サービスやソリューション」という階層を取るべきとされます。

・加えて、常に顧客の潜在需要を満たす製品サービス開発に心がけるべきと説かれます。表出化する需要を充足させるだけでは長期的には価格競争に陥り、売手の収益性が大きく阻害される運命にあるからです。

 

■差別化の源泉

・製品特徴とデザインで構成されるとされ、具体的には●形態●特徴●性能品質●適合品質●耐久性●信頼性●修理可能性●スタイルなどといわれています。無形の差別化としてブランドがあり、基本的には有形無形両方の差別化を常に追求するべきとされます。

ブランド戦略がマーケティングの範疇で大きな役割を占めるとされます。

 

コブランディングと成分ブランディング

・主に多角的事業運営をする会社に言えることですが、会社全体のブランドと製品毎のブランドそれぞれを形成し、時に統合・時に独立して取り扱うことが大事とされると説かれます。全社イメージや方針と異なる価値や顧客を想定する時は個別ブランドを前面に押し出していくべきとされています。

※全てのサービスに会社名やグループブランドを付ける会社と製品毎に独立したネーミングを付ける会社と別れます。前者の代表的なものは楽天○○などでしょうか。

 

■サービスの設計とマネジメント

「元来、無形商材の分野で重要視されていたサービスが競争優位の源泉を占める迄、重要視されるようになった」という時代背景がこのパートの議論の前提にあります。

・基本的に顧客ロイヤルティの醸成に向けて、現場起点のサービス価値磨きこみを擦るのが定石とされています。サービスの大事な特徴として「顧客が実際にそのサービスを受ける前に需要を喚起・支払いをしないといけない」という側面があります。

 

■サービスにおけるマーケティングの重要性

・有形商材と比べてマーケティング施策を施しスケールさせるほどの市場サイズや企業体力がないケースが大半でしたが、顧客のニーズ多様化する中で「市場細分化+特定セグメントの深耕による顧客ロイヤルティの醸成」がビジネスの成功に相関するようになった現代ではマーケティング施策がサービスにおいても積極的に施されるようになったとされます。

 

■サービス品質の管理

「顧客の期待価値と実際の提供物のギャップを埋めるチューニングは常に施すべき」とされます。これは伴走もそうですが、適切な需要喚起をすることの重要性を説いています。(付加価値が低く、すぐに値崩れしたり競争激化するリスクを持つサービス業においてとても大事だと個人的には思います。)

・サービス品質を構成する重要指標は●信頼性●対応力(スピードと質)●安心感●感情移入(個別対応性による納得感)●有形物(明確なアウトプット)の5つとされます。

 

■価格設定の重要性

・インターネットの進展により売手が多様化する中で、価格崩れや価格が変動するなどが主流となりました。そうした外部環境の影響で「競争に負けない価格を設定できるか?」コスト(原価)低減して値崩れしても収益性を保てるか?」ということは市場命題となっています。

・価格設定は6つの段階を経て決定されるとされ、

「価格設定目的の選択※企業や製品が市場で何を目指すかに起因」

「需要の判断※高価格路線・高付加価値/低価格大量拡販路線の分岐」

「コストの評価※製品特徴ではなく、顧客に提供している価値の適正価格で図るべき」

「競合他社の価格・価格・オファーの分析※相対比較で自然と製品サービスのポジショニングや路線が決まります」

「価格設定方法の選択※原価とマージンを分解し、どのような利益率を目指すか?どのように収益を経るかを画策すること」

「最終価格の選択※価格は会社ビジョンや製品市場戦略を体現するものとなるので、一貫性があるかを考慮すべしとされます」

で構成されます。

 

■価格はどのように適合されるか?

地理的な要因(マーケット構成する売手の規模・購買能力により支持される価格帯は異なります)や差別型なのか販促型なのかといった製品サービスをどのように市場に浸透させ戦略ロードマップを描くかによる影響も受けるとされます。

※価格弾力性の高い顧客は全体の15~30%に満たず、切り捨てるという選択肢もあるという示唆が優れていると感じました。スイッチングコストがあり、取引がスケールしにくいから注力しないということです。

 

 

【所感】

・全体感としてロマンとそろばんの話だなとこのパート全体を読んで感じました。

顧客価値を磨きこみに行きながらも、企業ですので経済合理性を担保しないと持続発展は出来ない(上場企業の場合は投資家からの目もあるので健全な発展予測と社会価値を追求するという追加のオーダーも増えます)という二兎を追うような行為ですので、とても難しいのは当たり前だなと内省しました。

二律背反のように見える命題に常に取り組みながら、自分個人が対峙する顧客や市場への付加価値を磨くことは当然として組織・領域・サービス全体に働きかけるような論点提起・仕組み化などを同時に行わないと自分の介在価値はスケールしない(単調増加しかしなくて、イマイチということです。)のだなと読みながら思った次第です。

・市場細分化や製品市場戦略が何で構成されるのかという理論に明るく、実践することが出来るようになることは、企画機能にいない現場のマネジメント最下層の自分でも非常に役に立つという実感を持てました。

 

 

以上となります!

 

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■要約≪ブラック・スワン(下)≫

 

今回は前々回に引き続き、「ブラック・スワン(下)」を要約していきたいと思います。後半パートは少し冗長ですが、不確実性に対する振る舞いとしてとても考えさせられる内容でした。

■上巻のまとめは下記

ty25148248.hatenablog.com

 

ブラック・スワン(下)」

ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質 | ナシーム・ニコラス ...

 

■ジャンル:金融・哲学

■読破難易度:低~中 (何か特別な前知識を必要としないので読みやすいです。)

■対象者:・不確実性とリスクの関係性に興味関心のある方・心理学や哲学に関心のある方・株式投資に興味関心のある方・意思決定に関する理論に明るくなりたい方

■選定理由:・不確実性の高いビジネス環境で仕事をする上でオススメということで紹介を受けたことがあるため。(メルカリの小泉社長も何かの記事でオススメの本として紹介していました。)・積読消化の為()・統計分野の教養を増やしたいと課題感があった為

 

【要約】

「あり得ないということはあり得ない」これが上巻に引き続き本書の主題です。

■未来予測に頼りすぎることの落とし穴

・偶発的な現象の積み上げで現在がある中で、現在の延長線上に未来があるという前提の未来予測はそれ自体に本質的に意味がないと本書では説かれます。計画を立てることは否定していませんが、「楽観的過ぎる未来予測は現実を正しく直視することを妨げ、愚かである」としています。

■歴史や経験から学ぶことの落とし穴

現在という枠組みで過去を解釈することによる認知バイアスの存在は大きく、事実をそのまま解釈することでしか意味がないが、それは非常に難易度の高い行為だとされます。下手すると現在の正当化の借用に使われて終わりということになりかねないことへ警笛を鳴らしています。

正規分布パレートの法則の関係

・社会の富は正規分布にはならず、パレートの法則のような構図になることが現実的事実であるという前提の中で、だからこそ証券会社やカジノ産業は成立するし金融市場も成立するという前提に立つべきと説かれます。

※このあたりをまともに理解しに行こうとすると、マクロ経済や産業動向についての知見や理論体系も必要になってきます。

■一般化の愚

数式やモデルで社会や自然現象を科学できるという姿勢は、世の中の発展の為にあるべきであるが行き過ぎている人が多すぎると警笛を鳴らします。つまり、「単純化することによる落とし穴を甘く見たり知識偏重であり自分は多くを知るという姿勢が知的怠惰である」と厳しく批判します。

⇒これは、学ぶこと自体を否定しているのではなく何か特定の分野を語ろうとするならば「守破離」の概念に到達するまで学べ、そうでない限りにおいては知識をひけらかす行為は本質的な価値はないし自己満足だということを言わんとしているのだと思います。

 

 

【所感】

・偶発的な機会を捉えて体系化するのがイノベーションの原則(ドラッカー談)であり、黒い白鳥が存在するから新興産業や後発企業の成功などが生まれるのだと思います。

・一般化の愚の項目は個人的な最近の関心毎にジャストミートであり、とても考えさせられました。何かを学べば学ぶほど、自分は如何に物を知らない・わからないかということを痛感することが増えてきていたので納得する論調でした。何かをわかった気になり評論したり、一部の人にしかわからないように無闇に抽象化することは愚かであるなという内省が最近のテーマです。

・また、この本を読みながら産業動向やマクロ動向・国際政治等の辺りに関しても明るくないと自分の思考や観点の幅に限界が来るという新しい課題認識も出てきたので、このあたりにも取り組むことを意識していかないとなと感じました。

・自分が関与する分野・範囲に関しては介在価値・付加価値を何でももたらすことが出来るようにあり続けるべきと身が引き締まるような内容でした。

 

以上となります!

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■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART4≫

今回は「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」要約シリーズの第四弾となります。やっと折り返し地点に到達しましたが、まだまだ膨大な量なので数回に渡り要約投稿していきます(笑)。

 

PART4は「ブランド形成・市場ポジショニング」といった概念を取り扱うパートになり、個人的にはコトラーの著作の一番「らしさ」が表れているパートだと認識しています。※マーケットリーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーと分類して、それぞれの競争業者の行動方針を記述しているのもこちらのパートになります。

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART2

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART3

ty25148248.hatenablog.com

 

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・PART4はブランド形成の重要性と市場セグメント細分化及び市場戦略の関係性を説いているパートで、ポーターやドラッカーなどの経営学の大家の理論も借用した展開となるので、個人的にはとても好きな内容です。実務応用性も高い内容です。

■ブランドの役割

・ブランドは「適切な顧客の需要喚起・製品/サービス認知簡略化という重要な役割を持つ」と本書では説かれています。その為に、如何にブランドを狙って形成するか・維持拡大するかがこの本の重要テーマともいえます。

■ブランド形成に寄与する項目

・コアバリュー・コアコンピタンスから導き出されるメインターゲットへの需要喚起を一貫させることがブランド形成の定石です。それ故に、「自社のコアとなる強みや概念は何か?」「何を目指して市場を深耕するか?」「どこを目指すか?」等を策定することがブランド策定には大事と説かれています。

・このあたりは全社戦略と事業部戦略・製品市場戦略を繋ぐものである為に、それぞれを深く理解した上で運営していくことがブランドマネジャーには求められるとされています。

・ブランドを磨きこむ際に留意する点は■記憶可能性(≒純粋想起力)■意味性■選好性(≒訴求力・選ばれる確率)■移転可能性(ブランドを横展開した時にブランドだけで惹きつける力がどれくらいあるかの指標)■適合可能性■防御可能性の6つとされています。

■ブランド管理をする際の留意点

「適切な需要喚起に寄与しているか?」(≒狙いたい市場セグメント・ターゲットからの購買を促進しているか)・「ブランドの好ましさや方向性は製品市場戦略を具現化したものであるか?」という問いは常に問い続けて改善していかないといけないとされています。

「コアの価値観や事業方針を体現したものであるか?という問いを投げかけ市場最適化したものにメンテナンスし続けるべき」ということです。※このあたりは現場マネジメントをする上でどのようにマネジメントが戦略を描いているかを理解し、現場反映していく上で咀嚼して打ち手を打てると滅茶苦茶バリューが高い仕事に繋がるなと思いました。

■ブランドのポジショニング

・「面」を取りに行くのか「高さ」を取りに行くのかという所でブランドの目指す姿は大別され、差別化深耕かコストリーダーシップ深耕であるか等の競争戦略論にも合流していきます。差別化の源泉は一般的に■製品■サービス■スタッフ■ブランド■チャネル等で分岐することが多いとされています。

■製品ライフサイクルとマーケティング戦略

・一般的に製品及びサービスには「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」という4つの時期に分類される有り様があるとされます。それぞれの時期に特徴・傾向はあり適切なブランド形成や戦略志向性も異なるとされます。

「導入期」は先発優位性が働くとされるフェーズであり、ここでコアとなる価値観の策定および熱狂的なファン獲得をすることが出来ると一気に拡販に繋がるとされています。一般的に競争業者と顧客は少数であり、収益性はまだそこまで高く見込まれない段階とされています。

「成長期」は一定の顧客満足度とリピートを生んでおり、自社に合致する顧客セグメントの設定やオペレーションエクセレンスの追求がテーマとなります。(※仕組み化して面を広げていくことで売上や収益が純増するタイミングの為。)

「成熟期」は多くのマーケティングマネジャーが対峙するフェーズであり、大量生産方式によるコストカットや規模の経済の追求・収益性向上を意図してBP別の磨きこみの打ち手選定などをすることがテーマとなっていきます。(※一定の市場サイズがあり、需要も見込まれるので、適切な売り上げと収益・顧客ブランド想起を追求していくことが適切とされる為。)

「衰退期」適切な撤退タイミングの設定や市場サイズに合わせた事業サイズの縮小等がテーマ感となります。全社戦略や事業の歴史に影響を受けることが多く、製品市場戦略単独で解決しないスケールの意思決定になることも発生します。

■市場ポジショニング別の戦略論

・市場シェア・規模により「マーケット・リーダー」「マーケット・チャレンジャー」「マーケット・フォロワー」「マーケット・ニッチャー」の4分類に競争業者は大別されると本書では説かれます。

「マーケット・リーダー」は業界首位の競争業者を指し、適切な需要喚起や市場サイズ拡大に向けた打ち手の実行・業界の健全性担保に向けた施策の実行などが地位特有の行動とされます。純粋想起のメリットを一番享受しやすいのがマーケット・リーダーなので市場全体の規模を拡大する行為が一番効果的と言えます。また、拡大すればするほどブランドが強化されるという副次的効果も持ちますので、業界健全化・拡大を志向するのは極めて合理的と言えます。加えて、パイを守るという意味で防衛戦略を策定することも多く代表的なものは「絶えざるイノベーションによる市場創造」「フルライン戦略による規模の経済と顧客関係性担保」の2つとされます。※意図的に機会を作り出していかないと、受け身な事業運営にならざるを得なく長期的には内向きに仕事をする組織を生み出す可能性もあるのでこのあたりのかじ取りはマーケットリーダー特有の難しさがあるかと。

「マーケット・チャレンジャー」はリーダーが支配しない顧客基盤やセグメントを深耕することで首位奪還を目指すことが基本となります。中規模業者の買収やバリューチェーンへの積極的なイノベーション志向(≒コストカットや独自製品を生み出す仕掛けを作る)ことが具体的な打ち手となっていきます。

「マーケット・フォロワー」リーダーの動きを模倣し、イノベーション投資をせず最小限の工数で一定の収益性を刈り取ろうと志向する業界中位~下位特有の行動を取るとされます。

「マーケット・ニッチャー」市場をより細分化し、小規模市場深耕してリーダーになろうという思想を持ちます。特定セグメントにおいて参入障壁があるないしは業界の天井が見えていてリーダーが旨味を見出さない場合などに有効とされることが多く、人材・金融・WEBサービス等でよくみられる打ち手に思えます。

 

【所感】

・ブランド選好性を突き詰めることは消費財メーカーでは定番だと思いますが、自社に落とし込んでも応用できる考え方だなと読みながら感じました。価格や表面的な機能性だけの差別化路線は疲弊するので、上位概念のブランドや価値基盤で顧客をリピートさせるように舵取りをしていくことは、息が長いことですが着手し続けるべきという自分の課題感にも合致したので非常に刺さる内容でした。

・対比的に感じたことは、自分が如何に資源的に恵まれている環境でビジネスをしているかということも浮き彫りになりました。というのも一定の資源とケイパビリティがある状態なのでこうしたブランド選好性を突き詰めたり、中長期的な価値基盤磨きこみというのが事業の主題として語られる環境で働いているのだなと思いました。

※数年前までは「とにかく拡大路線・市場開発をして顧客基盤を作るのである!」という方針だった段階からかなりフェーズが進化したタイミングで事業に関わっているのだなと内省させられました。

・また、本書で著されているこの手の戦略論などは一定の場数や思考量を経て、ようやく有機的に知識が結合し筋の良いアウトプットに繋がる感覚があるので早くから着手して活用することに意味があるなと感じています。※英語や会計がレバレッジ効きやすいといわれるのもこのようなことなのだなと最近は思っています。

 

以上となります!

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■要約≪ブラック・スワン(上)≫

今回はこれまでのジャンルと少し異なり、「不確実性」を扱う理論の本を要約していきます。実証的懐疑主義という哲学や株式投資などに用いられる理論の本です。

翻訳特有の論調であり、非常に著者がシニカルな論調なので独特の読みづらさがありますが参考になります。

 

ブラック・スワン(上)」

 ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質』|感想・レビュー ...

 

■ジャンル:金融・哲学

■読破難易度:低~中 (何か特別な前知識を必要としないので読みやすいです。)

■対象者:・不確実性とリスクの関係性に興味関心のある方・心理学や哲学に関心のある方・株式投資に興味関心のある方・意思決定に関する理論に明るくなりたい方

 

「あり得ないということはあり得ない」これが本書のメインテーマです。不測の事態と呼ばれるような、偶発的な発生確率の小さい事象がどのように生まれるのか・人はどのように認知するのか?ということを取り扱います。

■人間の認知の枠組み

・後付けの論理や少ないサンプル数で帰納法的にこじつけることにより、起こりえない・想定しえない事象(黒い白鳥現象)が生まれるということが説かれます。

・その意味において過剰な知識取得や知識への過剰な期待をするという態度は愚かであると厳しく指摘しています。

■希望的観測

「未来永劫安泰であるという見解や未来は現在の前提が不変であるという基に論証することには何も意味を持たない」ということを著者は主張します。※未来予測や展望予想することはいいのですが、それに甘んじて思考停止に陥りがちで思考停止が黒い白鳥現象を生むという危険性を指摘しています。

■講釈の誤り

パターン認識は情報処理を簡素化・容易化することをもたらす優れた脳のメカニズムですが、それ故に特別変異のような事象を等閑にし想定しないという思考プロセスを助長するということを指摘します。

・一部の強烈な体験や感情を動かされるような一部分の事象にすべての印象や見解が持っていかれるという現象もこのような所から発生しており、愚かな世界の認識の枠組みであり黒い白鳥の温床となると指摘します。

■統計・データの過信

正規分布や回帰分析は優れた統計手法の知見ですが、そうした定量処理が異質なものの存在を等閑にし存在前提で思考や行動することを難しくすると記述されます。

・不確実性を軽く見積もり自分が知っている知見や予測範囲を過剰に重んじる為、計画を立てて実行することが出来ない人が多いという痛切な批判が展開されます。(不測の事態により前提が変わるということを想定した計画が立てられにくいが為に、実行可能性の低い計画が横行ないしは計画がされないということが存在するということです。

 

【所感】

・上下巻構成なので上巻パートはここで終了です。投資やクオンツ等の世界では必読とされるような本ということもあり、読めば読むほど引き込まれていく面白さがありました。論調が少し棘があり好き嫌いが分かれると思うので、そこだけクセがありましたが総じて自分の経験則的にも当てはまる内容ですっきりする内容でした。

「不確実性を認識した上で、ではどのように未来の計画や行動に反映していくかということにおいて知識に頼り過ぎたり思考停止になるなよ、常に謙虚に現実を直視せよ」という激励のようなものなのだろうなと思いました。本書の解釈を誤るとうさんくさい不動産投資などのような論調になるので一定のリテラシーが問われる本ではあるなと思いました。

 

以上となります!

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■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART3≫

 

今回は引き続き、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」を要約していきます。PART3は「適切な顧客接点の作り方・購買意思決定のメカニズム・ロイヤルティ醸成」というテーマ感を扱います。

尚、過去の要約は下記です。

■PART1

ty25148248.hatenablog.com

 

■PART2

ty25148248.hatenablog.com

 

 

 

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 | Philip ...

■ジャンル:経営戦略・マーケティング

■読破難易度:低~中(記述量は膨大ですが、論理展開はとてもわかりやすく焼き直したものを大学の専門レベルで扱うこともあるくらいの内容です。)

■対象者:マーケティングに興味関心のある方・顧客接点を伴う業務に従事する方全般・消費財メーカーに関わる方全般・戦略策定プロセスに興味関心のある方

 

≪選定理由≫

・経営と現場の統合ということを個人的なテーマとして置いています。

・その中でも「マネジメントレイヤーがどのようなことを念頭に置き戦略を描いているのか・それをどのように現場に翻訳・推進・部分戦略を描いていくと一番適切か?」

ということに関心があるためです。

・関係性営業や感情マネジメントだけではうまく行かないし、かといって論理だけで解決しないのがビジネスの世界な中で、あらゆるものへの理解度を根元から上げていかないとモグラたたきのように発生する個人的な課題に対処できないと思っています。

・机上の最適な理論を自分なりに体得するプロセスを通じて、うまく現場に適合させて戦略策定・実行をして介在価値をあげたいというのもあります。

 

【要約】

・PART3は顧客価値の定義・顧客ロイヤルティの醸成といった概念を取り扱うものであり、無形商材の営業に従事する自身の職務に大変参考になるパートでした。

 

■カスタマーリレーションシップの育成

・大量生産方式の受注生産から個別最適化を志向する見込み生産方式にシフトした現代において、自社の資源に合致した特定の顧客の需要を喚起・充足して維持拡大していくことが健全な事業拡大の定石と言えます。

・その前提に立つと、「適切な顧客接点の質と量を担保すること及び磨きこみをし続けることは事業運営の骨格となる」という前提のもとに理論は展開されます。

■ロイヤルティの構築

・当たり前ですがリピート顧客を増やし、顧客離脱を最小限にしながら取引を最大化していくことを志向することが一番生産性の高い事業運営と言えます。

・その為、消費財向けには適切な顧客接点方法の確立(マーケティング手法・秀逸なターゲット設定・チャネル選定の磨きこみなど)生産財個社深耕をして幅広いドメインにおいて付加価値を提供することがロイヤルティ構築の王道と言えます。

■データ収集・蓄積・活用の重要性

・市場全体の需要充足を狙うことは困難・志向しないことが多い中で、顧客の意見は事業の在り方・方針を決めるうえで貴重な情報です。それ故に、「効果的なデータ取得の体系化を進めただけで競争優位に繋がるのが現代であり、かつそのデータを解釈・分析して意思決定に反映するその秀逸さがより差別化に繋がる」ということを言わんとしています。(無形商材はこのあたりの価値の磨きこみと顧客起点の運営が差別化の源泉になることが多いので、自分の職務にはとても密接なテーマです。)

■消費者の購買プロセス

・「動機⇒認知⇒学習⇒記憶⇒問題認識⇒代替品の検討⇒購買⇒購買後の行動」というプロセスを経て消費者は購買するとされます。

・一般的に資源(時間や金銭的)が限られるので、認識している製品やサービスの中で意思決定をすることが多くなるのが消費財です。それ故にマーケティング活動が重要視されますし、チャネル選定やメッセージングの磨きこみ等が重要視・花形扱いされるということと読み解くことが出来ます。

※一つの製品やサービスにリテラシーを抱く工数や余力を持たないことが多いのでイメージ形成や口コミが意思決定の決め手になることも多く、消費財ではブランドマネジャーと呼ばれるような職位が大変重んじられるということもこのような背景に起因します。

■ビジネス市場の購買プロセス

・地域的な制約などが大前提にあり、消費財との違いとしては「実際に製品・サービスのメリットを享受する人と決済者が異なる」ということです。それ故に製品提供者は両方の価値訴求及び、法人側の組織構造を妄想した上でのコミュニケーション形成が必須になるということが法人向けビジネスの抽象性を生みます。

■ビジネス市場の購買基準

・価格・トータルソリューション等様々な価値尺度を持ち意思決定を行います。一般的に明確な差別化や製品価値を訴求できていない状態は、価格などの目に見える機能的価値に基づき意思決定をする傾向が強く、そうであればリプレイスリスクを常に持ったままの状態が垂れ流しとなります。(法人という存在ですが、意思決定をする人そのものは消費者的な感覚・リテラシーで意思決定をするというパラドックスがあります。)

・その為ビジネス市場における事業運営の定石は「適切な顧客セグメントの分類」「顧客セグメント毎の事業価値の定義」「注力セグメントへの深耕」「顧客価値の範囲・高さを高く持つように努める」ということに繋がります。

「顕在的な課題解決だけをしていてはブランド選好性が養われずかつスケールしない、顧客需要を創造して潜在的な課題を解決したり提言したり、新たな顧客のビジネスを拡大させるような付加価値を持たないと低次元の競争にさらされる」ということかと。

 

【所感】

・如何に差別化・競争優位を生み出すかということを関心毎としている自分に取ってはとても考えさせられるパートでした。「機能的価値の充足だけでスケールせず、価格などの外面的なものだけで顧客が意思決定せざるを得ない状態を垂れ流している現状を何とかしたい」とあの手この手で思考している中では、日常的な自分の思考は学問的に論拠したものであると認識出来てほっとしました。

・顧客ロイヤルティの醸成及び深耕営業はまだまだ自分の課題である中で、どのように顧客が購買意思決定をするか・消費財の場合どのようなことを考慮して計画を立てるかなどの整理の仕方・考え方は自分の頭の再整理になり大変役立ちました。

・ビジネスをスケールさせる仕組みやコアとなる事業価値を作る所にまだまだ不足感を感じる自分にはとても考えさせられる内容でした。

 

以上となります!

定期的にコトラーシリーズはまとめて要約投稿していきます。

 

 

 

 

 

 

 

■要約≪ビジョナリーカンパニー≫

 

今回は「ビジョナリーカンパニー」を要約したいと思います。

過去に読んだことあって再読したのですが、久しぶりに読むと得る所が大きかったので要約してみようと思いました。4部作あるシリーズものでして、2が一番有名かつ人気ではないでしょうか。僕も大学時代に何度も読み返して大変意識が高くなった記憶があります。

 

「ビジョナリーカンパニー」

ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則 | ジム コリンズ ...

 

■ジャンル:企業論

■読破難易度:低(冊子は分厚いですが、具体例が多く行間も多いので見かけよりも分量が少なくサクサク読めます。)

■対象者:・理念や企業の成り立ちに興味関心のある方・経営者や組織を率いる立場にある方全般・優れた会社に共通する組織体系に興味関心のある方

 

【要約】

・ビジョナリーカンパニーシリーズの最初の作品です。4部作で今回扱う「1」は時代を超えて際立った存在で有り続ける企業に共通する法則を調査して取りまとめた内容になっています。尚、「2」は飛躍する企業に共通して見られる方針・風土にフォーカスした研究内容・「3」はどのようにして優れた企業が衰退の道をたどるのかについての研究内容・「4」は123の内容を改めて整理した上で、リーダーシップにフォーカスして不確実性が多い現代において必要なエッセンスについての研究内容(企業・個人含めて)という棲み分けになっています。

・ビジョナリーカンパニーシリーズはサイバーエージェントの藤田社長始めとした21世紀に急拡大した組織を率いる経営者が共通して影響を受けている著作と評されることが多く、著者のジム・コリンズはドラッカーの思想の影響を受けているのでドラッカーの思想の影響を色濃く受けているリクルートなども本書の内容が反映された組織体系になっています。

≪選定理由≫

・ハード/インフラとしての戦略論と対をなす組織風土やビジョンといった分野の第一人者の本を改めて読み返すことでバランスを取りたいと考えた為。(ロマンとそろばんのようなもので人は感情の生き物なので、そろばんを整備することはスキル開発として大事なのですが、サイコパス気味な感じになりかねないのでバランスをとる意味で情緒的なものを扱った体系だったものを学びたいとこのタイミングで感じたからです。)

 

尚、ビジョナリーカンパニー1で偉大な企業と評されている会社は下記です。

「3M」「アメリカンエキスプレス」「ボーイング」「シティコープ」「フォード」「GE」「ヒューレットパッカード」「IBM」「ジョンソン&ジョンソン」「マリオット」「メルク」「モトローラ」「ノードストリーム」「P&G」「フィリップスモリス」「ソニー」「ウォルマート」「ウォルトディズニー」

 

■時を告げるのではなく時計を作る

・長期にわたり偉大な成果・貢献を社会に発揮している会社・組織というのは共通して「一人のハイパフォーマーに依存することなく、仕組みで継続的に優れたパフォーマンスを発揮できるように制度設計されていることが共通する」と本書では示されます。※ワンマントップダウンもスピード感があり、一代で成り上がるのに必要な要素ではあるのでこのあたりは思想の好みの違いかなと思います。

「型化・成功事例の共有を尊い価値として表出する」といった人事施策に具体的には反映されていることが多いと示されています。

 

■「OR」の抑圧からの解放

・二者択一ではなく、出来る限り両方を満たすような行動・やり方を中心に思考するという共通して見られる組織法則です。実務で言うと「短期的な財務と中長期的な事業価値の追求の両立」と読み解くことが出来るでしょうか。※イメージと異なり両方を追求しにいく為に色々試行錯誤している時の方が結果として財務もうまく行くという逆説があるというのが個人的経験則です。そして、組織の要望と現場の意見の統合というマネジメントに求められる資質を重んじるということでもあるかと。

 

■基本理念を維持し、進歩を促す

・属人的な個人のパワーに頼らないのが偉大な企業の共通原則なので、策定したコアとなる価値観・行動指針を強化・再現する仕組みを常に組織運営の上位事項として据え置くことが大事ということです。(バリューを体現する行動を継続的に表出する仕組みや人事制度の定性評価に反映するなどが具体的な実務イメージでしょう。)

 

■社運をかけた壮大な目標

・企業理念を体現するような野望とも言える大胆な目標を常に掲げ、その実現に向けて組織全体でがむしゃらに働く状態を維持し続けるということです。※個人的には変数が多くマクロ環境が流動的な21世紀の論理としては果たしてそこまで効果的であるのかどうかは気になる所です。とはいえ空虚な投資家向けの謎の中期経営計画等の類よりはよっぽどマシであると思いますが。

 

■カルトのような文化

・行動指針を重んじ、外から見ても「○○らしい」と知らしめるような強烈な方針や風土を醸し出せているかということです。

※これは採用文脈においても再現性の高い人材を手間かけず採用するスキームにつながるので、とても理にかなったものではないかと思います。副次的な効果として組織・会社への忠誠心も必然的に高めます。その為新卒採用を重んじる会社が多いです。

 

■大量のものを試してうまく行ったものを残す

「ビジョンやコアとなる行動指針に即しているかという判断軸の中で、たくさんトライ&エラーをする組織風土・評価体制を敷いている」ということです。ものによっては時代の変化と共に製品が変わってでもやるべきとしている企業が多くあります。こうした企業は外からはシステマチックにイノベーションを生み出したように評論されますが、実際は偶発的なトライの中の一つを捉えて深耕した結果であるということが多いと。

 

■生え抜きの経営陣

・組織風土やビジョンを重んじるので当然の成り行きといえば成り行きですが、新卒社員が役員クラスまで継続的に育つような組織体制を構築出来ていないと実現出来ないので言うは簡単・実行するのは難しいということではないでしょうか。

※急成長や上場ゴールだけを志向するならトップダウンマネジメント+役員陣は中途で調達が一番手っ取り早く成功確率が高いので。なので、基本原則の「時を告げるのではなく時計をつくる」ということを重んじるということに回帰するのだと思います。

 

【所感】

・2年ぶりにくらいに読み返しましたが、当時に比べて多くの企業の成り立ちや戦略が組織にどのように紐づくか等について思考が及ぶようになったので表層的な理解にとどまらず読むことが出来たのではないかと感じています。何にせよ「カルトのような文化」と「時を告げるのではなく時計をつくる」という2つの方針が一番わかりやすいビジョナリーカンパニーの共通原則だなと感じた次第です。

・個人的には戦略と組織設計はセットで考えるものと思っているので、自分の仕事の範疇においてこのような基本的な考え方をどのように実務に生かすのか・企業分析をする際に借用できる所はないか?などということを考えて意識して読んでいました。

・「2」と「4」は読んだことがあり、まだ「3」を読んだことがないのですが、一番現在関心のあるジャンルであり後日読んでこちらも要約を投稿してみようかなと思います。

 

以上となります!

気に入ってくださった方はブックマークや「読者になる」登録をしていただけると嬉しいです!月に1~2程度のペースで読んで面白かった本を要約投稿しています。